少年ジャンプ+で配信中のおすすめ漫画が『SPY×FAMILY』(以下、スパイファミリー)。コミックス発行部数は2022年4月時点で1500万部超え。コミックスの巻数は10巻にも満たないので、1巻あたり約170万部程度売れている驚異的な人気っぷり。
特に2022年4月にアニメ化されて以降、更に『スパイファミリー』の人気に拍車がかかっている印象です。ちなみに『スパイファミリー』の作者は遠藤達哉。出版社は集英社。掲載サイトは少年ジャンプ+。ジャンルはギャグ漫画。
そこで今回ドル漫では「スパイファミリーのネタバレ感想」を画像付きで徹底的にレビューしたいと思います。本当に面白い?実はつまらない?他にも『スパイファミリー』の内容あらすじ・登場人物なども考察してるので、アニメ派の方はややネタバレ注意です。
スパイファミリーの内容あらすじ
まずは内容あらすじを画像付きで解説します。
『スパイファミリー』の舞台は東国(オスタニア)。かつて西国(ウェスタリス)との間では壮絶な戦争が起きていた。今は戦争が終結したものの、いわゆる冷戦状態が続いていた。そのため現在は「仮初の平和」を保っているに過ぎなかった。
事実、東国の政治家【ドノバン・デズモンド】が西国の関係者を裏で次々と暗殺し、再び両国を戦争に巻き込もうと企んでいた。
この事態で白羽の矢が立ったのが西国(ウェスタリス)の天才スパイ(諜報員)だった。【黄昏(たそがれ)】というコードネームを持つそのスパイは、百の顔を持つ変装の名人だった。男はスパイになった際に身分は全て捨て去っており、本名などは不明。
しかし情報収集能力、分析能力、そして戦闘能力など非の打ち所がなく、彼のスパイ活動で西国が救われたことは数知れず。そこでデズモンドの動静を把握するために課せられたのが、〈梟〉(ストリクス)と呼ばれるオペレーションだった。
ただ用心深い性格のデズモンドは表舞台に出ることはほとんどなく、確実に現れるのが息子たちが通う名門小学校【イーデン校】で定期的に開催される懇親会のみだった。つまり、梟(ストリクス)の任務とは「偽装家族」を作ってイーデン校に潜入調査することだった。
しかしイーデン校に入学するためには難度が高い試験以外にも「親子面接」が必要だった。
○偽装家族を作ってイーデン校に潜入せよ
そこでまず黄昏は【ロイド・フォージャー】という精神科医としての身分証を偽造し、父親を演じるべく孤児院で里子を探す。そこで【アーニャ】という少女を引き取った。何故なら超難関のクロスワードパズルを軽々と解き明かすなど、「恐るべき知力」とロイドは驚嘆したから。
しかし、実際にはアーニャは「ロイドの考えやココロを読んでいた」だけだった。つまり、アーニャは「超能力者」だった。アーニャはもともと東国のとある組織が生み出した実験体だった。ただ勉強漬けの毎日に嫌気をさして逃亡し、孤児院を転々としていた。
その反面、好奇心旺盛だったアーニャは、ロイドの正体がスパイだと知ると思わずワクテカを覚える。そして「ロイドの娘」になる道をアーニャは快諾した。しかし、ロイドは続けて面接時に必要な母親役を探すために婚活を始める。
そこで偶然した女性が【ヨル】という普通の公務員だった。ただヨルの正体は「凄腕の殺し屋」だった。ロイドですら気配を察知できないなど、ヨルは圧倒的な戦闘力と隠密力を誇った。アーニャの好奇心は再び揺れ動く。ヨルを母親とするべく、遠回しにロイドを促す。
○デズモンドの暴走を食い止めろ
その後、結果的に【父親がスパイ】【母親が殺し屋】【娘がエスパー】という奇妙な偽装家族ができあがる。ただココロを読めるアーニャを除いて、ロイドもヨルもお互いの「本当の職業」は知らない。
それでも不思議な連帯感からお互いの絆は深まって、アーニャはイーデン校に無事入学させることに成功する。
そして、ロイドは対西国強硬派の極悪政治家【デズモンド】とイーデン校内でついに相見えることに成功。果たして東西和平はどうなるのか?果たしてロイド、ヨル、アーニャの偽装家族の運命はどうなってしまうのか?
