コミックス発行部数ランキングで1億5000万部超えを達成するバトル漫画が『鬼滅の刃』。2016年から2020年まで連載され、わずか4年という短期間で発行部数を破竹の勢いで増やしました。売上のペースでは漫画史上最速と言えるはず。
ただ2020年に完結を迎えた『鬼滅の刃』ですが連載期間が短かったことも手伝ってか、最後まで未回収だった伏線があるそう。これまで当ブログでは「進撃の巨人1話目の伏線」など考察してきましたが、今更ですが鬼滅の伏線も気になるところ。
そこで今回ドル漫では「鬼滅の刃で最後まで未回収だった伏線6選」を徹底的に考察してみようと思います。果たして、本当に伏線が回収されずに終わったのか?そもそも伏線だったのかなど考察します。
竈門家が鬼舞辻無惨に襲われた理由とは?
まず最初の未回収の伏線は「竈門家が鬼舞辻無惨に襲われた理由」。
主人公の竈門炭治郎たちは山奥で炭を作っては細々と暮らしていた。炭治郎が炭を売るため山に降りたある夜、その不在中に鬼舞辻無惨に家族が襲われる。その後、水柱・冨岡義勇が助けに来るものの、時すでに遅し。妹の竈門禰豆子が鬼になったシーンから物語が始まりました。
竈門家が襲われたシーンは直接描写されていないものの、炭治郎が「家に残った匂い」から鬼舞辻無惨が犯人だったことを突き止めております。普通の鬼であれば食うものの、その痕跡がなかったのも鬼舞辻無惨に襲われた伏線だった模様。
ただ竈門家があった場所は、山の上の辺鄙な場所でした。だから水柱の冨岡義勇も駆けつけてくるのに遅れていた。意図的に襲撃しようとしないと、竈門家に辿り着く可能性は低いはず。つまり、鬼舞辻無惨にも何らかの意図があったのでは?ということ。
○無惨が襲撃した理由に深い意味はない
例えば、竈門家には日の呼吸が「独特の耳飾り」と共に代々伝わっていました。炭治郎の父親も耳飾りを着用しており、それを見た鬼舞辻無惨も継国縁壱に舐めさせられた辛酸を思い出すなど、竈門家との因縁から襲撃した可能性もありそう。
ただし、無惨が竈門家を襲撃したことに特に深い意味はなさそうです。無惨が太陽光を克服する青い彼岸花を探す中、たまたま竈門家を発見しただけか。彼岸花は人里や山に咲く植物。山奥で発見した竈門家に対して、たまたまお戯れになっただけか。
まさに単なる災害。
もし最初から竈門家を狙って襲撃していたのであれば、炭治郎と遭遇した際に鬼舞辻無惨の方から何か気付くはず。だから最近はネット上で漫画の考察が流行っていますが、こじつけに近いもので伏線と呼べるようなものではないか。
青い彼岸花の謎は回収されたのか?
続いては「青い彼岸花」に関する伏線を考察したいと思います。
青い彼岸花とは「太陽を克服する」ための植物として鬼舞辻無惨が探し求めていた。後述しますが、鬼舞辻無惨が鬼化するキッカケとなった薬に調合されていた薬としても使用されていた謎多き植物でした。鬼舞辻無惨曰く、カタチは普通の彼岸花っぽい。
しかしながら途中で竈門禰豆子が太陽を克服してしまったため、鬼舞辻無惨はストーリー終盤からは青い彼岸花の存在を放置。その行方はウヤムヤになっていました。どこに咲いているか?何故発見できなかったのか?どんな成分が含まれていたのか?
