『ONE PIECE』で四皇に匹敵する勢力とされたのが王下七武海。現在は藤虎イッショウなどの働きかけもあって、世界会議(レヴェリー)において王下七武海制度は廃止されています。
そのためジュラキュール・ミホークやボア・ハンコックは七武海ではありません。中にはバギーのように四皇にまで上り詰めた元七武海もいますが、基本的に現在は普通の海賊と同じ扱いになっています。
この七武海で主人公のモンキー・D・ルフィに最初に敗北した男が「サー・クロコダイル」になります。ただこのサー・クロコダイルの性別が実は【女性】だったのではないか?というネタがワンピース考察界隈では昔から話題になっています。
そこで今回ドル漫では「サー・クロコダイルの性別が女性だった説」を徹底的に考察しようと思います。つまり、クロコダイルは元女性だったのではないか?
イワンコフに握られる弱みは性転換か?
そこでまずクロコダイルの性別が元々は女性だったと言われる理由を考察します。
それが革命軍幹部のエンポリオ・イワンコフの「クロコダイルの弱みを一つ握っている」という発言にあります。詳細は不明ですが、クロコダイルがルーキー時代に【イワンコフに助けられた過去】があったことを匂わせています。
これに対して、クロコダイルも強く反論できないでいました。
事実、イワンコフは「クロコボーイ」と呼ぶなど、二人の間柄には主従関係が見て取れます。現在クロコダイルの年齢は46歳。イワンコフの年齢が53歳。両者の年齢差は7歳前後にとどまることから、イワンコフはクロコダイルによほどの貸しを作ったと見えます。
一方、約25年前と仮定すると当時はまだ革命軍は結成されているかは微妙なため、クロコダイルの正体が元革命軍のメンバーだった可能性は低そう。そのためイワンコフの「個人的な因縁」にとどまると考えることができます。
○クロコダイルは「元女性」を隠したい?
ただ「クロコダイルが握られている弱み」とは一体何なのか?プライドが高いからこそ、誰かに負けた過去を隠したいのか?
イワンコフの悪魔の実と言えば「ホルホルの実」でした。ホルモンを操作できる超人パラミシア系悪魔の実ですが、ざっくりいうと【性別を転換させられる能力】でした。
そのためクロコダイルの性別を男性に変えた…つまり元の性別は女性だったのではないかという推測が導き出される。確かに海賊王を曲がりなりにも目指すクロコダイルにとって、再び女性に戻されたら戦闘力が下がって溜まったものではない。
事実、イワンコフは「大人しく【力】だけ貸すなら黙っててあげる」とクロコダイルを脅してるものの、何故か【力】の部分がセリフで強調されていました。これはかつてイワンコフが同様に、【ホルホルの能力】をクロコダイルに貸してあげたという伏線なのかとも読み取れます。
右耳のピアスは女性の証拠?
ということでクロコダイルの性別が元々は女性だった伏線を考察していきます。
まずそれが「右耳のピアス」。一般的に男性は左側にピアスを装着していることが多い。
何故なら左耳のピアスは【守る人】、右耳のピアスは【守られる人】という意味が込められているから。つまり、前者が男性、後者が女性を象徴します。そのため同性愛者の男性は右耳のピアスを装着していることが多かったりします。
事実、『ONE PIECE』でもロロノア・ゾロは左耳にピアスを装着しています。
だからクロコダイルが右耳のピアスを装着している理由は「元女性だった名残」なのではないかと推測できます。
七英雄・ワグナスは「女性的な男」だった
また王下七武海のモデルはRPGゲーム『ロマンシング・サガ2』に登場する七英雄(しちえいゆう)になります。魚人のジンベエのモデルは半魚人のスービエなど設定が酷似しており、クロコダイルのモデルは七英雄のリーダー・ワグナスと言われています。
『ロマンシング・サガ2』のワグナスはバレンヌ帝国の支配を目論んでいたように、クロコダイルもアラバスタ王国の乗っ取りを目論んでいました。
ただワグナスの性別は男性なんですが、実は「性別を超越した女性的な姿」をしていたというキャラクター設定でした。そのため仮にイワンコフに性転換させられていた場合、クロコダイルの性別の曖昧さはモデルのワグナスと共通する部分が多い。
バロックワークスとSir
クロコダイルの正式名称は「サー・クロコダイル」でした。ただし、サーは愛称や異名になります。そのため本名は不明。
ただsirの意味は「目下の人が目上の人に使う尊敬語」として英語圏では使われています。軍隊で「Yes, sir」という有名なフレーズはよく聞きますが、上官に対して徹底して服従するという意味合いを持ちます。これはクロコダイルにおいても同じ。