ちなみに次の②ページ目は【登場人物】の紹介、③ページ目は【面白い漫画かどうかの考察】をレビューしています。文字量は1万文字程度なので特にページを分けるつもりはなかったんですが、画像が多かったので目的別でそれぞれのページをお読みください。
スパイファミリーの登場人物・相関関係まとめ
続いてはスパイファミリーの【登場人物】を解説します。基本的にメインキャラクターに絞ってますが、相関関係なども交えながら紹介します。ちなみにどのキャラクターも売れ線路線を狙って作ったそうで、作者・遠藤達哉的にはほとんど愛着はないんだそう。
○ロイド・フォージャー(諜報員)…続柄【父親】
続いての登場人物は【ロイド・フォージャー】。スパイファミリーの主人公。
ロイドは【黄昏】という異名を持つ西国きってスパイ(諜報員)。西国(ウェスタリス)の情報局対東課「WISE」に務める敏腕エージェント。そのため東国(オスタニア)が舞台にして、ロイドは数少ない西国出身のキャラクター。
ただし、本名は不明。あくまでロイドは偽の名前ですが、便宜上それで呼び名を統一します。
ロイド・フォージャーの声優は江口拓也。身長は187cm。
ロイドはもともとは東西戦争に巻き込まれた戦争孤児だった。それ故に、戦争に対して強い憎しみと嫌悪感を持つ。ロイドが望むのも子供が泣かない平和な世界。
そして若かりし頃、年齢を偽装して西国の兵隊として働いていたものの、その嘘の経歴を買われて陸軍情報部に入隊し、スパイとしての一歩を踏み出す。そして、現在、オペレーション〈梟〉の任務で東国に潜り込み、「精神科医のロイド・フォージャー」として日常生活を送る。
ロイドの特技は「変装」。『名探偵コナン』の怪盗キッドも真っ青に、百の顔を使い分ける。だから東国の国家保安局でも【黄昏】は脅威の存在として知られるものの、誰もロイドの素顔を知らないため素通りされることが多い。
ただ膨大な知識量と圧倒的な分析能力を持つ天才スパイをして、アーニャの一挙手一投足は読めないでいる。アーニャはロイドの心を読めるからこそ、余計に二人はすれ違う。果たしてロイドは父親として、また一流のスパイとして、アーニャと信頼関係を築けるのか?
○シルヴィア・シャーウッド(WISEトップ)…ロイドの上司
続いての登場人物は【シルヴィア・シャーウッド】。
シルヴィアは西国の情報局対東課「WISE」のトップを務める管理官にして、ロイド・フォージャーの直属の女上司。年齢は不明ですが、過去の戦争を実際に体験していることから、それなりの妙齢とは想像できそう。ロイドの年齢が30代前半と仮定すると、およそ40歳前後か。
やはりロイドと同じく変装の名人であり、シルヴィアも現在西国大使館の外交官として東国に潜入している。絶大なリーダーシップで数多くのスパイを統率し、的確な指示で東西和平に動く。異名は「鋼鉄の淑女(フルメタルレディ)」。
○フランキー・フランクリン(情報屋)…ロイドの友達
続いての登場人物は情報屋の【フランキー・フランクリン】。普段はタバコ屋を営むものの、豊富な人脈を活かしてロイドを裏で手助けする縁の下の力持ち。アホっぽい三枚目キャラクターですが、東国の秘密警察に尻尾を掴ませない切れ者。
ロイドとはビジネスライクな関係ではなく、フォージャー家と家族ぐるみの付き合いするなど二人はまさにマブダチの仲。ただフランクリンの出身地は西国ではなく、東国。二人の出会いも東国と西国の紛争中だったりする模様。
そのためフランクリンは敵国に情報を流している裏切り者となるわけですが、この理由は東国の窮屈な政治体制に嫌気を差しているから。どうやら嫌がらせと称して、フランクリンは国の体制転換を目論んでいる様子。自称・反抗期。
また数多くの秘密道具やガジェットを開発するなど、フランクリンは発明家の一面も見せる。さながら『スパイファミリー』のドラえもん。
○ヨル・フォージャー(殺し屋)…続柄【母親】