…など未だに青い彼岸花の正体を知らない鬼滅の刃の読者も意外と多そう。まさにTHE伏線と呼ぶべきアイテムでした。
○青い彼岸花は最終的に嘴平伊之助の子孫が発見する
ただし、鬼滅の刃最終回の現代編で青い彼岸花に関する伏線はほぼ全て明らかになっております。
この青い彼岸花は嘴平伊之助の子孫の嘴平青葉が最終的に発見することに成功してます。
青い彼岸花が咲く期間はわずか「一年で2日3日」に留まり、また日中の【昼間】しか咲かないのが特徴。だから太陽が出る「日中は活動できない鬼舞辻無惨」は、【日中しか咲かない青い彼岸花】を1000年近くも発見できなかったということ。
嘴平青葉は最後の青い彼岸花を枯らしてしまい、鬼舞辻無惨のような不死の鬼が誕生することができなくなっております。まさに鬼滅の刃の大団円を象徴する伏線でした。そのため青い彼岸花の正体は「永遠に解かれることない謎」ではありません。
ただし、青い彼岸花に含まれる成分などは不明なままです。何故、鬼舞辻無惨が鬼化するに至ったのか?また逆に太陽の光を克服することができるのか?など不明な点も残ってはいるので、厳密には未回収の伏線とは言えそうです
それでも赤い彼岸花は「死」を象徴する花なので、その逆の青は【生】を意味するのではないかなどと考察できそう。死に供えられる花の真逆は、まさに生きる活力を与えてくる花ということか。
産屋敷家にまつわる伏線まとめ
続いては「産屋敷家にまつわる伏線」を考察していこうと思います。
産屋敷家とは、鬼舞辻無惨を倒すための鬼殺隊を1000年近くにも渡って率いてきた謎の富豪。広大な邸宅を構えて、そこでは柱(はしら)を集めた柱合会議が半年に一度行われていました。鬼殺隊は政府非公認だけあって、柱や何百人といる隊士を雇っていたはず。
他にも産屋敷家は各地に刀鍛冶の里や保養所をいくつも保持し、さながら天皇家も真っ青の資産家でした。少なくとも平安貴族の一種だったに違いない。
最初に登場した97代当主は産屋敷輝哉(かがや)。後に鬼舞辻無惨を追い詰めるために自爆し、8歳だった息子の輝利哉(きりや)に命運を託す。ちなみに、産屋敷輝哉の子供たちは五つ子。輝利哉は黒髪で、唯一の男児でした。
産屋敷家は1/fのゆらぎを発する声とカリスマ性と人望を備えるものの、鬼舞辻無惨の呪いから病弱体質で生まれるため代々短命で人生を終えるのが特徴。そのため産屋敷輝哉も4歳で当主に選ばれており、当主が入れ替わるサイクルは早い。
産屋敷家では誰が教育役だったのか?などがネット上では謎とされておりました。
○産屋敷家が財を成した方法は「占い」か?
また産屋敷家の人間は「未来を見通す力」も備えており、その能力を使って財を成しているとは岩柱・悲鳴嶼行冥の説明。
ただし、産屋敷家が代々どうやって具体的にお金を稼いできたかは不明なまま。現在でも通じる話ですが、政治家や資産家を相手に占いで儲けているのかも?産屋敷輝哉たちの日常が描かれることは少なく、最後まで謎が多いキャラクターでした。
とはいえ、産屋敷家に関して謎は確かに多いものの、いわゆる伏線と思しき伏線は少ないと思います。そもそもミステリアスな要素が魅力のキャラですから、回収すべき伏線とやらは少ないでしょう。
それでも無惨の撃破後、産屋敷輝利哉は日本最高齢になるまで生き続けるなど、この謎の生命力は興味深いところ。そのためアニメ版鬼滅の刃では産屋敷家の謎は掘り下げられるかも知れない。
ちなみに、産屋敷家のモデルはおそらく『ジョジョの奇妙な冒険』のジョースター家だと思います。ジョースター家も産屋敷家と同様に「短命&資産家」の家系だった点でやはり共通。産屋敷家は戦闘能力は皆無でしたが、驚異的な生命力はまさにジョースター家に通じるか。
鬼舞辻無惨を鬼にした「善良な医者」の正体は?
この産屋敷家から生まれてしまったのが、鬼舞辻無惨という最強の始祖の鬼。今記事でも何度も名前が出ていますが、全ての鬼を生み出した元凶。珠世の薬で9000年近くも老化させても、柱が全員で立ち向かって苦戦を強いられるなど、まさに最強の生物。
ただ1000年前の平安時代に生まれた鬼舞辻無惨は、当初生まれながらにして病弱だった。母親の胎内にいる頃から心臓は何度も止まり、生まれた瞬間に死産と判断されたほど。荼毘に付される直前に初めて産声を上げて一命をとりとめた。それ故に生への執着心が強い。
それでも20歳になる前に死亡すると診断された鬼舞辻無惨を救おうとしたのが、とある「善良な医者」になります。この善良な医者が青い彼岸花の成分を含んだ薬を投与した結果、鬼舞辻無惨が鬼化してしまった。
○ストーリー上は重要ではないので未解明のままだった?
しかしながら薬はすぐに効果を発揮せず、悪化していく病状に耐えかねた鬼舞辻無惨が「善良な医者」を殺してしまう。その後、無敵の力を得た鬼舞辻無惨でしたが、太陽光を浴びると死ぬことに気付く。しかし時すでに遅し。青い彼岸花を知るのは善良な医者だけだった。
まさに皮肉な話ですが、この諸悪の根源を生んでしまったとも言える「善良な医者」の正体は一体誰なのかは最後まで明らかにされずじまいでした。何故ここまで驚異的な医学知識を供えていたのか?この天才的な医者の正体は一体誰だったのか?