またsirは主にイギリス圏だと「男爵」や「○卿」といった貴族に対してファーストネームにかかる尊称でもあります。だから、サーという言葉は社会的地位の高い相手に使う言葉である一方、「男性」を強調した言葉としても有名です。
そのため元女性であるクロコダイルは「敢えて男性の尊称を使用している」のではないかということ。他にも「No,Sir(そうではございません)」といった具合に【否定する際に使われる言葉】でもあるため、元女性性を強く否定しているようにも見えます。
またクロコダイルはバロックワークスの創設者でした。バロック(baroque)は日本語で「歪(いびつ)」という意味になります。まさにクロコダイルの「歪な性別」が象徴された組織名だったのではないか?
女の秘密と乙女座
クロコダイルはマリンフォード頂上戦争後の動向は不明ですが、どうやらMr.1(ダズ・ボーネス)と共に新世界を旅していることが判明しています。それでも登場機会は現在もなお皆無に等しいんですが、扉絵などではたまーに描かれたりします。
例えばコミックス93巻の扉絵でクロコダイルがやはり登場しているんですが、この938話のタイトルが「女の秘密」でした。この回は小紫の正体が光月日和と判明した回だったんですが、何故わざわざクロコダイルを扉絵に持ってきたのか?
他にもコミックス56巻544話の「地獄の釜の蓋もあく」という回では、クロコダイルと黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)が会話するシーンがありました。
黒ひげが「あの時、七武海の後釜を狙ってたおれとしちゃ」と言うと、クロコダイルが「白ひげの船の名も無い海賊がおれの後釜に入ったと聞いているが…」などと応戦している。
そして扉絵ではカマバッカ王国で人生を謳歌するサンジが描かれており、やたらと【釜】が強調されていた回でした。この釜は【オカマ】と解釈すると、元女性の男性という曖昧な性別を併せ持つクロコダイルの秘密を暗にネタバレしているようにも見えます。
またクロコダイルの星座が「乙女座」になります。これまでの伏線を考えると、星座も元女性説を裏付ける仕掛けだったのではないか。
クロコダイルの正体がもと女性だった可能性は低い
ただし、結論をまとめるとクロコダイルの性別が女性だった可能性は残念ながら低いと思います。
例えば、イワンコフはクロコダイルのことを「クロコボーイ」と呼んでいる。性別を転換させた張本人であれば、「クロコガール」と表現するのが自然。ルフィは麦わらボーイ、エースはエースボーイと呼んでいることからも、性別は元から男性のはず。
他にも右耳のピアスも特に意味はなさそう。例えば、ヴィンスモークファミリーのサンジの髪の毛の分け目の変化も特に理由はありませんでした。
また先程の56巻544話の伏線も冷静に考えると、オカマは「元男性の女性」を意味しているため、クロコダイルが「元女性の男性」としたら【オナベ】という表現を使うのが自然。星座に関しても、青雉クザンも乙女座だったりします。
そのため今回考察した内容はどれもクロコダイルが女性であることを裏付ける根拠としては弱いでしょう。
クロコダイルの幼少期が男の子
そこでクロコダイルの幼少期をチェックしてみようと思います。前述のようにクロコダイルがイワンコフと出会ったのはルーキー海賊の時代でした。幼少期のクロコダイルはイワンコフと出会っていない(少なくとも弱みを握られていない)以上、元の性別が読み取れるはず。
幼少期のクロコダイルがこちら。パッと見は完全に男の子。髪の毛のツヤ感から女の子説を疑う考察もありますが、服装を含めて普通に考えると♂と考えるのが自然。
他にも「七武海の人たちがホルホルの能力を使って性別を変えたらどうなりますか?」という質問がSBSに投稿されたことがありました。まさに今回の考察の肝と呼ぶべき答えが、既にワンピースの単行本には描かれています。
性転換バージョンのクロコダイルがこちら。
本来は計略家のクロコダイルに占いを信じると言わせてみたり、ハートマークを使うなど、完全に女性バージョンが描かれていることが分かります。他の七武海も女性バージョンもセリフにはハートマークが使われるなど、特に言うまでもないでしょう。
そこでボア・ハンコックの男性バージョンを見てみると、完全に雄々しい姿が描かれています。もしクロコダイルの性別が女性であれば、雄々しい姿を描くのが自然。そのためクロコダイルの性別が元々女性だった可能性は低い気がします。
クロコダイルは「女になる病気」にかかっていた?
