海賊漫画『ワンピース』。主人公のモンキー・D・ルフィの前に立ちはだかるのが「海軍本部」。海軍元帥の赤犬サカズキを頂点に(実際には全軍総裁のコングはいる)、海軍大将の黄猿ボルサリーノ、藤虎イッショウ、緑牛アラマキが続いています。
更に、その下にモンキー・D・ガープといった海軍中将などがおり、ディエス・ドレークやコビーといったSWORD(ソード)と呼ばれる機密特殊部隊もいます。
ただ、そこで今回ドル漫では「科学特殊班・SSG」のヤバい正体を考察しようと思います。まさに武闘派ぞろいだった海軍をして、異色の科学者の集まり。後半はSSGが開発した人間兵器・セラフィムの謎についても徹底的に考察します。
SSGの正式名称は海軍特殊班
まずはSSGの正体から解説します。
SSGとは海軍に設立されている「特殊科学班」のこと。正式名称は「Special Science Group」。だからSSGという組織名は各々の頭文字を取ってるだけ。兵器や装備品の開発を主に担っている組織であり、エッグヘッドと呼ばれる場所に位置していました。
海軍大将・藤虎イッショウは王下七武海制度が撤廃された後、その代わりの抑止力として「SSG」の名前を挙げていました。藤虎をして世界の勢力図が大きく変わると言わしめるほどの兵器とは一体何だったのか?
『ONE PIECE FILM RED』で登場した映像を伝達できる特殊な電伝虫も、実はSSGの発明品でした。藤虎の発言などからもSSGの結成時期は割りと最近の話のようにも思えますが、詳細は判明していません。
SSGのリーダーはベガパンク
一方、海軍特殊班SSGを率いるリーダーは誰なのか?
SSGのリーダー(班長)は【Dr.ベガパンク】。
世界最大の頭脳を持つ天才科学者として、ワンピース中盤以降から登場。先程の電伝虫も「ベガパンクの試作品」と付記されていましたが、悪魔の実が伝達される過程を解明するなどSSGの発明品全般はベガパンクが中心に開発していたものだった。
当初ベガパンクは海軍科学班のリーダーとしか紹介されていませんでしたが、この海軍科学班とはSSG(特殊科学班)のことだった模様。そのためベガパンク直属のボディーガードである戦桃丸もSSG所属でした。戦桃丸はかつてベガパンクに命を救われた過去もあるそう。
○SSG設立は4年前?
ベガパンクはかつてヴィンスモーク・ジャッジや百獣海賊団のクイーン、シーザー・クラウンたちと共に、無法な科学者集団【MADS(マッズ)】で働いていました。しかし、【血統因子】を発見したことを危険視されて海軍によってMADSは解散させられます。
その後、ベガパンクはパンクハザード研究所の所長に半強制的に就任させられています。
しかし共にパンクハザード研究所で働いていた元MADS同僚のシーザー・クラウンが、4年前にパンクハザード島を破壊する。ベガパンクは代わりに設立されたSSG(海軍特殊班)のリーダーに就任するわけですが、そう考えるとSSGの設立時期も「4年前」と予想できそう。
人間兵器パシフィスタとは?
このSSGが開発した最強の軍事兵器がありました。
それが【パシフィスタ】。
Pacifista(平和主義者)という名前とは反して、海軍大将の黄猿ボルサリーノのレーザービームを発射できるサイボーグ型人間兵器になります。元王下七武海の「バーソロミュー・くまの肉体」をベースにSSG(主にベガパンク)が開発しました。
マリンフォード頂上戦争時にはプロトタイプ(PX-0)どまりでしたが、それでもパシフィスタ一体に軍艦一隻並の製造コストを要していました。新世界編後も登場してなかったためパシフィスタの開発は頓挫したかと思いきや、最終的には完成しています。
完成版パシフィスタ「マークⅢ」の意味とは?
じゃあ完成版パシフィスタとは?
