少年ジャンプが誇る人気バトル漫画が『鬼滅の刃』。コミックス累計発行部数は1億5000万部を突破するなど、2020年に惜しまれながら完結したものの、その後も年間数千万部ほど売れているとか。国内外で鬼滅の刃のコスプレイヤーも多く見られます。
その中でも特に多いのが「胡蝶しのぶ(こちょう・しのぶ)」のコスプレイヤー。鬼滅の刃はアニメが大ヒットしたこともあってか、胡蝶しのぶの衣装を着た小さいお子さんも見かけます。それだけ胡蝶しのぶは幅広い鬼滅ファンに好かれている様子。
そこで今回ドル漫では「胡蝶しのぶ」のヤバい正体や能力強さをフルカラー画像付きで徹底考察したいと思います。胡蝶しのぶの悲惨な過去や意外な人間関係、最後に転生した鶺鴒女学院に隠された謎も考察します。
胡蝶しのぶは蟲柱
まず胡蝶しのぶの正体をおさらい。
胡蝶しのぶは鬼殺隊でも最高位の柱(はしら)の一人。具体的には【蟲柱(むしばしら)】。そのため基本の呼吸も「蟲の呼吸」を体得してる。漢字は簡単な「虫」ではなく、難しい方の「蟲」が使用されます。改めて考察しますが、害虫に近いニュアンス。
胡蝶しのぶの年齢は18歳。誕生日は2月24日。出身地は東京府北豊島郡滝野川村。更に言うと、蝶屋敷という名門の出。声優CVは早見沙織。『ONE PIECE』のヤマトと同じ声優だったりします。柱では甘露寺蜜璃と並んで数少ない女性キャラ。
鬼滅の刃人気ランキングでは胡蝶しのぶは堂々の5位。ただ鬼滅の刃強さランキングでは割と弱い部類に入ります。
○胡蝶しのぶの武器は「毒」
何故なら、胡蝶しのぶの身長は151cmとかなりの小柄。禰豆子よりも背丈が低いため柱に限らず、鬼滅の刃の主要キャラクターの中でも最も小さいはず。体重もたった37kg。そのため体が華奢だった胡蝶しのぶは、柱ではありながら自力で鬼の首を斬ることができなかった。
そこで胡蝶しのぶが武器としたのが「毒」。そのため胡蝶しのぶは毒柱と間違ってしまう人も多そう。
実は胡蝶しのぶが生まれた蝶屋敷は鬼殺隊の隊士を治癒する病院の役割も担っているため、胡蝶しのぶは薬学にも精通している。だから藤の花から特定の成分を抽出して、鬼が少し触れただけでも死亡するほどの猛毒を自身で開発した。
この毒はどうやら鞘の部分に仕込んでいる模様。日輪刀を収める際に、毒の調合なども行う。キャラの発想としては「蠱毒(こどく)」から来ているのか。他にも靴に隠し武器を仕込むなど、胡蝶しのぶは身体能力の低さを別の武器で補っている柱になります。
蟲の呼吸の必殺技まとめ
続いては蟲の呼吸の必殺技を考察します。
蟲の呼吸は基本の呼吸の中でも「弱い部類」に入りそう。何故なら、後述する姉の胡蝶カナエが会得していた【花の呼吸】から派生しているから。しかも花の呼吸自体が水の呼吸から派生しているため、蟲の呼吸は「派生の派生」ということ。
また水の呼吸などでは各々の必殺技を「○ノ型(~のかた)」と表現してるんですが、蟲の呼吸だけは「○ノ舞(~のまい)」と表現されている。本来は○の部分には数字が入るんですが、蟲の呼吸では【虫の名前】が入るので読み方は少しややこしい。
この理由は明らかにされていませんが、おそらく蟲の呼吸には「とどめを刺す技がない」からか。結局、最後にとどめを刺すのは胡蝶しのぶが開発した猛毒。あくまで蟲の呼吸は「敵に触れるための舞い」というニュアンスが強いのかも。
そう考えると、蟲の呼吸は胡蝶しのぶが開発したオリジナルの必殺技だったりする?