続いての登場人物は【ヨル・フォージャー】。やはりスパイファミリーの主人公の一人。
ヨルの素顔は【いばら姫】という異名を持つ殺し屋。謎の暗殺集団「ガーデン」の一員。幼少期から殺人術を叩き込まれており、その腕は天下一品。愛国心が強く、東国を裏切る売国奴を日夜お掃除している。年齢は27歳。東国出身。
ヨル・フォージャーの声優は早見沙織。ちなみに、後述する弟の名前がユーリ・ブライアなので、ヨルの元々の名字はブライア性。
普段はバーリント市役所のしがない女性職員として働く。天然ボケでおっとりした性格から、ヨルは周囲からはいじられキャラとして定着している。時折暗殺犯としての一面を覗かせるものの、ロイドであっても「ヨルの裏の顔」を知る者はいない。
一見すると華奢そうな女性に見えますが、ヨルのフィジカルの強さはまさに鋼鉄。テニスボールを打ったら、ボールがラケットの網状に細かく切断されるなど完全に馬鹿力の持ち主。戦闘力もロイドを遥かに上回る。
例えばヨルは自動車にバンとはねられても…
…そのままゴロゴロと回転して衝撃を緩和し、自ら放り投げたベッキー(後述)をそのままキャッチするという離れ技を見せることも。いや、どんだけ余裕あんねん。だからヨルのアクション描写が一つの見所だったりするんですが、それは改めて後述します。
ただヨルは基本的に根が暗殺犯なので、迷い猫を捕まえるシーンでも殺意を隠しきれないのはご愛嬌。もはやホラー漫画の表情に猫もあんぐり。
だからヨルは激烈に怖い表情を見せることも少なくなく、ここらへんは読者の好みは分かれそう。アーニャも思わず「こわいー」と震える。「家族を守るシーン」で見せることが多く意味のある演出ではあるものの、やはり好き嫌いは分かれそう。
○ユーリ・ブライア(秘密警察)…ヨルの弟(ロイドの義弟)
続いての登場人物は【ユーリ・ブライア】。ヨルの弟にして、ロイドの義理の弟。だから必然的に、結婚前のヨルの名字はブライアになります。
ユーリ・ブライアの声優は小野賢章。
ユーリは姉のヨルのことがとにかく大好きなシスコン。両親が早くに他界したため、ユーリは姉のヨルに幼い頃から大事に育てられてきた。年齢差は7歳も離れていることもあって、まさに母親代わり。ただ一周回って恋愛感情に近いものがあるため、基本的にはキモ男。
ユーリの現在の職業は東国(オスタニア)の外務省に務める外交官。いわゆるエリートの国家公務員。ただし、あくまで仮初の姿。
ユーリの本当の職業は国家保安局で働く秘密警察。話題のロシアだと旧KGB、日本だと特高警察。国家の治安維持のためにスパイをとっ捕まえる少尉。ユーリが秘密警察で働く理由も、やはり姉を国家の敵から守るため。
一見すると優男ですが画像の極悪すぎる表情を見ても分かるように、強引な取り調べなどヨゴレ仕事を淡々とこなす冷淡な一面も覗かせる。姉ヨルに対する執着心並に、スパイに対する粘り強い捜査が上司からは評価されている。
特に西国スパイの「黄昏」を最も警戒している。ただわずか20歳で抜擢されるだけあってユーリは卓抜した頭脳を持つものの、それでもロイドの正体が黄昏とは一切気付かない。そのためロイドのスパイとしての実力は群を抜いている模様。
ちなみに、ユーリは姉ヨルの正体がガーデンの一味という事実も知りません。
○ガーデンの上司たち…ヨルの関係者
続いての登場人物は暗殺組織「ガーデン」のボス。【店長】という呼び名で呼ばれていますが、本名は不明。荘厳な庭園で草木の手入れをしながら、ヨルたちに仕事の命令を出している模様。ヨルの暗殺術を育てた人物ともされます。
このガーデンを運営する理由は「美しい世界を保つ」ため。だから東国の平和維持にあだなす存在の排除が大きな目的としてありそう。東国側のキャラクターの基本的な思想は、大雑把に共通している印象です。
また店長という表現から組織のリーダーだとは思うんですが、『スパイファミリー』の公式ファンブックでは確定的な表現は使われず。もしかすると更に強いキャラが登場するのかも?
