コミックス累計発行部数が5億部を超える人気漫画が『ONE PIECE(以下、ワンピース)』。
主人公のモンキー・D・ルフィたち海賊が目指す最終ゴールが「ラフテル」と呼ばれる謎の島でした。ここに唯一辿り着いたロジャー海賊団が「ひとつなぎの大秘宝」と呼ばれる最後のお宝を置いてきたとされます。まさに海賊の誰もが憧れる夢。
一方、ワンピースの最終回が近づく中、主人公のモンキー・D・ルフィの「夢」が改めてクローズアップされています。正確には「夢の果て」という言葉を使われているんですが、ルフィの夢は【ワンピースという物語の結末】とも直結している模様。
そこで今回ドル漫では「ルフィの夢の果てのヤバすぎる正体」についてフルカラー画像付きで徹底考察しようと思います。果たして「黒ひげの夢」との違いはあるのか?まさかの「夢オチ」という結末もありうるのか?
夢の果てとは「夢が叶え終わった後の状態」を意味する?
まずは深い考察に入る前に、「夢の果て」という言葉の解釈をおさらいします。
現時点でルフィの夢は判明していませんが、何故か「夢の果て」という表現が繰り返し使われています。本来であれば普通に「夢」だけで十分だと思いますが、それ故に尾田さんが敢えて「夢の果て」という表現にこだわっている理由には重大な伏線が隠されているはず。
そこで辞書で引くと、【果て】とは「終わり」や「最後」を意味します。例えば、果てない空は終わりがない空、果てなき旅は終わりなき旅といった感じ。
つまり、夢の果てとは「夢の終わり(最後)」という言葉に置き換えられるため、【夢の叶った状態 or 叶った後】などと解釈できます。だから、ルフィの夢の果てとは【ルフィが夢を叶えた後の状態 or 結果】を厳密には意味しているはず。
ルフィの夢の果ては、ロジャーと同じ夢
一方、ルフィはいつ頃から夢を抱いていたのか?
それは「幼少期」から。
画像はかつてルフィの義理の兄であるサボやエースとコルボ山で共同生活していた際、ルフィが自らの夢を打ち明けたシーン。サボの夢は「本を書くこと」、エースの夢は「名声を得ること(本当は愛されることと後に判明)でした。
ただルフィの夢の内容を聞かされたエースは呆気に取られて、サボは大笑いしていました。それだけルフィが抱く夢は「普通ではない」ことを示している模様です。
またルフィの夢の果ては「海賊王のゴールド・ロジャーと同じ夢」でもありました。
あまりに壮大であろうロジャーの夢を聞いた白ひげ(エドワード・ニューゲート)と光月おでんは、同じく「は?」という表情を思わず浮かべる。その後、ロジャーの夢の無謀さをようやく理解した白ひげは大笑いし、光月おでんは度肝を抜かれるだけでした。
○海賊王になることはあくまで中間地点
まさにルフィの夢は四皇ですら驚く夢ということ。
実際数年前、エースの口から間接的にルフィの夢を聞かされたヤマトは「それは海賊王が言った言葉」と証言しています。ヤマトは光月おでんの日誌を愛読していたため、ルフィの夢がロジャーと同じだったことがすぐ分かった。
ルフィとロジャーはかねてから重ねられる部分が多いものの、「最後の夢」という点でも共通しているカタチ。ただし、ラフテルまで到達したロジャーも、最終的にその夢を叶えることはできなかった。結果的に【麦わら帽子】と同様、その夢もルフィに継承されている。
そのためルフィが夢の果てを実現化させるためには、あくまで海賊王になる or ラフテルに到達することは【夢を叶えるための中間地点】に過ぎないことが分かります。実際、麦わらの一味との会話でフランキーは「海賊王くらいにならないとムリ」と語っていました。
だから、ひとつなぎの大秘宝を入手すること自体も、ルフィの直接的な夢ではない可能性も高い。そう考えると、ルフィの夢の果てとは「具体的なモノを得ること」ではなく、【何かしらの状態】を漠然と指し示しているだけなのかも知れない。
例えば「こうあればいいなー」「ああなればいいなー」的な。
ルフィの夢を知るキャラクターは何人いる?
