【感想】平松伸二の自伝漫画「外道マンになる」がワロタwww【レビューまとめ】

『そしてボクは外道マンになる』1巻2巻のネタバレ感想をレビュー。作者は平松伸二。掲載誌はグランドジャンプPREMIUM。出版社は集英社。ジャンルは青年コミックの漫画家漫画。AmazonのKindleや楽天koboなどで無料で試し読み・立ち読みができます。

今回ドル漫では地味にひっそり話題になってる『そしてボクは外道マンになる』が面白い漫画なのか、おすすめマンガなのか徹底的に考察してみました。購入時の参考に読んでみて下さい。

ざっくり内容をまとめると、漫画家・平松伸二の自伝的漫画。平松伸二とは『マーダーライセンス牙』や『どす恋ジゴロ』といったハードボイルドな作品を描いてる作者ですが、ネット上で既に定着した感のある「いいんだよ。細けえ事ア」という名言を産んだマンガ家と説明したらピンと来る人も多そう。

果たして面白いのかつまらないのか?

平松伸二の半生プロフィールとあらすじ内容

主人公はもちろん平松伸二。

まだ蒸気機関車が走る1955年に爆誕。出身地は岡山県高梁市…その中でも更に片田舎の山村で育つ。片田舎ではあったものの『鉄腕アトム』といったテレビアニメの影響も受け、平松伸二の将来の夢はマンガ家。

普通であれば夢は夢として散りますが、高校1年生のときにジャンプの新人賞に選ばれるなど平松伸二はマンガ家としての天性の才能を発揮。そして高校卒業と同時に上京した平松伸二は、『アストロ球団』の作者・中島徳博のアシスタントとして働き出す。

しかし、マンガ家の職場は劣悪そのものだった。

(そしてボクは外道マンになる1巻 集英社)

中でもアストロ球団を担当していた漫画編集者・権藤狂児の存在は強烈だった。

極悪すぎる見た目と同様に、言動も極悪。相手がマンガ家であっても殴るは蹴るは、暴言を吐くは、まさに自民党・豊田真由子も真っ青のオッサン。既に当時からベテラン漫画家だった中島徳博に対しても容赦がないことからも、下っ端の平松伸二に対する態度は言うまでもなかった。

そんなある日、師匠・中島徳博の体調が悪化。月刊ジャンプに掲載予定だった読み切りマンガが急遽、アシスタントだった平松伸二に代役として白羽の矢が立つ。これが平松伸二にとって漫画家として大きな転機となった。

四苦八苦しながらも描き上げた読み切りマンガの評判は上々。その後、平松伸二のデビュー作となる『ドーベルマン刑事』の連載を始めるキッカケともなった。まさに順風満帆の漫画家人生が始まるかと思いきや、これが地獄への入り口だった。

(そしてボクは外道マンになる1巻 集英社)

初の連載漫画に悪戦苦闘しつつも極悪マンガ編集者・権藤のしごきによって、気が付くと平松伸二は「一端の外道漫画家(外道マン)」になっていた。そこには田舎の純朴青年の姿はどこにもありはしなかった…果たして平松伸二の運命は!?というのが大まかなストーリー内容になります。

ただ先にネタバレしておくと、あくまで外道マンの主体は「外道なマンガ編集者」。平松伸二が「外道なマンガ家」になることは少なく、基本的に「外道マン」に平松伸二が虐げられてる展開がメインのストーリー。それ故にかなりヤバイ漫画編集者が何人も登場します(笑)

極悪すぎる漫画編集者のキャラクターがワロタ

だから『ボクは外道マンになる』の面白さは、「悪徳編集者」の悪態っぷりに尽きると思います。とにかくキャラクターが濃い。もっと言えば、誰が見てもカタギじゃない。

(そしてボクは外道マンになる1巻 集英社)

前述の権藤狂児は女性運がないため、頻繁にフラれることもしばしば。担当マンガ家の中では笑い草になってるんですが、本人にとってはナーバスな問題。それ故に自分の前で女性の話をされただけで木刀で大暴れ。漫画の原稿すらお構いなし。理不尽にも程がある。

だから平松伸二の命もミジンコ程度にも思っておらず、フルボッコ。「骨になって岡山のド田舎に帰りやがれ~」とぶん殴ると、平松伸二はその勢いそのままで壁をぶち破ってしまうこtも。もう無茶苦茶。

(そしてボクは外道マンになる1巻 集英社)

少年ジャンプの編集長や副編集長も、完全にあっち系の方。アテレコするなら間違いなく「さっさと100万円返してもらいまひょかぁ」。平松伸二が入院したときも、タバコをふかしながら登場。この謎の威圧感。一応、当時の病院はタバコを吸っても良かったらしい(多分)。

今も昔もマンガ家は虐げられる存在。でも、こんな極悪なマンガ編集者にも、唯一対抗できるマンガ家がいた。それが当時から人気だった本宮ひろ志。元自衛官だけあって、かなりの武闘派だったらしい。

○本宮ひろ志も完全にヤバい人(笑)

(そしてボクは外道マンになる1巻 集英社)

ポン刀(日本刀)を持って少年ジャンプ編集部に現れる本宮ひろ志の出で立ちは、大正時代にいそうな革命家の雰囲気。逆に本宮ひろ志に至っては、編集者をフルボッコにしてしまう。ポン刀所持がネタだったかどうか言及されていないため、もしかするとリアルエピソードなのかも知れない。

仮に事実であれば、当時の出版界の法遵守の精神のなさがハンパない。まさにコンプライアンス上等の世界(笑)