店長の声優は諏訪部順一。
続いての登場人物は【マシュー・マクマホン】。やはり暗殺組織「ガーデン」の一員。戦闘力が非常に高く、状況判断能力もヨルを上回る。爺ならではの安心のサイドギャザー。普段はバーリント市役所で働き、立場はヨルの上司。
そのためマシューは表の世界でも裏の世界でもヨルを監督補佐する上司的なキャラクター。
○アーニャ・フォージャー(超能力者)…続柄【娘】
続いての登場人物は【アーニャ・フォージャー】を紹介します。やはり『スパイファミリー』の主人公の一人。
アーニャは「心(ココロ)」が読める超能力少女。人間だけではなく、あらゆる動物の感情もイメージとして読み取れる。謎の研究所に人体実験で生み出された被検体007。この研究所を逃げ出した後、施設を転々としたもののロイドに見初められて娘となった。
ちなみにアーニャという名前は、当時から自らの意志で名乗っていた模様。
アーニャの実際の年齢は4歳か5歳とされます。そのためイーデン校の他の生徒と比べると、知能がやや低め。それをを強調したいのか、アーニャのセリフの文字は「全て平仮名」。ただ可読性に著しく劣るので、個人的に割りと嫌いな演出ではあります。
アーニャの生い立ちは不明ですが、唯一得意としている古語がどうやら鍵を握りそう。また「新月(エクリプス)」のときは心が読めないなど、『スパイファミリー』では伏線が多いキャラクター。アーニャという名前も地味にカギを握るのか。
アーニャの声優は種﨑敦美。
ちなみに「アーニャ、ピーナッツが好きぃ」「アーニャを知れば世界が平和に」など、TikTokで頻繁に使用されているキャラクターです。本田翼も真似するなど何回聞いたか分かりません。ただ正直あまりに聞きすぎて、ピーナッツすら自分は嫌いになりました。
○アーニャのかわいい表情まとめ
『スパイファミリー』のおすすめポイントに「作者の画力の高さ」があります。どこが面白いかの考察は改めて後述しますが、とにかくキャラクターの表情が豊富。そこで「アーニャの良くも悪くも可愛らしい表情集」を簡単に紹介しておきたいと思います。
アーニャの表情は基本的に可愛らしく描かれることが多い。この画像では分かりませんが、アーニャの髪の色は『ONE PIECE』のビッグマムや『鬼滅の刃』の甘露寺蜜璃と同様にピンク色になります。
こういう勝ち誇った表情も生意気で憎めない。
ただアーニャはギャグ漫画のキャラクターばりの表情を見せることも多い。画像だと完全に『DEATH NOTE』の夜神月をパロっている印象です。
天井裏で引っ掛かって抜け出せない状態の表情がこれ。「ふぎーふぎぃー」というセリフも相まって、完全にギャグ漫画のそれ。
こういった「無の表情」もできちゃう。『ヒナまつり』といったギャグ漫画もかつて連載されていましたが、無理に作った変顔よりも無の表情の方が意外と笑わせてくれたりします。他にもアーニャの表情は千差万別に描かれているので是非コミックやアニメでご覧ください。
○ヘンリー・ヘンダーソン(イーデン校教師)…アーニャの担任教師
続いての登場人物は【ヘンリー・ヘンダーソン】。イーデン校の教師。アーニャのクラス(1年3組)を受け持つ担任。ベッキーやダミアンが入るセシル寮の寮長でもある。教科は歴史学。気品ある振る舞いを周囲にも追求し、口癖も「エレガント」。
ヘンダーソンは入学試験でのロイドたちの振る舞いに感激し、アーニャたちがイーデン校に合格できるように裏で助力した恩人。ただその際に同じ試験官(先代校長の息子)のノンデリ態度に怒りを覚えて鉄拳制裁を食らわしてしまう。
その結果、ヘンダーソンは初等科のアーニャのクラス担任に階級が降格させられた経緯があります。
○ベッキー・ブラックベル(アーニャの同級生)…恋する乙女
続いての登場人物は【ベッキー・ブラックベル】。アーニャと同じ1年3組のイーデン校の同級生。アーニャの父親・ロイドに一目惚れしており、恋愛偏差値ゼロの空回り感が子供らしくて可愛らしかったりもする。最終的にはロイドの妻ヨルにも弟子入りする。
ベッキーは大手軍事企業「ブラックベル」のCEOの一人娘。そのため性格はやや勝ち気でワガママな一面を覗かせるが、中身は恋に恋する乙女。立場や生い立ちは全く違うものの、アーニャの純真無垢でたくましい一挙手一投足に惹かれて二人は意気投合。