一方、ルフィの夢の果ての正体を知るキャラクターは何人いるのか?
まずルフィの夢を知るキャラは「麦わらの一味」になります。海賊船のサウザンド・サニー号も意味深にビックリマークが付いているものの、【ゾロ】【ナミ】【サンジ】【ウソップ】【チョッパー】【ニコ・ロビン】【フランキー】【ブルック】【ジンベエ】の合計9名。
それぞれのリアクションも様々でした。
その直後の場面も含めると、サンジ、フランキー、ブルック、ジンベエは爆笑しています。チョッパーは「それいいなー」と喜びの涙を流す。ゾロ、ウソップは戸惑いの表情で、ニコ・ロビンはハッとした表情を浮かべる。ナミは肘を突いて「あんたらしいけど」と微笑む。
○シャンクスやレイリーもルフィの夢を知る
そして、ルフィは【赤髪のシャンクス】にも自身の夢を語っていました。タイミング的には赤髪海賊団が13年前にフーシャ村に滞在していた当時。シャンクスのリアクションは「涙を流して笑っていた」とのこと。ロジャーの面影を見て涙を流していたか。
事実、シャンクスはルフィがロジャーと同じ夢を話していたことをシルバーズ・レイリーに嬉しそうに語っていました。もしルフィの夢≒ロジャーの夢と解釈するのであれば、ルフィ自身の口からは話していないものの【レイリー】や【白ひげ】も候補に入るはず。
光月おでんはルフィと会ったことがないため除外。
ただシャンクスはラフテルから帰還したロジャーに泣きついてるシーンがありました。「涙を流す」という点では、ルフィの夢を聞かされた際のリアクションと同じ。でも一方では泣いていたのに、一方では笑っていた。シャンクスが涙する理由も意味深。
○ヤマトが泣いた意味とは?
また前述のように、革命軍の【サボ】と元白ひげ海賊団の【ポートガス・D・エース】の2名も、ルフィの夢の果ての正体を知っています。前述のようにサボの反応は爆笑し、エースは唖然としていました。
エースに関してはマリンフォード頂上戦争で死ぬ間際、「お前の【夢の果て】を見れないことが心残り。お前なら必ずやれる」と語っていました。ルフィの夢は突拍子がないものではあるものの、エースは本気で実行できるものと頑なに信じていた模様。
このエースの「見る」「やれる」という表現を聞く限り、やはり具体的なお宝を入手するというニュアンスは感じません。
そのためエースが思わず口が滑った際、ヤマトに対して「絶対に笑うな」と釘を差していました。だから【ヤマト】もルフィの夢の果てを知る一人です。ヤマトは麦わらの10人目の仲間とされますが、実は誰より早く知っていたカタチ。
一方、ヤマトのリアクションは「涙をポロリと流す」というものでした。どこか表情は嬉しそうですが、何となくルフィの夢に強く共感しているような表情にも見えます。何となく麦わらの一味だとロビンのリアクションに近そう。
とてつもないルフィの野望に心が打ち震えている感じ?少なくとも、ルフィの夢の果てが「具体的なお宝を得る」程度のものであれば、わざわざヤマトが涙することはないはず。
ルフィの夢の果ては「世界平和(PEACE)」だった?
ということで本題に入ります。果たしてルフィの夢とは一体何なのか?
結論から言うと、ルフィの夢は「世界平和」と予想してみる。既にONE PIECEの正体は平和(PEACE)説も考察していますが、ワンピースのPIECEは【平和のPEACE】だったのではないか?
