最近、少年ジャンプ+では『スパイファミリー(SPY×FAMILY)』が人気。コミックス発行部数は2022年5月時点で1800万部を超えるなど、まさに破竹の勢いを誇ります。
この少年ジャンプ+でそれに次ぐ人気漫画が『怪獣8号』。連載から一年経たずに400万部を突破し、2022年3月時点で累計発行部数は670万部だそう。ちなみに、怪獣8号の作者は松本直也。掲載サイトは少年ジャンプ+。出版社は集英社。
そこで今回ドル漫では「怪獣8号が面白いかつまらないか」を画像付きで徹底レビューしてみた。本当におすすめ漫画なのか?いずれアニメ化される可能性もありますが、多少ネタバレ注意です。ちなみに少しだけ辛辣な感想です。
怪獣8号の内容あらすじまとめ
まずは『怪獣8号』の内容あらすじをレビューします。
怪獣たちがあふれる世界。日本はとりわけ怪獣が多く発生していた。まさに怪獣大国。そこで怪獣討伐にあたっていた部隊が「日本防衛隊」。その中でも屈指の活躍を誇る隊員が亜白ミナ。わずか27歳にして数多くの隊員をまとめる女リーダー。
一方、『怪獣8号』の主人公は日比野カフカ。亜白ミナとは幼なじみだったオッサン。かつて怪獣に町を壊された経験を持つ二人は、共に日本防衛隊に入ることを幼き頃に誓い合った仲だった。
しかしカフカは32歳という年齢から入隊資格がなく、現在は日本防衛隊が倒した怪獣の死体を駆除する仕事に就いていた。そのためカフカは亜白ミナの活躍をテレビでいつも羨ましく見ているだけだった。
そんな矢先、同僚の市川レノから防衛隊の年齢制限が緩和されて、32歳の自分にも受験資格を得たことをカフカは知る。再び日本防衛隊の入隊試験を受けることを決意し、亜白ミナと共に戦場で戦う自分の姿を想像した。
○主人公・日比野カフカが怪獣化してしまう物語
しかし喜びも束の間、カフカはとある怪獣に体内に寄生されて自身が怪獣化してしまう。その恐怖の醜い姿に「俺これからどうなっちゃうのかな?防衛隊になれそうか?」と思わず涙するカフカ。当然、同僚の市川レノは「無理無理」と首をふるだけ。
ただ怪獣化したカフカは脅威の身体能力を得ていた。そのパワーはこれまで発生した怪獣を遥かに凌ぐ大怪獣レベルだった。しかし自分の意志は残ったままだったカフカは、このパワーを利用して次々と怪獣たちをなぎ倒していく。
そして、カフカは「怪獣8号」というコードネームを付けられて、日本防衛隊から逆に追われる身となった。つまり漫画タイトルの『怪獣8号』とは、主人公の日比野カフカ自身を表しています。
それでも何やかんや仲間の助けがあって、カフカは無事日本防衛隊に入ることに成功する。何故なら怪獣8号という戦力は防衛隊にとっても大きな魅力だったから。
しかし怪獣8号であるカフカを取り込もうと、凶悪な怪獣たちが次々と襲ってくる。果たしてカフカの運命は?亜白ミナとの関係は?また怪獣たちの侵略から町を守ることができるのか?
アクション描写はまあまあすごい
続いては『怪獣8号』の面白いポイントなどをレビューしていきます。
結論から言うと、『怪獣8号』のおすすめポイントは「アクション描写」だと思います。主人公・カフカは圧倒的な戦闘力を誇るため、敵が放つレーザービームも気合だけで弾き飛ばすシーンなどは圧巻でした。
他にも強力な連打を打つシーンなどもなかなか良かったりします。
また主人公・カフカだけではなく、日本防衛隊の強力な隊長や副隊長といったキャラクターもなかなか強い。『怪獣8号』はむしろこういう強力な脇役のキャラクターの方が魅力的に描かれていたりします。
でもアップの「寄り描写」が多すぎる
でも残念ながら、怪獣8号は「アップの描写」が全体的に多すぎる印象です。
確かに画力が高い漫画家さんだと思いますが、キャラクターの表情など含めてアップの描写がとにかく多いため、どこで誰が何をしているのか分かりづらい。きっと迫力を出したいんでしょうけど、かえって漫画全体の立体感や動きの躍動感が弱く見えてしまう。
だから「見せ方」があまり上手くない。寄りの画が多かった昔の日本のドラマの影響かも知れませんが、特に白黒のモノトーンの漫画では多用すべき表現ではないでしょう。「似たりよったりの絵や構図」もどうしても増えてしまうので、全体的に絵柄が退屈に感じてしまう。
同じ少年ジャンプ+で配信されている人気漫画『ダンダダン』も画力は割りと高めですが、やはりちょっと残念な感じは否めない。どちらも意外と独創性は乏しい。