○戯れ(たわむれ)…蟲の呼吸「蝶ノ舞」
まず最初の蟲の呼吸は蝶ノ舞(ちょうのまい)の【戯れ(たわむれ)】。
【戯れ】は蝶が舞うように高速で移動し、敵に複数回の毒の刃を突き刺す必殺技。突き単体の攻撃力はないものの、猛毒の刃が複数回突き刺されれば大抵の鬼は即死する。そのため腐っても一撃必死の技ではあるため、まさに強者が弱者を弄ぶかのような技。
現時点で唯一アニメ化されてる蟲の呼吸ということもあって、この【戯れ】を真似している鬼滅の刃ファンも多いです。パッと見は動きに乏しいので、女の子のファンも真似しやすい必殺技なのかも知れない。
○真靡き(まなびき)…蟲の呼吸「蜂牙ノ舞」
続いては蜂牙ノ舞(ほうがのまい)の【真靡き(まなびき)】。
【真靡き】は敵の不意を付いて一突きする必殺技。前述のように胡蝶しのぶは鬼の首を斬る腕力はなく身体能力は並以下ですが、体が小さいからこそ「足の速さ」だけは柱でも図抜けてる部類に入ります。そのため突きの強さも柱では随一なんだそう。
だから胡蝶しのぶの日輪刀(色は紫色)も槍のように尖っており、実は蟲の呼吸との相性が良かったりします。蜂は昆虫の「ハチ」を意味するので、真靡きはまさに「蝶のように舞い蜂のように刺す」を体現するかのような必殺技。
○百足蛇腹(ひゃくそくじゃばら)…蟲の呼吸「蜈蚣ノ舞」
続いては蜈蚣ノ舞(ごこうのまい)の【百足蛇腹(ひゃくそくじゃばら)】。
【百足蛇腹】はジグザクに動きながら敵に向かう必殺技。その踏み込みの威力は凄まじく、地面が軽くえぐれるほど。まさに四方八方に高速で移動して敵を翻弄する必殺技。このスピードの速さは、上弦の弐・童磨ですら反応できなかったほど。
蜈蚣や百足という漢字は「ムカデ」と読むので、そのまんまの必殺技。ちなみにムカデは昆虫ではありませんが、一般的に「体温がない生き物」は全て虫に該当するそう。難しい漢字の【蟲】の意味は害虫を指すため、可愛くない感じが胡蝶しのぶとお似合いか。
○複眼六角(ふくがんろっかく)…蟲の呼吸「蜻蛉ノ舞」
続いては蜻蛉ノ舞(せいれいのまい)の【複眼六角(ふくがんろっかく)】。
【複眼六角】は六連撃の突き攻撃を行う必殺技。鬼滅の刃公式ガイドブックの解説を読む限り、大量の毒を打ち込める必殺技とのこと。蜻蛉は虫の「トンボ」を意味するため、チョウチョウを比べたら運動能力は優れる昆虫のはず。
そのため【戯れの強化バージョン】とでも考えると分かりやすいか。突きの攻撃力そのものが上がっても意味はあまりないはずなので、複眼六角は「毒の量や威力」「攻撃の避けにくさ」という点で強化されているのかも知れない。
胡蝶しのぶの性格は毒舌
続いては胡蝶しのぶの性格を考察。
胡蝶しのぶが生まれた蝶屋敷は産屋敷家と懇意にしていただけあって、いわゆる名家の出身と言えそう。そのため胡蝶しのぶの口調は一見すると丁寧。鬼に対しても「今夜は月が綺麗ですね」と敵愾心を一切見せずに近寄る場面を覚えてる鬼滅読者は多そう。
ただ胡蝶しのぶは毒を扱うだけあって、実際の性格は超毒舌。
例えば、水柱・冨岡義勇に対して平然と【嫌われ者】と笑顔で面罵し、それを無表情で否定する義勇に「すいません。嫌われている自覚が無かったんですね」と更に追い詰めるSっぷりを発揮。炭治郎も二人のやり取りにひたすら困惑するだけ。
この場面は那田蜘蛛山での出来事ですが、胡蝶しのぶが鬼化した竈門禰豆子を「優しい毒で殺してあげましょうね」と詰め寄ろうとすると、炭治郎は禰豆子を連れて逃げ出す。そこで竈門兄妹を救おうと冨岡義勇は胡蝶しのぶを羽交い締めにして留め置く。
身体能力に劣る胡蝶しのぶは為す術がないものの、「嫌われていると言ってしまったこと根に持ってます?」と臆面もなく言い放つなど毒舌は止まらず。丁寧な言葉づかいなんですが、基本的に言葉の端々が刺々しい。歪んだ性格は後述する過去が関係してます。
○性根は優しい女の子だった?
