少年ジャンプで連載されていたバトル漫画『鬼滅の刃』は2020年に惜しまれながら完結を迎えました。ただ劇場版映画やアニメなどは今後も続いていくはず。
そこで今回ドル漫では「黒死牟(こくしぼう)の正体&能力強さ」をフルカラー画像付きで徹底的に考察してみたいと思います。黒死牟が操る月の呼吸の必殺技や鬼滅最強キャラの弟・継国縁壱との悲しい過去なども解説します。
黒死牟とは上弦の壱
まずは「黒死牟の正体」を考察。
黒死牟とは「上弦の鬼(十二鬼月)」の中でも最強の鬼。位は「上弦の壱(以下は上弦の1と表記)」と呼ばれることが多いです。顔に6つの目を持つのが特徴。
黒死牟の読み方は「こくしぼう」。牟は中国人や朝鮮人で使われてる姓(名字)とか。この漢字に目編をつけると「眸(ひとみ)」と読むため、何故黒死牟にこちらの漢字をあてなかったかは不明。鬼(人間の欠陥品)というニュアンスも込められていたか。
黒死牟は数百年前から上弦の1に君臨する鬼。改めて後述しますが、上弦の鬼でも圧倒的に強い。上弦の2や3を突き放すほどの実力差がある。最強の独裁者である鬼舞辻無惨にして「ビジネスパートナー」と思わせるほど。
黒死牟は十二鬼月や上弦の鬼の中でも戒律や従属関係を重んじる男。特に上弦の3の猗窩座の横暴な振る舞いには容赦がない。黒死牟は「統率」を重んじるなど、どこか人間らしさも匂わせる上弦の鬼でした。
黒死牟の正体は継国厳勝?
続いては「黒死牟の正体」を考察。
黒死牟の正体は400年前に存在した「継国厳勝(つぎくに・みちかつ)」という侍だった。しかも、霞柱・時透無一郎の先祖にあたる元鬼殺隊の剣士。
この継国家はかつて「日の呼吸」を生み出した家系。日の呼吸とは全ての呼吸の始まり。基本の呼吸には炎や岩、雷といったタイプが存在しますが、どれも日の呼吸から派生した呼吸に過ぎない。
本来は「鬼を倒す側の柱が鬼化した侍」と捉えれば、いかに黒死牟が強いかは分かるはず。鬼特有の無敵に近い耐久力と再生力に、人間の洗練された技の極地が加わる。しかも基本の呼吸の元祖。まさに鬼に金棒ならぬ「鬼に基本の呼吸」にいったところ。
黒死牟の「日輪刀」が最強にヤバすぎた
ただ黒死牟の強さは剣術や体術だけじゃない。鬼化したことによって「刀」そのものがかなり強化されてる。刀と言っても、黒死牟は元基本の呼吸を扱う侍だけあって日輪刀を操る。
例えば、黒死牟の日輪刀は「折られてもすぐ再生する」のが特徴。
柱や鬼殺隊も刀を折られると攻撃の手段を失うものの、黒死牟は侍特有の欠点を持たない。「折られた所ですぐに再生するのだ。攻撃は無意味」と黒死牟がドヤ顔するのも納得。黒死牟の刀の波紋も非常にグロテスク。いかにも嫌な予感しかしない。
しかも黒死牟は自在に「刀の形状」を変則的に変えることも可能。単純に刀の鞘の長さを伸ばすことで、攻撃範囲を広げることが可能。画像の場合は、もはや刀というよりも鉾や槍に近い形状。
しかも、黒死牟は体の中から「大量の刀」を発現させることも可能。画像は一見すると黒死牟の体に無数の刀が刺さってるように見えますが、黒死牟の体内から外に向けて大量の刀が飛び出てる。これぞ攻撃は最大の防御なり。
月の呼吸の必殺技まとめ
そして、黒死牟の最大の必殺技は「月の呼吸」。この月の呼吸は日の呼吸の派生型とされるのでめちゃんこ強い。ただ黒死牟は日の呼吸の開祖だったはずなのに何故?これは黒死牟(継国厳勝)の悲しい過去に関係するんですが後述。
月の呼吸は「月の波紋(三日月輪)のような強烈な斬撃」を複数飛ばすことが特徴。月の呼吸はそれだけ間合いが広い技。月の形状や大きさはそれぞれ常に不規則に変化するため、一度避けたと思っても攻撃が当たることもしばしば。柱であっても回避困難。
もしかすると変則的に形状を変えることができる日輪刀あってようやく使えるのかも知れない。だから黒死牟は鬼化してなければ、ここまで多彩な月の呼吸は使えなかった可能性もありそう。
ちなみに、その日輪刀は「紫色」に変化するのが特徴です。月の色は黄色が一番しっくり来ると思いますが、既に我妻善逸の雷の呼吸が専有してるからだと思います。
