先日、「落とし前戦争」について解説したので、今回も『ONE PIECE』のマイナーな事件…と表現するとやや語弊はありますが、実は重要なんだけど意外と覚えてる読者が少なそうな事件を取りあげたいと思います。
それが「バナロ島の決闘」。既に画像を見ればなんとなく思い出すワンピース読者も多そうですが、今回ドル漫では改めて「バナロ島の決闘」について徹底的に考察していこうと思います。
バナロ島の決闘とは「エース vs 黒ひげ」の代理戦争
バナロ島の決闘とは、「エース vs 黒ひげ・ティーチ」の間で勃発した代理戦争のこと。バナロ島の名前は覚えてなくても、二人の戦いそのものは覚えてるワンピース読者は圧倒的に多そうです。それぐらい有名。
エース(ポートガス・D・エース)は白ひげ海賊団のメンバーであり、その二番隊隊長。一方、黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)は黒ひげ海賊団の船長。もともと黒ひげは白ひげ海賊団に在籍し、エース直属の部下でもあった。
ただ黒ひげはサッチという四番隊隊長を殺して、悪魔の実・ヤミヤミの実を奪う。もちろん海賊の世界では仲間殺しはご法度。その後、白ひげ海賊団メンバーは誰もが黒ひげを恨んでいたが、船長・白ひげは黒ひげの得体の知れない強さに警戒して止めていた。
しかしながら、エースは頑なに拒否して一人で黒ひげに対する復讐を誓う。そして二人が最終的に戦った場所がバナロ島と呼ばれる島。まさに「白ひげ海賊団 VS 黒ひげ海賊団」の代理戦争がバナロ島の決闘。
「炎 vs 闇」の壮絶な戦いはバナロ島を消滅させる
白ひげ海賊団は四皇の一つに数えられることからも、そのメンバーも当然にして強い。こんな海賊団の中でトップクラス級のキャラ同士が戦ったため、バナロ島の決闘は壮絶なものだった。
黒ひげティーチはサッチから奪った「ヤミヤミの実」で闇を展開。
バナロ島にひしめく家屋を大量に取り込んで、一気に解放させる必殺技などを披露。ヤミヤミの実は自然ロギア系の中でも最強とも言われ、あらゆる能力者の効果を無効化させてしまう。他にも「闇渦(くろうず)」でエースを強制的に引き寄せて殴るなど、やりたい放題。
「悪魔の実最強ランキング」なども後で参照ください。
一方、エースはエースで自然ロギア系の悪魔の実「メラメラの実」を持つ。黒ひげに近付けないのであれば、遠目から攻撃すればいい。「火達磨」という技でまさに黒ひげを火ダルマ状態に追い込む。
最終的にはエースの「巨大な火球」と黒ひげの「深い漆黒の闇」で真っ向勝負。「ゼハハハ!太陽か!闇か!勝者は一人だ!」という黒ひげがこの時に言い放ったセリフが何とも印象的。太陽に例えるぐらいなので、エースの力も相当強かったに違いない。
バナロ島の決闘では「黒ひげ」が勝利!
じゃあ、バナロ島の決闘ではどっちが勝ったのかというと、黒ひげ・ティーチに軍配が上がります。冒頭に貼った画像を見ても分かるように、エースの帽子が地面に落ちていることからも「エースの敗北」を効果的に演出されております。
黒ひげは「敢えてエースを殺さなかった」と余裕しゃくしゃくに語って白ひげをブチ切れさせましたが、エースとの実力差は意外と大きかった模様。確かに現在黒ひげは四皇ですから、当然っちゃ当然か。
「ルフィの麦わら帽子」や「聖地マリージョアの麦わら帽子」といった考察記事も既に執筆していますが、ワンピースの世界観では「帽子」が一つの象徴的なアイテムとして使用されていることが改めて分かります。
「ビッグマム海賊団メンバー一覧」でも野球帽子を被ったキャラクターが描写され、そのことについてSBSなどで作者・尾田栄一郎が触れるなど、どうやら帽子そのものに何か執着みたいなもんも読み取れます。
○バナロ島の決闘から「マリンフォード頂上戦争」が勃発!