アーニャとはまさにマブダチの関係性。
○ダミアン・デズモンド(アーニャの同級生)…ドノバン家の次男
続いての登場人物は【ダミアン・デズモンド】。アーニャと同じ1年3組のイーデン校の同級生。画像を見ても分かるように、ダミアンは典型的なガキ大将。アーニャに常にツンケンした態度を取って、隙きあらばイジメようと試みる。
ちなみに、常に隣にはエミール・エルマン(右)とユーイン・エッジバーグ(左)という舎弟を引き連れる。
ダミアンは極悪政治家のドノバン・デズモンドの次男坊にもあたる。そのためアーニャからは「じなん」と呼ばれており、ロイドはダミアン経由でデズモンドに近づこうと画策している。
ちなみに、長男は同イーデン校の特待生のデミトリアス。ただぶっちぎりで優秀すぎるため、弟のダミアンは自分との学力差に負い目を感じている様子。
ただダミアンは実際にはアーニャに惚れているウブな男子生徒だったりします。アーニャの天真爛漫な笑顔にイチコロだった模様。今後ダミアンの行動が鍵を握る?
○ドノバン・デズモンド(ラスボス)…国家統一党総裁
続いての登場人物は【ドノバン・デズモンド】。
デズモンドは東国(オスタニア)の国家統一党の総裁。政治思想的には「極右」という位置付け。東国政界の超大物政治家とされますが、立場的には野党の党首。何故なら終戦後の東国はハト派の政党に政権交代しており、現在の外交は融和路線に傾いているから。
だから、野党に転落したデズモンドは「現在の融和路線」を憎々しく思っている模様。
現実世界の冷戦では「資本主義・自由主義 vs 共産主義・社会主義」の戦いが繰り広げられていました。左翼陣営の東ドイツが崩壊したように、東国の経済状況も西国より劣る模様。そのため東国が融和路線を歩む理由も経済再興が背景としてありそう。
このデズモンドの性格は冷淡そのもの。「人と人とは結局永遠に分かり合えん」と臆面もなく語るなど、デズモンドは自らの内面を披歴することはない。そのためロイドをして「掴みどころがない男」と評するなど、デズモンドは人を寄せ付けないオーラを全身から放つ。
ただ息子のダミアンに対して「親の顔」をふと垣間見せるなど、実は…というパターン?極悪政治家として命が狙われている以上、あえて子煩悩な本心を封印して息子たちを遠ざけている?果たして、ロイドはデズモンドに近づき情報を引き出せるのか?また失脚させて戦争を食い止められるのか?
○ボンド・フォージャー(超能力犬)…続柄【番犬】
続いての登場人物は【ボンド・フォージャー】。プロジェクト〈アップル〉という計画で生み出された被検体の一種。ボンドはアーニャと同じく超能力が扱え、「未来予知」ができる大型犬。ひょんなことをキッカケに、フォージャー家の番犬(ペット)になる。
ただ犬の知能では予知した未来を正確に把握することは難しく、また人間との意思疎通も具体的に図れない。
そのためアーニャのエスパー能力で未来視のビジョンを読み取って、言語を使えない弱点を補完する。ボンドの未来視したビジョンは現在の事象に干渉して変えることができるため、アーニャなどと共に事件解決に動くなど地味に活躍する。
個人的には脇役と思ってましたが、わざわざフォージャー家の一員にした意味は隠されているはず。今後のストーリーの鍵を握る重要キャラクターだったりしそう。
ちなみに①ページ目は【内容あらすじ】の紹介、次の③ページ目は【面白い漫画かどうかの考察】をレビューしています。
アクション描写が意外と圧巻
続いては『スパイファミリー』の「面白要素」や「おすすめポイント」をレビューしていきます。あくまで個人的な感想見解なのであしからず。
結論から言うと【圧巻のアクション描写】がおすすめです。アニメ版スパイファミリーのクオリティはどこまでかは知りませんが、まさに切った張ったの殴り合い、蹴り合いが描かれます。登場人物の紹介でも解説しましたが、特にヨルが想像以上に強い。
例えば、軽くビンタしただけで弟のユーリが華麗に回転しながらぶっ飛んだりする。腕や足の無力な感じがムダにリアル。要所要所でムダに圧巻なアクション描写が差し込まれるので、それが良いアクセントというかフックになっています。