とはいえ、敵の主役は鬼舞辻無惨。善良な医者は名前通りに悪意はなかった以上、ストーリー上は重要なキャラクターでもなかった。それ故に最終的に未解明のまま終わったのだと思います。あくまで無惨を鬼化する経緯を説明するために無理やりねじ込んだ設定か。
ちなみに、鬼舞辻無惨のモデルは『ジョジョの奇妙な冒険』第二部のカーズあたりか。知能が極めて高い究極の生命体という点、太陽を執念深く克服しようとするなど共通点は多い。無惨の中性的な見た目も、ディオよりはカーズに近そう。
また無惨を9000年老いさせた理由も、カーズの【1万歳という年齢】を意識してそうな気がします。作者の吾峠呼世晴はファンを自称しているだけあって、鬼滅の刃にはジョジョをモデルにした設定も多い模様。
珠世にまつわる伏線とは?
続いては珠世(たまよ)に伏線について考察します。
珠世とは、謎多き鬼の医者になります。肉体改造に長けており、二百年以上かけて愈史郎を人間から完全な鬼に変えた実力者。さまざまな薬学にも精通し、竈門禰豆子を人間に戻す薬を処方したり、鬼舞辻無惨に老化の薬を与えて追い詰めたのも珠世。
『過狩り狩り』という短編集にも登場するなど、作者の思い入れが深そうなキャラクター。
珠世もかつて病弱で死にかけていたが、無惨の血を分け与えられて鬼化した。しかしながら鬼化した珠世は自制が効かずに、最愛の息子と夫を食い殺してしまう。珠世は鬼舞辻無惨に恨みを募らせるものの【呪い】から刃向かえなかった。
そのため400年前の時点で鬼舞辻無惨の支配下にあった。鬼舞辻無惨ですら目をかける薬学の知識を持っていた裏返しですが、継国縁壱と出会って状況は一変する。鬼舞辻無惨は出会い頭に木端微塵にされて、継国縁壱から逃れるように身を潜める。
そこで無惨の支配を受けなくなった珠世は、自身の肉体を改造して【無惨の呪い】を強制的に解除した。果たして呪いを解除する方法とは?無惨の細胞が取り込まされていたなどの可能性が考えられますが、結果的には明らかにされずじまい。
ただ他にも愈史郎を鬼にした方法も最終的に判明していませんが、ここも伏線というよりも単なる謎止まりではあるでしょう。鬼滅の刃最終回などを読む限り、愈史郎と珠世の出会いや珠世への愛などを描写した方が面白そうです。
痣(あざ)にまつわる伏線とは?
続いては「痣(あざ)」にまつわる伏線を考察します。
痣とは「基礎戦闘力を高める」ことができる目印のこと。主に顔に痣が発現し、基本の呼吸に応じて痣の色やカタチも変わる。何故か痣の者が一人でも現れると、共鳴するように痣が伝播していくのも特徴でした。
痣が発現する条件は「39℃以上の体温」と「200を超える心拍数」が必要なため、主に怒りの感情が昂ぶることで痣が出やすくなる模様。本来は命に関わる状態に陥るものの、それ故に耐えられた者に痣として現れることが判明しております。
痣の発現は、上弦の鬼に対抗できる唯一の条件とも言われているほど。ただし、肉体への負荷が大きすぎるため、痣が発現すると基本的に早死する。漫画の中ではよくある設定ですが、まさに寿命の前借り。
○痣者が共鳴し合うのはスタンド使いの如し?
ただし、なぜ痣の者が共鳴し合うのか?なぜ生まれつき痣があった継国縁壱は長寿命だったのか?なぜ痣のカタチが鬼の模様にも似ているのか?伏線と呼ぶほどのものでもないですが、痣に関する謎はちょこちょこ残っている気はします。
ちなみに痣の設定は『ジョジョの奇妙な冒険』の【星型のアザ】が由来のはず。ジョースター家の末裔は何故か首の付け根(左肩?)に星型のアザが現れる。前述のようにジョースター家は産屋敷のモデルなので、作者的には「強者≒痣」というイメージを持っていた?
ジョジョの世界では「スタンド使いはスタンド使いといずれ惹かれ合う」のは有名な話ですが、この設定を痣にも落とし込んだだけのような気もします。逆に言うと、痣者が共鳴し合う原理にそこまで深い理由はなさそうです。
また全集中の呼吸は、ジョジョの「波紋」という呼吸法のパクリでした。血液中のエネルギーを集約させることで、自らの生命力を高めるというもの。ここから生み出される独特のエネルギーは、肉体から水の波紋のように飛び出されることが由来。
○痣は太陽エネルギーの象徴?