鬼滅の刃終盤の無限城編では「正気とは思えませんね。貴方大丈夫ですか?本当に吐き気がする」という毒舌も。これは「誰もが皆死ぬのを怖がるから俺が食べてあげてる。俺と共に生きていくんだ」と豪語する童磨への反応なので、誰しも同じような嫌悪感は芽生えそうですが
ただ胡蝶しのぶの性格は意外と優しい一面を見せることもあります。薬学の知識に長ける胡蝶しのぶは、蝶屋敷では負傷した隊士たちを頻繁に治療していた。そこで治療を受けた嘴平伊之助は、かつて胡蝶しのぶに指切りげんまんで他者を慮る姿に遭遇していた。
もしかすると悲惨な過去がなければ、胡蝶しのぶの本来の性格は優しかったのかも知れない。いわゆるツンデレ?
胡蝶しのぶのパートナーは水柱・冨岡義勇?恋人関係?
ちなみに胡蝶しのぶと言えば、水柱・冨岡義勇が同時にセットでやはり思い浮かびます。さながら二人は鬼殺隊におけるパートナーやコンビのような関係性にも見えます。
例えば、『鬼滅の刃外伝』でも胡蝶しのぶと冨岡義勇が2人主人公のスピンオフ漫画も描かれてたりもします。先述のいがみ合っている場面も二人が仲が良いからこそ?事実、冨岡義勇は胡蝶しのぶに対して「よく話しかけてくれる」と好意的に評価している。
ただし、胡蝶しのぶと冨岡義勇が特定のパートナーという関係性ではなさそう。スピンオフ漫画でも二人が出会ったのはあくまで偶然とのこと。炎柱・煉獄杏寿郎と恋柱・甘露寺蜜璃のような直接的な師匠と弟子という関係性でもない。
もちろん胡蝶しのぶと義勇は【恋人関係】でもありません。鬼滅の刃最終回に登場した子孫や転生キャラを見ても、二人が恋人になる運命ではなかったことは明白だと思うので、お互いに「恋心」のような感情は持ち合わせていなかったと考えられます。
一応、胡蝶しのぶは柱の中だと同じ女性の甘露寺蜜璃と仲が良かったそう。後述する胡蝶しのぶの過去を合わせて考えると、そもそも「男に恋愛感情を抱く」という設定は1ミリも想定されていなかったに違いない。
【過去】胡蝶しのぶの継子が栗花落カナヲ
続いては胡蝶しのぶの人間関係を考察。
胡蝶しのぶの代表的な人間関係は、主に2名が挙げられます。
例えば、真ん中の栗花落カナヲは胡蝶しのぶの継子(つぐこ)、右が実姉の胡蝶カナエになります。
継子の栗花落カナヲは孤児だったんですが、胡蝶姉妹がひょんなキッカケで蝶屋敷で育てることになった。だから胡蝶しのぶとは血は繋がっていないものの、お互いに強く信頼し合っている中。栗花落カナヲの命名の由来などは後で別記事もご参照。
ちなみに、栗花落カナヲは最終的に鬼滅の刃主人公・竈門炭治郎と結婚してます。
一方、実姉の胡蝶カナエの性格は穏やかそのもの。刺々しい胡蝶しのぶとは真逆。姉妹キャラでありがちな正反対の性格ですが、胡蝶カナエは「花柱」だった。胡蝶カナエの戦闘シーンは皆無に近いですが、実力的には胡蝶しのぶを上回る強さだった模様。
この姉カナエの後釜として、胡蝶しのぶは蟲柱に選ばれた?