ロイドも普通に強いので、こういうカッコいいアクション描写も多いです。構図もシンプルで見やすい。ヨルはコメディー要素が絡むことが多いものの、ロイドはシンプルに様になっているアクション描写が多いので素直に楽しめると思います。
ただそれでもやっぱりヨルが抜きん出て強いので、異次元のアクション描写が展開されることもしばしば。敵も名うての殺し屋なんですが、それでもヨルは圧倒。
まさに縦横無尽に駆け巡って、最後はしっかり捕縛する。ヨルの表情に思わず、強面の殺し屋ですらブルってしまう始末。意外と敵キャラも強かったりするので、『スパイファミリー』は一つのバトル漫画として読んでも面白いと思います。
アニメ版でも自ずと期待が膨らみますが、絵がしっかり派手だとシンプルにお金を払う価値がありますよね。
「本物の家族愛」が芽生えていく過程にグッと来る
続いての『スパイファミリー』の面白ポイントは【家族愛】になります。前述のようにロイド、ヨル、アーニャは偽装家族。それぞれ秘密を抱えた赤の他人が「一つの目的」を達成するために、本物の家族を装っているだけ。まさに仮初の家族でしかない。
だからこそ、3名の主人公たちが一つ屋根の下で暮らす中で【本当の家族愛】が芽生えていく。偽装家族だけあって日常会話では敬語を使ってたりするんですが、徐々に距離感を縮めていく過程にほのぼのさせられ、意外とグッと来る部分もある。
アーニャの本心が読めないからこそ、ロイドはアーニャを知ろうと必死に足掻く。あくまで東西の和平を守るためという口実で「良き父親像」を演じるものの、アーニャに父性愛が自然と芽生えていく。アーニャもロイドの優しさに甘えるためホッコリ。
ヨルはヨルでマフィアの未亡人の護衛などを通じて、母性愛が徐々に芽生えていることに戸惑いを覚える。偽りの家族を演じているが、このまま目的が達成したら3人が離れ離れになってしまうことに寂しさを感じ出す。本当の家族になりたいのではないか?
またロイドとヨルの間にも「恋愛感情」が芽生える描写もあって、ちょっとしたキュンキュン要素もある。そのため恋愛漫画として読んでも意外と面白いかも。
だからコメディー要素がベースにある漫画ですが、天涯孤独のロイドが偽装家族を通じて徐々に「心の隙間を埋めていく描写」に惹かれる。現在進行形の子育世代、既に子育てが終わった還暦世代、孤独な独身男などあらゆる世代がハマれる要素ではないかと思います。
男1:女2の割合が絶妙
続いての面白いポイントは「3名の主人公」にあります。
改めて紹介しておくと、右が父親役の【ロイド】、真ん中が母親役の【ヨル】、左が娘役の【アーニャ】。この3名の「男1:女2」という性別の割合がなんか絶妙。正確には子供:1と言った方が良いかも知れませんが、女性読者でもスッと入ってきやすい雰囲気がある。
例えば、コミックス発行部数ランキングの上位漫画を見ると、主人公含めて男キャラクターばっかりが前面に出てくることが多い。どうしてもむさ苦しさは否めない。だから女性読者は一度も読まずに敬遠している作品も多そう。
でもスパイファミリーは「最初に敬遠される要素がない」のは一つの魅力ではありそう。
またストーリーを進める要素がロイド、笑いとホッコリをもたらすギャグ要素がアーニャ、アクション描写とホラー要素がヨルなど、それぞれの役割がハッキリしている。年齢や見た目の違いだけではなく、キャラの被りが全くないので読みやすい。
そして各々がまんべんなく活躍するので、3名の主人公をそれぞれ好きになれる点もおすすめ。作者は1980年生まれでこれまで一度も作品に恵まれてこなかったっぽいですが、この初期設定を掘り当てたことも『スパイファミリー』のヒットの要因なのでしょう。
テーマも家族愛、学園モノ、子育てといった現実的なジャンルをいろいろ内包するので、『スパイファミリー』は実写ドラマ化しても人気が出そう。キャラクターもデフォルメされすぎてないので、実在する俳優が演じてもそこまで違和感はなさそう。