ルフィは幼少期から同様の夢を抱いていたことから、「みんなが楽しく暮らせる世界」という子供じみた夢であっても不自然ではない。実際、ルフィの故郷フーシャ村があったゴア王国は貧富の格差や階級の格差がひどい国でもありました。
またかつて尾田さんは読み切り漫画『ロマンスドーン』で「ピースメイン」という言葉を登場させています。このピースメインは「悪い海賊を倒す海賊」を意味します。まさにピースメインとはルフィそのもの。英語の綴りは判然としないものの、普通に考えるとPEACE。
同作品は『ワンピース』のプロトタイプ作品のため、後のガープと思しきルフィの祖父も登場しているんですが、「本当のお宝ってのはなァ…バカでけェダイヤなんかじゃねェ…金銀サンゴパールじゃねェんだ…」と【親友や仲間】が一番重要な宝であることを暗に仄めかしています。
ひとつなぎの大秘宝は「人繋ぎ」とも解釈されますが、仲間と楽しく暮らせる世界とはまさに【平和な世の中】そのもの。ルフィは本来悪い海賊だからこそ、敢えて対極に位置する平和を望んでいる。
○最終目的はルフィが「海賊王」になって何をするか?
『ワンピース』の着想は作者・尾田栄一郎が中学生頃に生まれているため、ルフィの夢の果て(作品のオチ)も至ってシンプルだとしても自然。中学生は英語を初めて習う時期。同じ読み方のPIECEとPEACEが別の意味だったことを不思議に思った大人も多そう。
考えてみると、ルフィが唯一明言している【夢】は「海賊王になること」だけでした。その点でルフィの夢そのものは既にハッキリと判明している。
しかし前述のように、これ自体はルフィの【夢の果て】ではありません。結局、ルフィが海賊王になった後(夢を叶えた後)に何をするかが重要になってくる。海賊王とは「海賊の頂点」。これは悪い海賊たちは全員倒した上で選ばれる称号。
つまり、海賊王となったルフィが実現させたい夢が、まさに「海賊がいない平和な世界」。
実際、嬉しそうに涙を浮かべていたヤマトは、ワノ国で父親のカイドウによってずっと長らく幽閉されていました。だからこそ抑圧された世界からの解放を目指すルフィの夢に強く共感して、ヤマトは涙を思わず流したのではないか?
もちろんロジャーでも実現できそうですが、ロジャーは病気で余命いくばくもなかったことが大きいか。またジョイボーイや太陽の神ニカといった存在も複雑に絡んでくるので一概には言えないものの、遠からず近からずではないか。
【黒ひげ】終わらない夢との対比と比較
続いては黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)の【夢】と、ルフィの「夢の果て」を対比させようと思います。ちなみに、自分が数年前にYouTubeで考察した内容と重複しています。
黒ひげの名言といえば「人の夢は終わらない」でした。
空島は存在しないと嘲笑したベラミーに対して、ルフィは徹底して無視を貫いた。最後までベラミーのケンカを買わなかったルフィの姿を見て、黒ひげが酒瓶を片手に「海賊が夢を見る時代は終わるって?人の夢は終わらねェ」と嬉しそうに擁護した中で放った名言でした。
つまり、ルフィの夢は【終わる】のに対して、黒ひげの夢は【終わらない】。つまり同じ夢でも方向性が全く異なる。「夢が終わらない≒夢が叶わない」と解釈した場合、黒ひげの発言は名言にも聞こえるものの実は真逆。結局、夢は叶えてナンボ。
だから両者の夢は見事に対比させてあることは明白。
また夢が終わるという状況は「夢から覚める」ことも意味します。『ONE PIECE FILM RED』でウタが仮想世界(ウタワールド)に人々を閉じ込めて偽りの幸せを押し付けようとしていましたが、黒ひげの発言もそれに近いニュアンスだった。
○夢は「夜」の象徴、夜明けは「朝」を象徴する
また人間が眠って見る実際の夢は、主に「夜」に見るものです。逆に、夢から覚めると「朝」が来る。人間は太陽が沈むと眠くなって、太陽が昇ると起き始める。
つまり、ルフィが語る夢とは【朝】を意味し、黒ひげが語る夢はそのまま【夜】を意味していることが分かります。Dの一族は「夜明け(朝)」をもたらす存在でしたから、ルフィの夢の果て(ロジャーの夢)はDの一族の悲願でもあった。
そう考えると、『ワンピース』の中で語られている夢という言葉は、基本的に【悪夢】のことを指していたのではないか?だからこそ、黒ひげは【悪夢】を終わらせたくないし、ルフィは【悪夢】を終わらせたがっているのではないか。
黒ひげがモックタウンで「人の夢は終わらねェ」と高らかに叫んだ際、ルフィたちが明確に賛同せずノーリアクションだった理由も悪夢を暗に意味していたからではないか?