その後、黒ひげはエースを海軍に売り渡して王下七武海にまで上り詰めます。そして、エース処刑を食い止めるために「マリンフォード頂上戦争」が勃発。このマリンフォード頂上戦争で白ひげは死亡し、黒ひげがグラグラの実を入手して四皇まで出世。
他にも最悪の世代が台頭するなど、バナロ島の決闘をキッカケにワンピースは激動の歴史を歩み出した。考えてみると、エースも黒ひげもどっちも「D」の名前を持つキャラクター同士。そのため「Dの一族」同士による戦いも、このバナロ島の決闘が初めてだったのかも知れない。
意外とDの観点からバナロ島の決闘は語られることは少ないですが、客観的事実としてワンピースの中でかなり大きな歴史的な出来事でした。
バナロ島の決闘後のプチエピソード
だから、言ってしまえば「バナロ島の決闘=マリンフォード頂上戦争」に等しい。
非常に大きなイベントが起きる前の前触れ。でも逆に言うと、マリンフォード頂上戦争のインパクトが強すぎて、バナロ島の決闘前後に起きたプチ出来事を忘れてるワンピース読者も多そう。
○バナロ島の決闘を新聞ニュースで知るアブサロムたち
例えば、王下七武海だったゲッコー・モリア編の終了後、まさにモリアの部下だったアブサロムたち意気消沈したまま敗走の中、そこで「バナロ島の決闘」に関する新聞ニュースを読んでいたりします。
この場面の後にシャボンディ諸島を訪れた麦わらのルフィはバラバラに分散し、コミックスで例えると5巻分後にインペルダウン編が始まる。まさに「マリンフォード頂上戦争への伏線」が早くも描かれていたカタチ。
だから『ワンピース』における「新聞」は非常に重要なアイテム。
何故なら、作者・尾田栄一郎がしれっと先の展開をネタバレしてくれてるから。最近のワンピースで振り返ると、海軍大佐・コビーが読んでいた新聞に登場した「ベガパンクの正体」もそろそろ明らかになりそうか。
ちなみに現在アブサロムは透明化の能力を活かして、何故かフリーライター・アブサとして一世風靡している様子。このライター活動を支えてるのが、あの元七武海のゲッコー・モリアという説も。
○エースがバナロ島の決闘後に最後に遺した言葉とは?
他にもバナロ島の決闘後、黒ひげ海賊団から海軍に引き渡される瞬間にエースが放った最後の言葉も既に判明。ドレスローザ編に参戦した黒ひげ海賊団のバージェスが暴露・
それが「弟には黙ってて欲しい」。処刑される未来を知ったエースは、ルフィに知られると絶対に助けに来ると考えた。もしそうなればルフィも当然海軍に捕まって処刑される。相手はなんせ海軍大将たち。
ただ白ひげ海賊団の二番隊隊長であり、ましてやエースは海賊王ロジャーの息子。世界中に報道されないわけがない。バージェスは「バカな男だ。てめぇの命の価値を知らねぇ」と嘲笑したものの、この悪態を聞かされた革命軍のサボにフルボッコされてしまいます。
【解説】バナロ島の場所はどこらへん?
ちなみに「バナロ島」の場所はどこにあるのか?
バナロ島は「グランドライン(偉大なる航路)」のどこかにあることは判明済み。バナロ島は巨大なバナナ状の岩で形成されているのが特徴らしい。このバナナ岩を採掘するのがビジネスになっているのか、多くの開拓者によって作られた移民街であると考察されます。
ただルフィがアラバスタ王国で再会した以降にバナロ島の決闘が勃発していることからも分かるように、エースはどうやらグランドラインを逆走していた。そのため詳しい場所までは不明なものの、バナロ島はグランドラインの最初らへんに位置しているのかも知れない。
ちなみに「ワンピースの世界地図や地理」などを参照。
エースが持っていた「極秘情報」の意味とは?
ただ気になるのは、そもそもエースはどうやって黒ひげがバナロ島にいることが分かったのか?前述のように、エースは黒ひげの探索中にアラバスタ王国でルフィと偶然遭遇してるように、すぐ黒ひげの居場所を発見できたわけではない。
このクダリはワンピース本編では説明されてない…と思いきや、実は『ワンピース』30巻ちょいあたりの扉絵シリーズで連載済み。最近発売された扉絵オンリーを集めた『ONE PIECE DOORS』にも掲載されております。
とりあえず何やかんやがあって、エースは海軍の「G2(グランドライン第二支部)」に潜入した後、そこで「黒ひげに関する極秘資料」をゲットしてる。そして「バナロ島」に黒ひげがいることを突き止めた。
ただここで注目したいのは、エースが持つ「極秘のスーツケース」の存在。もちろん黒ひげの居場所に関する情報が入ってたことは間違いないと思うんですが、ただそれだけの情報であれば「極秘指定」をわざわざ海軍がするとは考えにくい。
つまり、本当の意味での「黒ひげに関するすごい極秘情報」が確実に隠されていたに違いない。むしろ黒ひげの秘密を読んで、エースが更に復讐心を燃やしたに違いない。サッチ以外にも殺してる?もしくはDの一族に関する秘密が書かれていた?
○黒ひげの極秘情報とは青雉クザンとの関係性か?
そこで現在の黒ひげの状況を思い返すと、ある考察が思い浮かびます。
実は現在、黒ひげは何故か元海軍大将・青雉クザンとつるんでる。五老星あたりも問題視するなど、この大きな謎は誰もが考察に苦しんでると思いますが、もし海軍大将時代から青雉クザンは黒ひげと内通していたとしたらどうでしょう?
まさに極秘情報。
結果的にエースが海軍から極秘情報を奪ってしまったから、青雉クザンのスパイ行動が発覚しなかった or 発覚が遅れた可能性も。もちろん何故そのことでエースの復讐心が燃えるのか?など疑問点は残るものの、可能性としては十二分に考察できそう。
実際、『ONE PIECE DOORS』では伏線や前フリっぽい記述が確認できるので、今後バナロ島の決闘のクダリを起点にエースの過去や黒ひげの謎が解明される可能性がありそうです。以上、ドル漫によるバナロ島の決闘まとめでした。
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