その名も【パシフィスタ マークⅢ(マークスリー)】。
CP0のモブ構成員曰く、「頂上戦争のプロトタイプを遥かに凌ぐ」とマークⅢの戦闘力の高さを評価していました。やはりベガパンクが開発したバブルシールドと呼ばれる最強の泡状の盾を使うなど、戦い方もパターンが増えていそう。
例えばレーザービームはPX-0は口から発射していたのに対して、完成版のマークⅢは手の平から発射してたりします。
確かにプロトタイプ版はギア4や覇王色の覇気が使われることなくルフィに瞬殺されていましたが、マークⅢの耐久力は飛躍的に上がっているに違いない。またマークⅢの数は合計50体と、未完成だったPX-0の台数よりも増加しています。
ちなみに、マークⅢの意味は「クマさん」になります。ドロピザくん曰く、マークすりー→マークさん→クマさんという語呂合わせとのこと。クマは言うまでもなく、パシフィスタのベースとなったバーソロミュー・くまのこと。
セラフィムはルナーリア族×王下七武海
だからパシフィスタは既に完成しているものの、SSGは王下七武海に代わる対海賊への抑止力として「別のパシフィスタ」も更に開発していました。
その名も【セラフィム】。セラフィムという名前を冠していますが、あくまでパシフィスタの一種です。
見た目からも分かるように、「王下七武海」の【血統因子】と「ルナーリア族」の【血統因子】が取り入れられたクローン兵器になります。かつて百獣海賊団のキング(本名アルベル)がパンクハザード島で人体実験されていたものが応用されている。
セラフィムの見た目は王下七武海の「幼少期の姿」ですが、体は大人と同じサイズ感っぽいです。後述しますが、ジンベエ版セラフィムは3メートル近く、くま版セラフィムは5メートル近いサイズ感があるように確かに見えます。
だからセラフィムの身体能力も本物の七武海並と予想できますが、「体験は血統因子に記憶されていく」というピタゴラスの言葉を聞く限り、セラフィムは人間のように成長する余地があるようにも聞こえます。
ただし、セラフィムを製造する目的のために七武海制度を作ったのかというと、これまでのベガパンクたちの発言からは否定されそう。
○セラフィムは「最強の人類(人間兵器)」
一方、ルナーリア族の特徴は「白い髪の毛」「褐色の肌」「黒い翼」「背中の炎」でした。
ゴムのような体質を持つ一方、背中から炎が出ている最中は無敵の防御力を誇る種族。ルナーリア族はかつてレッドラインに住んでいた神の種族であり、太陽の神・ニカとの関連も強く伺われます。セラフィムも同様の体質が継承されています。
だからセラフィムはルナーリア族のように防御力が高く、空を飛ぶこともできました。やはり黄猿ボルサリーノのレーザービームを同様に手の平から発射するなど、セラフィムの戦闘力の高さは黒ひげ海賊団を一網打尽にするほどでした。
ベガパンクたちが「世界最強の人類」とセラフィムたちを表現するのも納得。海軍大将・藤虎が期待していた戦力がまさにコレでした。ただし、王下七武海と同じ数だけのセラフィムが存在するかは不明。
グリーンブラッドの正体は?名前の由来は?
だからパシフィスタ×ルナーリア族×王下七武海という設定モリモリだけあって強いわけですが、セラフィムは更にチート能力が備わっています。
それが【悪魔の実】の能力。ベガパンクは悪魔の実の伝達条件などを解明しただけあって、自然ロギア系以外の悪魔の実はほとんど複製することができます。だから超人パラミシア系などに限って、セラフィムには悪魔の実がもれなく付与されています。
具体的には【グリーンブラッド】と呼ばれる人工血液がセラフィムの腕に装着されており、これを沸騰(活性化?)させることで悪魔の実の能力が使えます。
セラフィムはルナーリア族などの「血統因子」が応用されていますが、悪魔の実も血統因子を応用して複製されているはず。原初の悪魔の実の正体も考察済みですが、実際、悪魔の実表面のグルグル模様は螺旋状の血統因子のそれでした。
何故セラフィムが血液を糧に能力が使えるようにしたのかというと、まさに「血統因子」というキーワードに着目してほしいからか。
ちなみに、グリーンブラッドの名前の由来は『同名のSF漫画』になります。グリーンブラッドと呼ばれる高性能アンドロイドたちが人間の奴隷となった世界観が描かれているんですが、最終的に人間たちに反乱していく。まさにセラフィムの未来を暗示している?