○岩柱・悲鳴嶼行冥に助けられた過去
そこで胡蝶姉妹の生い立ちをおさらいしておくと、両親と共に平和に暮らしていた蝶屋敷にある日、鬼が襲ってくる。両親はあっけなく死亡してしまったものの、実は胡蝶姉妹を救ってくれた鬼殺隊が岩柱の悲鳴嶼行冥だったりします。
その日を境に、胡蝶姉妹は「自分たちが救われたようにまだ破壊されていない誰かの幸福を強くなって守りたい」「二人で鬼を一体でも多く倒そう」「私たちと同じ思いを他の人にはさせない」と決意して、鬼殺隊の門を叩くことになる。
それぞれのキャラクター同士の過去と過去が意外と繋がってたりするのが鬼滅の刃の面白いポイントだったりします。
姉の胡蝶カナエは上弦の鬼・童磨に殺される
でも花柱だった胡蝶カナエは、とある「上弦の鬼」に殺されてしまう。正確にはとどめを刺される前に太陽が出たのか、カナエが食べられる前に逃亡してしまった。それでも姉カナエは瀕死の状態だったため、その後現場に駆け付けた胡蝶しのぶに見守られながら死亡した。
その姉カナエを殺した上弦の鬼が「童磨(どうま)」。上弦の弐なので、上から2番目に強い十二鬼月。
童磨は元々は宗教団体の教祖だった。そこを隠れ蓑のして次々と信者(主に女性)に手をかける卑劣な男。ただ感情の起伏が一切なく、性格は完全なサイコパス。自らの行いを「救済」と思い込み、鬼と化した以降も罪悪感は一ミリも芽生えない。
胡蝶カナエ曰く、童磨は「女を食うことに異様な執着があって意地汚い鬼」と考察。事実、嘴平伊之助の母親の毒牙にかかっている。一方、鬼は女性を食えば食うほど強くなるため、童磨はトントン拍子で十二鬼月を駆け上がって猗窩座を追い抜く強さだった。
そのため胡蝶しのぶが着用している羽織も【姉・胡蝶カナエのもの】だったりします。我妻善逸の羽織も亡き育手の桑島慈悟郎の所有物だったので、鬼滅の刃における羽織やそのデザインには「人間ドラマ」が込められている模様。
○胡蝶しのぶの目的は「姉の恨みを晴らす」こと
だから胡蝶しのぶの性格は一見すると穏やかな理由も【姉・カナエの死】が関係している。
何故なら、姉カナエは「胡蝶しのぶの笑顔が好き」だったから。性格が穏やかな姉の遺志や想いを継承しようと、しのぶは【笑顔だけは常に絶やさない】ように務めていた。感情の制御ができないものは未熟者と自分に言い聞かせて、あえて表面的には穏やかに装ってる。
姉カナエは「鬼殺隊を辞めなさい。お婆さんになるまで生きて欲しいのよ」という遺言を言い残すなど、死を間際にしても気にかけるのは実の妹しのぶの未来だった。二人の仲が良かったことも大きいですが、胡蝶カナエは誰よりも優しい人間だった。
でも「もしも~し」という優しい猫なで声がモノマネされますが、胡蝶しのぶの根底にあるのは【怒り】だけ。炭治郎だけは胡蝶しのぶの本心を見抜いていてましたが、「私ずっとずーっと怒ってるんですよ」と自らの本心を吐露するシーンからも分かります。
胡蝶しのぶが蟲柱であり続ける理由は、まさに「童磨」を倒すため。姉の無念を晴らすため。怒りの炎をふつふつと燃やしていた理由も、親しい人の死を忘れたくがないため。表面的には常に笑顔をたたえるものの、この激しい怒りも相まって毒舌が顔を覗かせる。
【因縁の対決】胡蝶しのぶもやはり童磨を前に死亡?
そして鬼滅の刃終盤の無限城編では「胡蝶しのぶ vs 童磨」の戦いが描かれます。まさに因縁の対決。
ただ胡蝶しのぶの毒は下弦の鬼程度であれば瞬殺でしたが、上弦の鬼の童磨は毒を難なく分解してしまう。強い鬼ほど分解能力が高いため、童磨は「毒を喰らうのって面白いね癖になりそう。うわー楽しい」とナチュラルにゴリゴリに挑発するほど。
また毒の情報は「鬼舞辻無惨」を通して全ての鬼に共有化されており、胡蝶しのぶと戦わずして童磨は毒への耐性を高めていた状態だった。胡蝶しのぶ自身も「毒は諸刃の剣」と戦いの中で述懐するなど、童磨相手に【苦戦】を強いられる。
やはり最大の武器である毒が効かない以上、戦闘力で見劣りする胡蝶しのぶは為す術もなかった。童磨は「食べ損ねた子。ちゃんと食べてあげたかった」と姉カナエを侮辱して煽るものの、胡蝶しのぶの肺は潰されて大量に失血。もはや一歩も動けない状態まで追い込まれる。
でも、ここで励ましてくれたのが姉の胡蝶カナエだった。「立ちなさい。しっかりしなさい。泣くことは許しません」と息も絶え絶えの胡蝶しのぶを鼓舞する。もう長く生きられないと悟ったからこそ、姉カナエは敢えて強く叱った。
その後、最後の命を振り絞って蟲の呼吸の必殺技を繰り出して対抗するものの、最終的に童磨の体内に取り込まれてしまう。胡蝶しのぶが最後に放った言葉が「地獄に堕ちろ」。この強い言葉とは裏腹に、窮鼠猫を噛むことすらできなかった結末で終わった?