またキャラクターの表情も目や眉毛や鼻、口などほぼ同じで見分けが付きづらい。どのキャラも小さい黒目、つり上がった眉毛など類似点が多く、目のカタチに至っては全く同じ。「髪型が違ってればとりあえず見分けがつくでしょ」程度で、細かいキャラの描き分けができていない。
例えば、女性であれば口のサイズは小さく、男性であれば口を大きくするだけで性別の違いが割りと簡単に演出できるはず。キャラクターをムダに登場させている割に、キャラ描写のバリエーションが少なすぎる。とにかく工夫やアイデアが見られない。
ストーリーが冗長
という感じで、ここからは『怪獣8号』に対して批判的なレビューが続きます。
画力の問題も大きいかも知れませんが、ストーリーが割りとダラダラと冗長だと思います。結局、本質的な問題は解決しないまま、次の話が始まることが多いので終始モヤッとする。そもそも話の展開を引っ張るほど大したストーリーでもない。
『怪獣8号』のカテゴリやジャンルはバトル漫画なんだから、「Aを倒して終わる」「Bを倒して終わる」といった区切りは付けて次の話に進んだ方が良い。そのため読後感に爽快感がない。
また最初に登場した脇役キャラクターが途中から消えていることも多い。色んなキャラクターを付け焼き刃的に登場させてページを埋めているだけ。主要キャラクターたちがメインで物語を動してる感じがしない。作者に「物語を進めていく展開力」が基本的に乏しそう。
結局、ストーリーの軸もない。主人公のカフカが怪獣に寄生されたから何なんだ?って話。怪獣を除去するために動くのか?逆に『NARUTO』の九尾、『呪術廻戦』の両面宿儺のように共存していくのか?そういうのはナッシング。
途中からカフカの意識が乗っ取られそうになるものの、結局、中の怪獣とどうしていきたいのかが不明。そもそも中の怪獣の正体とは?ただ単に怪獣パワーを都合良く利用してるだけ。漫画の物語として面白くなる魅力的な仕掛けがそもそもない。
キャラクター個別の戦闘が多い
前述のように『怪獣8号』の見どころは主人公・カフカよりも、強力な脇役のキャラクターの方が魅力的に写っていたりします。
例えば、亜白ミナが防衛隊のスーツを解放したシーン。
鳴海弦がスーツの力を解放したシーンなどはワクワクさせられるものもあります。
ただこういった強力な新キャラクターがボコボコと登場してくるものの、主人公のカフカとコラボして戦うみたいな展開は少ない。各々の個別で戦っているだけなのでカフカとの相乗効果は乏しく、個別で勝てるなら主人公のカフカが怪獣8号である必要性をあまり感じない。
こういう場面を見ると怪獣8号のカフカとのタッグも描かれそうではあるんですが、あくまで雰囲気だけで基本的に実戦はありません。設定を上手く活かしきれていないのがもったいない気はします。
ちなみに、『怪獣8号』のキャラクター名もあまり好きじゃないです。日本が舞台なのに、何故主人公の名前がカフカ?チェコ語でカラスという意味らしいので伏線がなんとなく張られている気もするんですが、中途半端な変化球がよく分からない。
【レビュー感想】怪獣8号 総合評価・評判まとめ
以上、ドル漫による『怪獣8号』のネタバレ感想レビューでした。
結論をまとめると、どちらかというと「面白くはない漫画」だと思います。つまらないとまで表現すると語弊はありますが、『SPY×FAMILY』が93点程度と仮定すると『怪獣8号』は61点程度に留まりそう。うーん、伸びしろがないかな。
画が派手なので誤魔化されがちですが、キャラクターが多く登場する割に中身がない。むしろ中身がないからこそキャラクターを量産しがち。だからストーリーについて特に触れる部分もない。サクッとは読める漫画ですが、読後感はほとんど何も残らない。
シンプルな世界観の割に、意外とグダっとしている部分も多い。カフカはもともと身体能力がなかったから日本防衛隊に入隊できてなかったわけなので、別に32歳という年齢を持ち出してくる理由がない。設定がいまいち煮詰まっていない印象でスッキリしない。
最初の1巻2巻を読んだ時点で面白そうかもとは思ったんですが、まあ、「こんなもんかな」っていうのが個人的な評価です。
「怪獣8号は大人目線で楽しめる」という触れ込みだそうですが、正直、その領域には達している漫画とは思いません。ストーリーもキャラも重厚感がない。読者に無料で読んでもらってコミックスを売るビジネスモデルに、たまたま上手く乗っかれただけかも。
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