吸血鬼が太陽に弱いのはジョジョでも同じですが、波紋エネルギーは「太陽光の波長」と同じだった。だから波紋エネルギーを強化すればするほど、ディオやカーズのような敵にも効果を発揮した。
そのため痣の39℃以上の体温という設定も「太陽の熱」を意識しているのかも。また鬼の再生能力を著しく弱める「赫刀(強く握ると刀が熱くなって赤くなる)」も鬼滅の刃終盤では多く見られましたが、これも太陽を意識した設定なのでしょう。
つまり、痣や赫刀が鬼に威力を発揮した理由は、まさに吸血鬼は太陽に弱いからと言えそう。結果的に漫画の中で深く解説しきれなかったから未回収の伏線などと言われている気がします。そのためアニメ版鬼滅の刃ではもう少し丁寧に説明される可能性もあるか。
竈門禰豆子は何故太陽を克服できたのか?
続いては炭治郎の妹・竈門禰豆子(ねずこ)の伏線について考察します。
前述のように竈門禰豆子は鬼舞辻無惨に襲われて鬼化したわけですが、最終的に「太陽を克服」することに成功します。何故か最初から呪いの効果は弱かった点も含めて、どうやら先天的に鬼に対する抗体みたいなものを持っていた可能性が高い。
ただし、こちらも何故竈門禰豆子が太陽を克服できたのかは不明なまま。最終的に珠世の薬で人間に戻れた点も含めて、禰豆子の特殊体質の秘密は分からずじまい。だったら無惨も最初から竈門禰豆子を狙っていたかというと、そういうわけでもない。
これも伏線と呼んでいいかはやはり微妙ですが、禰豆子が太陽を克服できた謎は気になるところ。
ただ大きなヒントとなりそうなのが、無惨の呪いを唯一克服できた珠世の発言。中盤以降に実験の成果も出てきた頃、禰豆子がいずれ太陽を克服できるとほぼ確信していた珠世は「幼子(おさなご)のような状態でいる」ことが一つの要素として分析していた模様。
だから【純粋な悪意(無惨の支配)】に取り込まれないために、竈門禰豆子は【純粋な善意】でそれを防御するに幼子の状態でいる必要があった?ここらへんの謎というか伏線も、アニメ版鬼滅の刃ではもう少し掘り下げられるかも。
刀鍛冶の里に隠された「秘密の武器」の謎とは?
最後は「刀鍛冶の里」編に関する伏線を考察します。音柱・宇髄天元が活躍した遊郭編に続くストーリー。アニメ版の刀鍛冶の里編はおそらく2023年以降に放送されるはず。ここは文字通り、鬼殺隊に刀を供給する刀鍛冶たちが働いている場所になります。
上弦の鬼・妓夫太郎との戦いで日輪刀が刃毀れした炭治郎。そこで鋼鐵塚に直接会いに行くため、炭治郎は刀鍛冶の里に向かう。そこで風柱・不死川実弥の弟の玄弥、霞柱の時透無一郎と出会っていろいろ一悶着あるんですが、
そこで恋柱・甘露寺蜜璃に刀鍛冶の里に隠された「秘密の武器」の存在を炭治郎は知らされる。この秘密の武器がネット上では鬼滅の刃の伏線と言われているそう。
○継国縁壱の刀は誰が継承させた?
ただ結論から言うと、縁壱零式と呼ばれる戦闘用カラクリロボットが関係しております。これは数百年前の戦国時代に作られ、継国縁壱という最強の剣士の戦闘力を体現されており、あまりに強すぎた故に腕が6本設置されていたほど。
でも、これ自体が秘密の武器ではありません。
甘露寺蜜璃が言っていた秘密の武器とは、その中に隠されていた「継国縁壱の刀」になります。炭治郎は「甘露寺さんの言ってた武器って何だろうな?やっぱり刀かな?埋まってたりするのかな?」と当初語っていましたが、これもしっかり伏線だった。
でも最強の継国縁壱の刀を鋳造した刀鍛冶の正体は不明なまま。また過去編を見ても、老衰で死んだ継国縁壱自身が刀を後世に残す描写もなかった。カラクリロボットの縁壱零式を誰が作って、誰が刀を隠したのかなど詳細は不明。
ただ「ONE PIECEの伏線」「ハンターハンターの伏線」なども考察してきましたが、鬼滅の刃でも同様に【謎止まりの伏線】も多かったように思えます。他にも個人的に伊黒小芭内の家族を囲っていたヘビの鬼も気になりますが、伏線という意味で回収すべき伏線はあまり残っていない気もします。
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