『ワンピース』の新世界編で初めて訪れたのが「魚人島(リュウグウ王国)」。魚人島は魚人族や人魚族だけが暮らす島だけあって深海1万メートルにあり、レッドライン(赤い土の大陸)のちょうど真下に位置する場所。それだけに魚人島に隠された伏線は多い。
例えば、ジョイボーイなる謎の人物が800年以上前に人魚姫にあてた謝罪文が記されたポーネグリフを残してたり、シャーリーなる超有能な占い師が「ルフィが魚人島を破壊する」という予言を残すなど、魚人島が再びクローズアップされる日も近い。
そこで今回ドル漫では「オトヒメ王妃の正体&暗殺事件」をフルカラー画像付きで徹底的に考察していこうと思います。今更感はありますが、今後ルフィが魚人島に戻ってくることがある場合、オトヒメ王妃の存在が鍵を握る?
オトヒメ王妃の正体とは?
まずはオトヒメ王妃の正体についておさらい的に考察。
オトヒメ王妃とはリュウグウ王国の王妃。年齢は享年36歳。改めて後述しますが、オトヒメ王妃は最終的に10年前に死亡してます。金魚の人魚族ですが、身長は224cmと人魚族ではかなり小さめ。誕生日は1月10日。声優CVは根谷美智子。
モデルは日本のおとぎ話・浦島太郎に登場する「乙姫」。乙姫とは、浦島太郎が亀に連れられていった竜宮城のお姫様。リュウグウ王国のモデルも竜宮城そのもの。そう考えるとネプチューン王の存在は異質ですが、おそらく竜宮城の主がモデルのはず。
ワノ国は桃太郎といった色んな日本のおとぎ話がモチーフにしてることから、今振り返って考えるとオトヒメ王妃のモデルも実は意味深。実際、オトヒメ王妃の服装がワノ国風の着物。かつてワノ国と魚人島に交流があった裏返しではないか?
まさに、それをつなぐ存在こそがDの一族だったりする?オトヒメ王妃のヤバすぎる正体については後述。
オトヒメ王妃は見聞色の覇気の使い手
続いてはオトヒメ王妃の「能力」を考察。
オトヒメ王妃はとにかく非力。ビンタした腕が複雑骨折するなど、「人並み外れて弱い」とワンピース作中では表現されるほどか弱い。また悪魔の実も所有しないなど、オトヒメ王妃のバトル描写は皆無。ただし、それでもひとつだけ大きな特殊能力を持っております。
それが「見聞色の覇気(けんぶんしょくのはき)」。覇気の中でも相手の動きを察知したり、中にはシャーロット・カタクリのように未来予知的な能力まで及ぶことも。麦わらの一味ではウソップも得意な覇気だったりします。
実際、オトヒメ王妃が登場した当初から賊の弾丸を華麗に避けるシーンが描写されておりました。これも見聞色の覇気がなせる技でした。
他にもネプチューン王との会話で「彼の心から聞こえる声が…」といったセリフから、オトヒメ王妃はかなりの見聞色の覇気の使い手であることが読み取れます。これまで登場したワンピースキャラでも心の声まで聞こえるレベルの使い手は海軍のコビーなど限られる。
残念ながらズニーシャや海王類クラスの声までは聞こえなかった模様ですが、それでもトップクラスに秀でてる見聞色の覇気の持ち主だったに違いない。
オトヒメ王妃の性格とは?