胡蝶しのぶは「全身毒化」で一矢報いる
ただ胡蝶しのぶが童磨の体内に吸収された理由には「戦略」がしっかり隠されていた。
何故なら、胡蝶しのぶは「自分の肉体を毒状態」に変えていたから。胡蝶しのぶの体重は37kgでしたが、このほとんど全てが毒。日輪刀に仕込める毒の量は50mgだったため、致死量の約700倍とのこと。
実は童磨戦が始まるまでの間、1年以上ずっと藤の花の毒を毎日少しずつ摂取し続けた結果、胡蝶しのぶは肉体は爪や髪の毛に至るまで体の隅々まで毒が回っていた。
とにかく女を食うことに異様な執着があった童磨にとって、「女性 and 優秀な柱」という胡蝶しのぶを喰わないという選択肢はなかった。数十kg単位の猛毒を取り込んでしまった童磨は、骨すら溶けるほどの致命的なダメージを負う。
これらの毒は珠世との共同開発したものだったんですが、まさに胡蝶しのぶは自らが犠牲となるカタチで童磨に一矢報いたカタチ。だからというわけでもないと思いますが、胡蝶しのぶは最後までアザ(痣)が発現しなかった珍しい柱でもあります。
一方、ミリグラム換算(37000000÷50)で単純計算すると、37kgは50mgの【74万倍】という答えが導き出される。胡蝶しのぶの口から出た700倍という数字がどこから来たのかは正直不明。素直に74万倍にした方がインパクトはありそう。
○最後に託したのは継子の栗花落カナヲ
それでも童磨の回復力が著しく弱まっただけ。最後の決め手は、やはり頸(くび)。
そこで更に胡蝶しのぶは「継子の栗花落カナヲ」に頸を斬るように事前にお願いしていた。実力的には胡蝶しのぶを超える逸材だったからこその信頼を置いていた。栗花落カナヲは最後に花の呼吸・終の型(彼岸朱眼)を使って、童磨にとどめを刺す。
大役を果たした栗花落カナヲが二人の蝶の髪飾りを抱きしめていると、「がんばったね」と胡蝶しのぶとカナエの魂がそっと頭を撫でてあげるシーンは泣かせます。
栗花落カナヲも悲惨な過去を背負っていたため、【泣くという感情】を失っていた。でも育ての親とも言うべき胡蝶姉妹に頭を撫でられた後、初めて号泣する。それは悲し涙でもあり、嬉し涙でもあった。複雑な感情をセリフなしで表現するシーンは見事。
鬼滅の刃アニメ版(もしくは劇場版映画?)でも期待しましょう。
胡蝶しのぶと童磨の最後の会話がワロタ
本来であればここでチャンチャンで終わってもいい話ですが、死後に胡蝶しのぶと童磨が最後に会話するシーンが面白い。
二人はあの世で再会した時の、胡蝶しのぶの第一声が「あ、やっと死にました?良かった。これで私も安心して成仏できます」。丁寧な言葉遣いとは裏腹に、童磨を捉えて離さないねっちょりした視線が積年の憎悪が読み取れます。童磨の頭を持ちながらという構図も含めて、いろいろ不気味。
なんだかお母さんに怒られている気分。
これに対する童磨の返答も「やぁ…しのぶちゃんだったかな?カナエちゃん?」とブラックジョークに近い温度差のあるセリフが笑う。胡蝶しのぶは「ああいいですよ。覚えなくて。私のことも姉のことも。気色悪いので名前で呼ばないでください」と平静を装うものの、言葉の端々からは怒りしか読み取れない。
事実、珠世と協力して作った毒を振り返って、「できることなら自分の作った毒で【お前】を葬りたかった」と語る言葉からは殺意しか読み取れない。覚えなくていいですよという自らの発言を実践するかのように、【童磨】という名前は意地でも出さない。
○とっととくたばれ糞野郎
ただ一方で、胡蝶しのぶは全ての結果に満足していた。まだ鬼の始祖(鬼舞辻無惨)こそ残っていたものの、「きっともう大丈夫。仲間の誰かが必ずやり遂げてくれる。私はそう確信している」と満足そうに語る表情からは仲間への信頼も読み取れる。
ここでも胡蝶しのぶは「鬼の始祖」と表現して鬼舞辻無惨を名指ししてませんが、童磨と同じく「これから消える敵の名前」を覚える必要はないということ。鬼舞辻無惨ですらも眼中にないほど、胡蝶しのぶの仲間への信頼は絶対だった?