ちなみに、『スパイファミリー』は2023年からミュージカル化されることは既に決まっている模様。誰が演じるのかは知りませんが、「あぁ~アーニャははいなくて さみしぃ~。ははのそんざいこいし~」が生声で聴ける模様。
漫画初心者でも読みやすいテンポ感
最後のおすすめポイントは【テンポ感】になります。
『スパイファミリー』の構成は数話完結のオムニバス形式の漫画になります。だから長編漫画にありがちな、ストーリーの流れに必死についていく必要性がない。好きなタイミングで読むのを止められるので、漫画初心者でも読んでて疲れないはず。
読者側からすると「最初から読み直さなきゃいけないんだ」といった義務感は感じず、ストーリーにそこまで強く縛られない点もおすすめポイントと言えそう。その一方、『スパイファミリー』にもストーリーの大きな軸があります。
それこそが【デズモンド】というラスボス。前述のように、戦争の火種を焚きつけようとしている東国の悪徳政治家。イーデン校の懇親会に定期的にやって来るデズモンドに接近し、いかに戦争を食い止めるかが物語の軸になっている。
イーデン校では皇帝の学徒(インペリアル・スカラー)と呼ばれる特待生に選ばれると、デズモンドたちも所属する懇親会に列席できる。目下の目標としては、特待生に選ばれるためには「ステラ(星)」と呼ばれる勲章が8つ必要になる。
アーニャはステラを集めるために日々奮闘し、ストーリー自体は着実に少しずつ進んでいくためオムニバス形式特有の「足踏み感」もない。『名探偵コナン』のような構成だと思いますが、あれと違ってメインストーリーを引っ張ることもないのでストレスフリー。
またストーリーが進むに連れて3人の主人公の関係性が徐々に深まっていくため、3人の成長度合いも同時に読み取れるので面白い。だから人間が徐々に成長していく過程、その絶妙にゆったりしたテンポ感も読み味としては心地良かったりします。
【感想レビュー】SPY×FAMILY(スパイファミリー)の総合評価・評判まとめ
以上ドル漫による、『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』のあらすじ内容、登場人物、おすすめ面白ポイントの感想レビューでした。
結論をまとめると、『スパイファミリー』は普通に面白いと漫画だと思います。作者の画力が高く、構図など見せ方も上手い。絵柄も万人受けする綺麗さがあって好印象。キャラクターも個性的で描き分けも上手い。登場人物の数も乱雑に多くはないので、素直に読みやすい。
圧巻のアクション描写、ホッコリ笑えるコメディー要素、アットホームなほのぼの感、絆が芽生える胸アツ感が程よいバランスで織り込まれている。設定が設定ですが、変なイデオロギーが披露されることもないので万人が安心して楽しめるはず。
またストーリーが着実に進むに連れて、3名の主人公の成長が読み取れるので読後感は充実。それぞれ感情移入できてちゃんと好きになれるキャラクターだからこそ、読者としては「最終的にどう完結するんだろう?」と最後の結末が見たくなる。
そのため『スパイファミリー』の読者は途中離脱する読者も少ないのかも知れない。
それでも変に連載が長引くことはないと思うので、おそらく20巻台前半で完結したと仮定すると『スパイファミリー』のコミックス発行部数は5000万部6000万部ぐらいで最終的に落ち着きそう。海外人気もどうやら高く、幅広い読者層を獲得している点が強み。
だから『スパイファミリー』は良くも悪くも売れ線のツボがしっかり体現できている漫画と総合的に評価できそう。ただ漫画初心者におすすめできる一方、これが最初の基準になっちゃうと他の大半の漫画はつまらないと思えてしまうだろうと容易に想像できるのが難。
それだけ『スパイファミリー』は全体的に完成度が高い漫画。
強いて言うと、アーニャの「全部ひらがなのセリフ」がちょっとしんどい。アニメ版スパイファミリーだと一切気にならないと思いますが、話してる内容を理解するのに時間がかかる。漢字はもっと最小限に使って欲しい。今から漢字を使えば、アーニャの「成長度合い」も表現できるのではないか。
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