続いてはオトヒメ王妃の「性格」と「目的」を考察しようと思います。
オトヒメ王妃の性格は「愛の人」と呼ばれるほどの平和主義者&平等主義者。一方、情熱家でもあるため強盗犯に対して愛のビンタをかますこともありますが、オトヒメ王妃の信念は「誰もが差別なく暮らせる世界」の実現。
さながらビッグマム(シャーロット・リンリン)のWCIも彷彿とさせますが、オトヒメ王妃の手段はあくまで友好敵。人間族も魚人族、人魚族も人種に分け隔てなく「タイヨウの下」で生きられる社会を目指す。水中でも生存できる魚人族たちにとっても「太陽の光や空気」はやはり必須。
それにも関わらず、何故魚人族は深海1万メートルという日陰も日陰で暮らさなければいけないのか?という話。実際、地上まで浮上してシャボンディ諸島にもこっそり見に行く魚人たちもおりました。これに強い疑問を抱いていたのがオトヒメ王妃。
オトヒメ王妃の目的は世界会議の参加
そこでオトヒメ王妃は「世界にはもっと素敵な場所がある。勇気を出して一番欲しいものを欲して下さい。その障害が人間ならばみんなでぶつかりましょう」。「そうすれば魚人島の子供達の生きる未来が少しだけ変わるかも知れない」と泣きながら呼びかける。
あえて差別されてる側の魚人族や人魚族に自ら人間たちに寄り添うように促す。
そして、オトヒメ王妃が取った最終手段が「世界会議(レヴェリー)」への参加。
やはり地上の世界を牛耳るのは天竜人(世界貴族)。だからこそ彼らに直接訴えかけて、リュウグウ王国の地上へ移すこと、つまり魚人族や人魚族の地上へ移住を認めさせれば状況が変わると考えた。
オトヒメ王妃が署名活動を始めたのが17年前。その翌年に娘のしらほし姫が誕生してるんですが、その後、冒険家のフィッシャタイガーが聖地マリージョア襲撃事件を起こし、後に王下七武海となるジンベエたちと共に「タイヨウの海賊団」を結成する。
奇しくも海賊団の名前がオトヒメ王妃が目指す「タイヨウ」と同じだったのは皮肉な話ですが、タイヨウの海賊団の快進撃と反比例するように魚人島の立場は悪化する。つまりはオトヒメ王妃の「世界会議への参加」という悲願は遠のく。
天竜人のミョスガルド聖と共に地上へ
12年前に後に革命軍メンバーとなるコアラ(当時11歳)がタイヨウの海賊団に拾われる。コアラはフィッシャタイガーと同様に聖地マリージョアの元奴隷。コアラの境遇を不憫に思ったタイヨウの海賊団たちはコアラを親元に届ける。
しかし、フィッシャタイガーは海軍の襲撃にあって死亡。アーロンやジンベエたちは暴走し、魚人族と人間の対立が更に深まる。それでも負けずに署名活動を行うオトヒメ王妃。
そこへ世界政府からジンベエの七武海入りを打診される。オトヒメ王妃の活動を知っていたジンベエは「世界政府と魚人族の距離を近づけよう」とその話を快諾。ジンベエの暴れっぷりを脅威視した世界政府も魚人族との融和を考えた上での話だったため、双方の思惑は奇しくも合致した。
結果的にアーロンは恩赦で東の海に開放されてしまうものの、直後に魚人島に天竜人のミョスガルド聖が漂着する。魚人奴隷をコレクションしていたミョスガルド聖は、フィッシャタイガーによって開放された魚人奴隷を取り返そうと画策するも見事に難破。
当然怒りに震える魚人たちはミョスガルド聖を殺そうとするものの、オトヒメ王妃は「人間たちへの怒りを、憎しみを子供達に植え付けないで」と説得。
魚人たちは銃を下ろすものの、今度は逆ギレしたミョスガルド聖はオトヒメ王妃の命を狙う。しかし、そこで危険を察知したしらほし姫が大泣き。大量の海王類を呼び寄せてしまう。まさに古代兵器ポセイドンとしての能力が開花した瞬間だった。これに腰を抜かしたミョスガルド聖は失神。
その後、治癒されたミョスガルド聖は悪態をつきながらも地上にしぶしぶ帰還。これをチャンスとばかりにオトヒメ王妃はミョスガルド聖に同行し、聖地マリージョアで天竜人たちを説得した。
そして、オトヒメ王妃は一週間後に「魚人族と人間の交友に賛同する」という天竜人の意見書を持ち帰る。この天竜人の書状の効果は絶大で、これまでと打って変わって順調に署名が集まりだす。オトヒメ王妃の「地上への移住」という悲願が7年の時を経て成就するのも間近だった。
10年前に起きたオトヒメ王妃暗殺事件とは?
ただし、大量の署名が集まった直後に悲劇が起きる。
署名が何者かの手によって燃やされ、この騒ぎに乗じてオトヒメ王妃が狙撃される。しかしながら、オトヒメ王妃は「犯人は誰であれ私のために怒らないで。もう一息よ。本物のタイヨウの下まで」と自らの遺志を子供達に託す。
そして、このままオトヒメ王妃は36歳の若さで死亡。この暗殺事件が起きた10年前にはアーロンがナミが育ったココヤシ村を支配し、ロジャー海賊団のオーロ・ジャクソン号を造船したトムさんが処刑されてたりします。あまり良い事件はない。
ちなみに、オトヒメ王妃を狙撃した犯人は「ホーディ・ジョーンズ」。後にルフィに倒されますが、人間の海賊を犯人に仕立て上げ、両者の対立や憎悪を煽ろうと画策。つまり、天竜人の差し金などではない。オトヒメ王妃は見聞色の覇気で避けられなかった理由は、おそらく火事に気を取られていたから。
犯人は黒ひげ海賊団のヴァン・オーガー説もありますが、少なくとも見聞色の覇気を使って犯人の正体は知っていたことは確実。それでもオトヒメ王妃は「魚人族の未来(地上に移住して人間たちと暮らす)」を思って対立をこれ以上深めないためにあえて黙っていたんだと考察できます。
○オトヒメ王妃の死後に何が起きた?