この強気すぎる胡蝶しのぶの姿を見て、童磨は「今はもう無い心臓が脈打つような気さえする」と初めての恋愛感情を抱く。童磨は赤ら顔で「ねぇ、しのぶちゃん、俺と一緒に地獄へ行かない?」と恋愛偏差値マイナス70万レベルの誘い方で、胡蝶しのぶをデートに誘う。
それに対して、胡蝶しのぶは「とっととくたばれ糞野郎」と乾いた笑顔で一蹴する。よりにもよって何故地獄?胡蝶しのぶは何も悪いことはしてませんからね。胡蝶しのぶは最後は姉カナエと共に死んだ両親に天国で出会うんですが、その時の満面の笑顔とは対照的。
胡蝶しのぶは死後も炭治郎をサポート
だから童磨との戦いで死亡するわけですが、胡蝶しのぶは死後も実は登場シーンがあります。
そこで鬼滅の刃最終盤の展開をおさらいすると、ラスボス・鬼舞辻無惨を倒した後も鬼殺隊の戦いは終わらなかった。無惨の細胞を継承した主人公・竈門炭治郎が鬼化してしまう。ただ胡蝶しのぶの継子・栗花落カナヲなどの健闘もあって、炭治郎を沈静化させることに成功。
ちなみに、胡蝶しのぶは生前に「鬼を人間に戻す薬」を栗花落カナヲに渡していた。
それでも炭治郎の体内では「悪に支配したい無惨」に抗っていた。無惨は「無意味なことをするのはよせ。禰豆子は死んだ。お前が殺した」と炭治郎を精神的に揺さぶり続ける。それに対して「嘘を付くな。みんなが俺を心配してくれてる」と炭治郎は必死に抵抗。
最終的に無惨の呪縛から解き放ってくれたのが、胡蝶しのぶを筆頭とした元柱たち。右から炎柱の煉獄杏寿郎、岩柱の悲鳴嶼行冥といった具合に特徴的な服装から分かると思いますが、真ん中付近に蝶々柄の胡蝶しのぶの右腕が確認できるはず。
だから死後も隊士たちをサポートするなど、胡蝶しのぶは鬼滅の刃序盤から終盤まで活躍する名物キャラクターとして描かれていました。
【鶺鴒女学院の意味】現代編では美人姉妹に転生する
一方、鬼滅の刃最終回では【現代編】が描かれます。
鬼舞辻無惨を倒した100年後の現代日本に舞台が移るんですが、そこでは主人公・竈門炭治郎や我妻善逸の子孫たちが多数登場する。その中には恋柱・甘露寺蜜璃や蛇柱・伊黒小芭内といった死亡したキャラクターたちも「転生した別人」として再登場してる。
胡蝶しのぶは「鶺鴒女学院(せきれい・じょがくいん)」に通う女生徒として再登場してる。胡蝶しのぶ直接の子孫ではないため二人の名前までは不明ですが、胡蝶しのぶと胡蝶カナエは生まれ変わっても「姉妹の絆」は消えなかった模様。
鬼滅の刃最終23巻や鬼殺隊見聞録の解説によると、周囲では有名な美人姉妹とのこと。我妻善逸の子孫・善照も思わずクンカクンカするほど良い匂いを漂わせているとか。だから胡蝶姉妹はどちらも転生しているものの、この二人も血は繋がっている模様。
ちなみに、鶺鴒(せきれい)とは鳥の一種になります。サイズ感は雀よりも大きく、特徴は尾が長い。美しい鳥として有名なので、胡蝶姉妹を見事に言い表してる鳥ではありそう。画像は白鶺鴒(はくせきれい)。
ただ鶺鴒は「小さい男性や少年をあざける言葉」としても使われているそう。我妻善照もムッヒョーと興奮してましたが、胡蝶しのぶは【男を嘲っているツンケンした女性像】を意識してキャラ作りされていたことが終始一貫として伺えます。
でもその背景にはやはり仇敵・童磨が関係してることは言うまでもないか。
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