セラフィムの威権順位
セラフィムは世界最強の人類と紹介されていますが、あくまで人間兵器に過ぎません。普通のパシフィスタと同様、誰かから命令されない限りは自発的に動くことはありません。しかし、誰彼構わず命令できるかというと、答えはNO。
セラフィムたちが命令を聞く順番は【威権順位】と呼ばれます。上から順番に、五老星→Dr.ベガパンク→戦桃丸→「威権チップ」と呼ばれるチップの所有者になります。威権チップの所有者には、CP0といった政府関係者などがいます。
開発者のベガパンクが命令できるのは当たり前ですが、それを上回る存在が五老星。当然、他の天竜人たちの命令も素直に聞くに違いない。実際、聖地マリージョアでくまが天竜人の奴隷となっていました。そこからセラフィムは「天竜人のために作られた兵器」と考えるのが自然か。
CP0も考えてみると、天竜人直轄の組織でした。もしかすると海軍大将も威権チップの所有者なのかも知れない。
セラフィムと宇宙
他にもセラフィムの瞳には「星マーク」が刻まれているのも特徴です。
ベガパンク本体は「ステラ」、6体の猫(クローン)は「サテライト」と呼ばれています。ステラは「惑星」、サテライトは「衛星」と日本語でそれぞれ訳されます。まさにベガパンクが作った証拠が目に刻まれているカタチ。
威権順位の一番上だった五老星は、各々のキャラ名に惑星の名前が入っていました。ストーリー終盤では露骨に宇宙に関するワードが散りばめられているため、ワンピースの宇宙編の布石がセラフィムからも読み取れます。
個別セラフィムの名前に隠された伏線とは?
そこで続いてはセラフィムを個体別にチェックしようと思います。
○Sホーク(スパスパの実)…ミホーク版セラフィム
まずはジュラキュール・ミホーク版セラフィムは【S-ホーク】と呼ばれています。
Sホークの悪魔の実は「スパスパの実」になります。現在クロスギルドに所属しているダズ・ボーネスが持つ能力。かつてアラバスタ編ではMr.1としてゾロとも対峙した全身刃物人間。だからミホーク本体は非能力者でしたが、刃物と化した手足で強力な斬撃を飛ばします。
ただゾロとSホークの対決シーンを見る限り、やはり懸賞金35億ベリーを超えるだけあってミホーク本体の方がまだまだ戦闘力は高そう。それでもセラフィムはあくまで人間兵器だけあって、敵をターゲット補足する姿は人間離れしています。
○Sシャーク(スイスイの実)…ジンベエ版セラフィム
続いてジンベエ版セラフィムの名前は【S-シャーク】と呼ばれています。
Sシャークの悪魔の実は「スイスイの実」。かつてドフラミンゴファミリーに所属していたセニョール・ピンクが持っていた能力。麦わらの一味・フランキーとも因縁が深い敵キャラでしたが、ベガパンクはインペルダウンに収容されていたピンクの血統因子を応用したっぽい。
ジンベエもまた非能力者でしたが、魚人族の能力が最大限発揮される悪魔の実が付与されています。地面も自由自在にスイスイと移動できるため、Sホークよりも攻撃が多彩に進化している印象です。懸賞金の程度も考えると、ジンベエ本体より強い可能性も。
○Sスネーク(メロメロの実)…ハンコック版セラフィム
続いてボア・ハンコック版セラフィムは【S-スネーク】と呼ばれます。
Sスネークの悪魔の実は「メロメロの実」になります。ハンコック本体と同じ。だからベースとなった王下七武海がもともと能力を所持していた場合、基本的にそれが踏襲されている模様。ハンコック本体とは違うものの、母性的なキュンキュンでも石化してしまう模様。
○Sベア(ニキュニキュの実)…くま版セラフィム
続いてバーソロミュー・くま版セラフィムは【S-ベア】と呼ばれます。
Sベアの悪魔の実は「ニキュニキュの実」になります。やはりSスネークと同じく、元となった七武海の能力が踏襲されています。Sベアの手の平にはくま本体と同じく、肉球があしらわれています。ウルスショック(熊の衝撃)といった技もやはり使います。
ただSベアに関しては、他のセラフィムと大きく異なる点があります。
それが「外見」の違い。
前述のように他のセラフィムは「幼少期の姿」が描かれているにも関わらず、Sベアだけは【大人に成長したくまの姿】として作られています。くまの幼少期は丸坊主の二宮尊徳のような姿でしたから、何故大人の姿がモチーフ担っていたのか?