続いては「女性になる病気だった説」を考察します。
実はワンピース1063話で「女になる病気」が存在したことが判明しています。画像は最悪の世代のトラファルガー・ローが黒ひげ海賊団のドクQのシクシクの実によって、女性に性別が変わる病原菌に伝染させられている場面。
つまり、かつてクロコダイルも「女性に性別が変わる病気」にかかっていたのではないか?それを救出してくれた(再び男に戻してくれた)救世主こそが、まさにエンポリオ・イワンコフだった。
女性化したローはハートの海賊団の部下から「可愛い」と褒めそやされていたことから、クロコダイルもさぞ「屈辱的な反応」をされたに違いない。
覇王色の覇気が覚醒したローはシクシクの実を無効化して事なきを得たものの、ルーキー時代のクロコダイルの懸賞金は8000万ベリー止まりでした。それに対して、ローは現在30億ベリー。クロコダイルは現在でこそ懸賞金19億を超えるものの、その差は未だに顕著。
だから若かりし頃のクロコダイルは覇気の力が弱かったが故に「女性になる病気を克服できなかった」のではないか?
そもそもローにしても悪魔の実の能力で伝染されたから無力化できただけに過ぎず、もし「純粋な病」として最初から感染していれば覇気でも根治できたかは不明。実際、最強の覇気の使い手だったゴールド・ロジャーが不治の病を克服できていなかったのが好例。
それ故に、女体化に戸惑うクロコダイルはイワンコフのホルホルの実に頼らざるを得なかったのではないか?イワンコフに再び女体化されれば「屈辱的な過去やトラウマ」が想起されるから、クロコダイルは未だに逆らえないのではないか?
クロコダイルは左腕をダグラス・バレットに奪われた?
最後は性転換以外の「クロコダイルの弱み」も考えたいと思います。
クロコダイルは白ひげ(エドワード・ニューゲート)に敗北した経験があるんですが、他にも元ロジャー海賊団のダグラス・バレットとも因縁の過去があります。クロコダイルの方が1歳だけ年上なんですが、2人の実力差を考えるとダグラス・バレットの圧勝か。
事実、敗北した側が「勝った側」に対して、因縁は本来持ちません。まさに敗北者のメンタル。
ただダグラス・バレットは元海軍という経歴も含めて、性格は傍若無人そのもの。そのためクロコダイルの「左腕はダグラス・バレットに切断された」のではないか?つまり、瀕死も瀕死の状態に追い込まれたところをイワンコフが救出したのではないか?
プライドが高いクロコダイルにとって、オカマのイワンコフに命からがら助けられた過去はまさに「人生の汚点・黒歴史」そのものでしょう。だから、クロコダイルの弱みはワンピース読者が想像してるほど大したものではないはず。
例えば、カイドウはビッグマムに「デカい借り」がありました。ビッグマム曰く、「一生の恩」と表現するほど。そのため最初は仰々しい内容や過去が予想されたものの、蓋を開けてみると【ウオウオの実モデル・青龍】という幻獣種の悪魔の実をカイドウにプレゼントしただけでした。
だから「クロコダイルの弱み」も深い意味はない可能性も高いです。
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