○「眠るルフィ」と「眠らない黒ひげ」
実際、ルフィは作中で頻繁に「眠るシーン」が描写されていますが、これも夢の果てを関連付ける伏線でもあった。それに対して、黒ひげは生まれてこの方「一度も眠ったことがない」特殊体質だったことが、若かりしバギーとシャンクスの会話から判明しています。
つまり、黒ひげは一度も「夢を見たことがない」悲しい男でもある。逆に言うと、黒ひげは夢を見たことがないから、その夢を終わらせることもできない。でも、黒ひげが一度だけ夢を見られる瞬間があります。それが「死亡」したときだけ。
じゃあ、黒ひげはいつ死亡するのか?まさにルフィに倒される瞬間。ルフィが夢を叶えた時(終わらせた時)、黒ひげの悪夢もそこでようやく終わる。まさに悲劇の結末。ただ黒ひげを倒して、そこで『ワンピース』という物語が終わるわけではありません。
○夜明けは「最後の戦い」の幕開け?
海賊王となったルフィに待っているワンピース最後のラスボスがイム様でした。つまり、Dの一族が目指す夜明けとは、実は「新たな戦い」の始まりでもある。
実際、ワンピース序盤のクロ戦の「夜明け」に象徴されるように、ウソップの村に平和が訪れることはなく、逆に日の出は新たな戦いのファンファーレを告げていました。
だからワンピース終盤の展開としては、Dの一族であるルフィが海賊王となって夜明けが来た後、太陽の神ニカの能力でイム様を倒して天竜人による真の支配が終わるのではないか?
ルフィが「夢の果て」を初めて麦わらの一味に語ったワンピース1060話では、イム様が自らの能力でルルシア王国を木端微塵に破壊していました。まさに平和とは真逆のシーン。ルフィの夢の果てと同じタイミングで、さも対比させるように描かれていたのではないか?
○ロックス・D・ジーベックもまた同じ夢を見ていた?
またビッグマムといった後の四皇を40年以上前に従えていた、かつての世界最強の海賊が【ロックス・D・ジーベック】でした。
このロックスが目指していた夢とは「世界の王」でした。そして、現在の世界の王が「イム様」でした。ロックス海賊団はとある儲け話のために結成されたとされますが、実は【イム様の打倒】が本当の目的で結成されていたのではないか?
そして、ロックスの正体は「黒ひげの父親」の可能性が高い。だから黒ひげとルフィの夢の方向性は違ったものの、実はその父親であるロックスの夢とは同じだったのではないか。つまり、「ルフィ≒ロジャー≒ロックス」の3名の夢は共通していた?
それぞれの名前の語呂合わせで考えると、ルフィはモンキーで「門+KEY」、ロジャーはゴールで「GOAL」、ロックスは英語のLOCKで「鍵穴」になります。
イム様に最初に反旗を翻し、鍵穴を作ったのが【ロックス】。その後、【ロジャー】は最初にラフテルに辿り着き、そこに導く目的(ゴール)を作る。そして、最後に夢の果てという「固く閉ざされた門を開ける鍵」が【ルフィ】という流れだった?
コメント
おそらくルフィの夢の果ては、全世界の人と宴をすることです。
そのためにひとつなぎの財宝を手に入れたいのでしょう。