くまは「特殊な種族」とされているため、その姿を隠したいから?この特殊な種族の影響か、幼少期はソルベ王国で迫害にあっていた。くまとベガパンクは親しい仲でしたから、この悲しき過去を思い出せないための配慮で他のセラフィムと見た目が違っていた?
黒ひげの正体もセラフィムから読み取れる?
この個別のセラフィムにはどうやら「名前に法則」が隠されていました。
それが名前に【動物名】が含まれていたこと。くまであれば「Bear」、蛇姫様のハンコックは「Snake」、ジンベエは「Shark」、鷹の目のミホークは「Hawk」といった具合。つまり、残りの王下七武海を模したセラフィムも同様に動物名が含まれているはず。
例えば分かりやすい例を想像すると、ドンキホーテ・ドフラミンゴであれば【S-フラミンゴ】、カゲカゲの実のゲッコー・モリアであれば【S-バット】といった感じか。
他の七武海は若干予想しにくいですが、バギーであれば赤鼻から「トナカイ(Reindeer)」、エドワード・ウィーブルは白ひげの海賊船から「鯨(Whale)」、ローはトラファルガーから虎(Tiger)あたりが候補として考えられます。
だから黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)のセラフィムも存在する場合、やはり名前には動物名が使われているはず。つまり、黒ひげの能力はケルベロスやタコなどいろいろ予想されていますが、黒ひげ版セラフィムが登場した場合、「悪魔の実」が早くも確定するかも知れない。
【語源】セラフィムの由来は?
続いてはセラフィムという「名前の由来」を考察します。この由来からワンピース終盤の展開も読み取れる可能性があります。
セラフィムの名前の語源は【同名の天使】になります。セラフィムとは神話上で「一番偉い天使」とされます。9階級存在すると言われる天使の中でも「最上級の天使」に位置しています。
それ故にパシフィスタでもぶっちぎりに強かったわけですが、平和主義者という名前と同じく、人間兵器に敢えてポジティブな名前を命名する皮肉が笑えない。
ちなみに、神話上のセラフィムには7枚の羽が生えているんですが、これはベガパンクの数(本体+猫)と合致します。
○セラフィムとイム様
またセラフィムは日本語で「熾天使」とも言われます。【熾】という漢字は「火が盛んに燃える様」を指します。これはルナーリア族の背中で燃えている炎を指すと考えられるため、キングが登場した時点でセラフィムの発想は既に考えられていたはず。
他にも紀元前2世紀のエノク書において、セラフィムは「神の玉座に最も近い天の生き物」としてケルビム(第二級天使)と共に言及されています。ワンピースにおける玉座とは、聖地マリージョアのパンゲア城にある「虚の玉座」がやはり思い出されます。
この虚の玉座に唯一座ることができたのが、世界の王であるイム様だけでした。前述の威権順位に不自然にイム様の名前が書かれていませんでしたが、セラフィムは将来的に「イム様の強力な武器」としてルフィたちの前に立ちはだかるか。
ルシファー(堕天使)とセラフィム(熾天使)
一方、天使で思い出されるのが、ルフィのモデルとも言われる【ルシファー】という悪魔の王でした。現在でこそ悪魔という位置づけですが、ルシファーは元々は天使でした。ただ何やかんやがあって落ちぶれて悪魔になった、いわゆる「堕天使」になります。
だからルシファーには「黒い翼」が生えています。そのためセラフィム(更に言うとルナーリア族)の見た目は、どうやら堕天使のルシファーに近いことが分かります。だったら何故、セラフィムは本来ルシファーと名乗らなかったのか?
この理由は「ワンピースの世界観」が関係しているに違いない。
【堕天使なのに真っ白】「熾天使なのに真っ黒」という関係性は、さながら【海賊なのに正義】「海軍なのに悪」という関係性と酷似します。つまり正義が正義であるためには、また夢の果てを目指すには、堕天使ルシファーのルフィは真っ白のニカでなければいけない。
だから我々が思っている以上に、主人公のルフィとセラフィムには対比関係が隠されているのかも知れない。
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