鳥嶋和彦(マシリト)の悪口連発でワロタ

そんな外道なマンガ編集者の中でも、異彩を放つのが「魔死利戸(マシリト)毒多(ドクタ)」。当て字からも分かるように毒々しい。

詳しくは「漫画編集者・鳥嶋和彦(マシリト)まとめ」も後で読んで欲しいんですが、後の少年ジャンプ編集長になる鳥嶋和彦。意外と見た目にデフォルメ感はなく、かなり当時から個性が強い。

(そしてボクは外道マンになる2巻 集英社)

例えば平松伸二が師事していた中島徳博の『アストロ球団』に対して、「一試合に一年以上も使って連載して熱すぎて火傷しちゃう。これじゃあ「アストロお灸団」だよねヒャッヒャッ」と爆笑。当時誰もが抱いていたであろう疑問をマンガ編集者が言ったら終わり。

マシリトは平松伸二に宣言するぐらいマンガを好きではなかったらしい。そのため「眉毛が薄くてアゴのとがったお公家顔の魔死利戸さんは、笑い声も人を不愉快にさせる怪鳥の奇声のようだった」と、平松伸二の悪口も止まらない。

○眉毛も情も薄いが編集者としては有能

(そしてボクは外道マンになる2巻 集英社)

そのためマシリトのアドバイスも突拍子がない。

例えばハードボイルド路線を歩んでいた『ドーベルマン刑事』に対して、当時流行っていたラブコメ路線の導入を突然提案する。既に原作者の武論尊に手を回すなど、意外と仕事は早いマシリト。でも平松伸二は不信感しか抱かない。

ただ結果的にマシリトのアドバイスは大成功。長期連載もあって人気が下降気味だった『ドーベルマン刑事』は再び人気を取り戻す。確かに平松伸二は女性キャラも上手。この『ボクは外道マンになる』でも、卑猥な下ネタシーンもチラホラ描写されております。

だからマンガ編集者としては、実は有能。「彼女は大事にしなきゃネ。何ンだかんだ言って…男は好きな女性の笑顔のために仕事するんだからさ」と良いことも言う。マシリトに限らず、編集者も極悪ではあるもののたまに名言も吐いてくれるのも作品のおすすめポイントか。

平松伸二の恨みは末代まで続くよどこまでも…

冒頭でも説明しましたが、作者・平松伸二は『マーダーライセンス牙』などハードボイルド作品を多く描いてるマンガ家。そのため中身も硬派なのかと思いきや、性格はヘビ並にねちっこい。自伝マンガのため当然過去を振り返るわけですが、「未だに恨みを抱いてるの?」と思っちゃうエピソードが満載。

(そしてボクは外道マンになる2巻 集英社)

例えば「原作付きの漫画を描いてる限り、オレは絶対にオメエをマンガ家として認めねぇエエエエ~~」という権藤狂児の発言。「エエエエ」の部分になんと力が入っていることか。描き込みも実に丁寧(笑)

(そしてボクは外道マンになる2巻 集英社)

これを言われた瞬間の平松伸二はガタガタと震える。どんだけショックを受けてん。平松伸二曰く、この「言葉の呪縛から逃れるまで18年もかかった」らしい。原作付きのマンガ家はどこかしらに負い目を感じており、また編集者もどこか下に見ているフシはあるのでしょう。

良くも悪くも、マンガ家も漫画編集者も面白い作品を作ろうと格闘するから、お互い色んな軋轢を生んでしまうのか。現在も編集者とマンガ家の間では殺伐としてやり取りが展開されているに違いない(笑)

○こち亀の秋本治>>>>平松伸二なのか?

他にも平松伸二は『ボクは外道マンになる』を担当している30歳年下のマンガ編集者に対しても恨み骨髄。平松伸二が漫画と書道を組み合わせた個展を開いた際に、その編集者は花を贈ってこなかった。その日はちょうど『こち亀』の秋本治の40周年記念パーティーが開催された日でもあった。

平松伸二は2人で飲んでる最中に、遠回しに「集英社の編集部は連載作家が原画展を開いても花とか贈らないの?ん?」と訊いた。そうすると編集者は鼻で笑いながら「イエもちろん贈りますよ…あ、忘れてました。今から花を贈りましょうか?」と言ったらしい。

(そしてボクは外道マンになる2巻 集英社)

平松伸二はその時は平静を装ったものの、漫画の中で「地獄を見せてやるゥゥゥ」と長文で恨みつらみを書く。しかも平松伸二は編集長に直談判してまで、結果的に『ボクは外道マンになる』から編集者を担当から見事に外す。この編集者は割りとポンコツっぽかったようですが、そんなに根に持つ?みたいな(笑)

(そしてボクは外道マンになる2巻 集英社)

他にも『ドーベルマン刑事』の実写映画版の監督だった深作欣二に対しても、遠回しにディスる。今撮影してる最中の『ドーベルマン刑事』よりも延々と次回作を話す深作欣二に対して「何コイツ…」みたいに描写されてて笑った。

平松伸二「外道マンになる」 おすすめ総合評価・評判・口コミレビュー

以上、平松伸二の自伝漫画『そしてボクは外道マンになる』のネタバレ感想でした。

マンガ業界のドロドロした部分が、真実もネタも織り交ぜて盛り沢山に描写。60歳を超えた超ベテラン漫画家のネチネチした執念っぷり、キンタマの小ささっぷり、無様なほどの悲しすぎる毒がなんとも言えないマンガの味になってて笑えます。

作者・平松伸二に関する下ネタ系の個人情報など、果てしなくどうでもいいこともイキイキと描写されてるものの、一応は全体としてちゃんと「マンガ家漫画」として成立してる。キャラクターはそれぞれ濃く、暑苦しい絵柄やノリがしっかり「笑い」に昇華。

「外道マンになる」というテーマにこだわりすぎないのであれば、素直に自伝漫画・漫画家マンガとして面白い。