もちろん魚人島の市民や国民たちは怒り心頭。
例えば、夫のネプチューン王は「我が妻を殺した者をなぜブチ殺してはならんのか!?わしには到底わからんのじゃもん」とブチ切れ状態。まさに血の涙も流さんがほどの慟哭にくれる。でも結果的に冤罪だったことを考えると、ネプチューン王はオトヒメ王妃の恨みを晴らさないで良かった。
その後、オトヒメ王妃の国葬が開かれたときに、フカボシ、リュウボシ、マンボシの3名の息子たちが「母の願いは私達が生涯をかけて引き継いでいくと決めました。一緒にタイヨウの夢を見ましょう」と魚人島の市民たちに語りかける。
そこから10年後、フカボシたちが地道に署名を集め続けた結果、ついに世界会議(レヴェリー)への参加が正式に認められる。
しらほし姫も「叶うなら地上に住んでみたいです。王国の皆様にもこのタイヨウの世界を見せてさしあげたい」と、聖地マリージョアに向かう巨大ゴンドラの美しい景色を眺めながら涙する。最終的につつがなく世界会議は終幕し、しらほし姫はリュウグウ王国の帰路に着いた。
しかしながら、ゴア王国のステリーを筆頭に魚人族や人魚族に対する偏見は根強い。他にも世界会議終了後に起きたアラバスタ王国での事件など、オトヒメ王妃の願いが本当に叶うまでにはまだまだ一波乱二波乱ありそうです。
オトヒメ王妃の正体はDの一族か?
最後はオトヒメ王妃の正体を改めて考察してみようと思います。
結論から書くと、オトヒメ王妃の正体は「Dの一族」の可能性がありそう。
実際、オトヒメ王妃の死に際の表情を見ると「笑顔」でした。
『ワンピース』は死亡キャラが少ないと揶揄されることもありますが、だからこそポートガス・D・エースやゴールド・ロジャーなどこれまで死亡したキャラは不思議と笑顔のまま死亡してる。しかも、どっちもDの一族。光月おでんも死に際は露骨に笑顔を浮かべておりました。
もちろん古代兵器ことしらほし姫の暴走を防ぐために、あえてオトヒメ王妃は安心させようと無理して笑顔をつくろった場面ではあります。それでもエース然り、笑顔で死亡するのはDの一族の特徴。泣き顔の長男・フカボシたちとの対比も印象的。
一方、古代兵器ポセイドンの能力とルフィとの共通点を考えたら、しらほし姫も「Dの一族」との関連性を強く匂わせる。
しらほし姫はオトヒメ王妃の血を引いてる以上、リュウグウ王国の人魚族や魚人族そのものがDの血筋を引いてる可能性は高い。クジラと唯一会話できるネプチューン王も、Dの一族の血筋を薄っすらと引いてるからこそなのではないか?
聖地マリージョアに存在した謎の巨大な麦わら帽子も、かつて800年以上前の空白の100年に生きていた人魚姫のものだったのではないか?
○タイヨウの意味は「夜明け(Dawn)」のこと?
そして、オトヒメ王妃は「タイヨウの世界」を目指していたことは周知の事実ですが、何故か太陽はカタカナ表記でした。日光がさんさんと降り注ぐ地上に移住する意味で言えば、そのまま「漢字の太陽」で構わないはず。でもオトヒメ王妃の正体を紐解く上で重要な伏線が隠されていたとしたらどうか?
結論から書くと、太陽は朝や昼の時間帯を意味する。つまり、タイヨウは「夜明け」のことを暗に指し示してる。もちろんDの意味とはDawn(夜明け)の可能性が高い。また『ワンピース』ではタイヨウという言葉は他にも使われておりました。
それがタイヨウの海賊団。初代船長のフィッシャタイガーが目指したのは「自由」と「解放」。そして、オトヒメ王妃が目指したタイヨウの世界は「自由」と「平等」でした。まさにタイヨウとはDの一族が体現しようとした思想であり理想そのもの。
だから、オトヒメ王妃の遺志はまだまだ実現されてない状態ではありますが、ルフィがいずれ魚人島を破壊するという伏線も残されてる現状、魚人島やリュウグウ王国の存在が再びクローズアップされる日は遠くないはずです。
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