○闇月・宵の宮…月の呼吸(壱ノ型)
まず月の呼吸・1ノ型は「闇月・宵の宮(やみづき・よいのみや)」。ちなみに「○ノ型」の数字部分は分かりやすいように算用数字を使ってます。正確には見出しにあるように漢数字です。
この1ノ型はシンプルに横一線の斬撃を食らわせる必殺技。数字的には月の呼吸の中でも基礎中の基礎っぽいですが、それでも横薙ぎの単調な斬撃であっても天才の霞柱・時透無一郎の腕をいとも簡単に切り落とした技。
○珠華ノ弄月…月の呼吸(弐ノ型)
月の呼吸・2ノ型は「珠華ノ弄月(しゅかのろうげつ)」。
2ノ型は切り上げた月の斬撃を正面に落とす必殺技。相手の動きを封じるときに使う月の呼吸っぽい。
○厭忌月・銷り…月の呼吸(参ノ型)
月の呼吸・3ノ型は「厭忌月・銷り(えんきづき・つがり)」。
1ノ型と同様に横一線の斬撃を放つ技ですが、月の呼吸・3ノ型は片腕ずつ2連(合計4連)の斬撃を放つ必殺技。
○月魄災渦…月の呼吸(伍ノ型)
月の呼吸・5ノ型は「月魄災渦(げっぱくさいか)」。
5ノ型は刀を振る動作なしで斬撃を放つ必殺技。もはや日輪刀要らんやんけっていう。
○常世孤月・無間…月の呼吸(陸ノ型)
月の呼吸・6ノ型は「常世弧月・無間(とこよこげつ・むけん)」。
6ノ型は大量の三日月輪の斬撃を縦横無尽に大量に飛ばす技。
○厄鏡・月映え…月の呼吸(漆ノ型)
月の呼吸・7ノ型は「厄鏡・月映え(やっきょう・つきばえ)」。
7ノ型は前述の変則的な月の波紋で攻撃するのではなく、シンプルに一直線の斬撃を放つ技。地面が深くえぐれるなど、先程の月の呼吸よりも広範囲で威力が強力のように見えます。また直線の斬撃の間には三日月状の斬撃もしっかり確認できるなど、まさに容赦なし。
○月龍輪尾…月の呼吸(捌ノ型)
月の呼吸・8ノ型は「月龍輪尾(げつりゅうりんび)」。
8ノ型は横一線の斬撃を与える技ですが、1ノ型や3ノ型以上に広範囲の攻撃を食らわせる月の呼吸。また斬撃そのものが異様に太いことが確認できます。
○降り月・連面…月の呼吸(玖ノ型)
月の呼吸・9ノ型は「降り月・連面(くだりづき・れんめん)」。
9ノ型は三日月輪の斬撃を大量に上空から降り注がせる必殺技。月の呼吸は上下左右から攻撃できるため、まさに逃げ場なし。いくら二人でタッグを組んでたとは言え、この黒死牟相手に善戦していた不死川実弥と悲鳴嶼行冥が異常。
○穿面斬・蘿月…月の呼吸(拾ノ型)
月の呼吸・10ノ型は「穿面斬・蘿月(せんめんざん・らげつ)」。
10ノ型は大量の三日月輪の波紋を塊にして、大きな回転ノコギリの歯のように攻撃する技。まさに敵は真っ二つ。
○兇変・天満繊月…月の呼吸(拾肆ノ型)
月の呼吸・14ノ型の「兇変・天満繊月(きょうへん・てんまんせんげつ)」。
14ノ型はまさに全方位に月の斬撃を飛ばす技。どうやら月の呼吸は「波紋」がある技の方が攻撃力が増すのかも知れない。
また多くは型が10個止まりの基本の呼吸が多い中、月の呼吸はそれだけでいかに黒死牟が日々研鑽を積んできたかが分かります。
○月虹・片割れ月…月の呼吸(拾陸ノ型)
月の呼吸・16ノ型の「月虹・片割れ月(げっこう・かたわれづき)」。
16ノ型は上空から斬撃を矢や隕石のように大量に降らせる技。先程の9ノ型の強化版。まさに隕石群。
ただ月の呼吸の4ノ型や11から13ノ型、15ノ型は結局最後まで明らかにされませんでした。
継国厳勝より強かった弟とは?
続いては黒死牟が「月の呼吸を扱う理由」を考察します。黒死牟の正体や過去を振り返ると、何故日の呼吸を使わないのか?また上弦の鬼にまで成り下がったのかという理由が見えてくきます。
黒死牟こと継国厳勝には、かつて「継国縁壱(つぎくに・よりいち)」という双子の弟がいた。
継国縁壱は生まれ持って痣が発現した最強の侍。痣を発現しても80歳まで生きるなど、チート仕様がてんこ盛りのキャラクター。黒死牟は「継国厳勝」の時代に一緒に鬼狩りをしていた過去もあるんですが、画像は60年ぶりに黒死牟として再会した場面。
黒死牟は不死川兄弟と戦った時、「ほぅ…兄弟で鬼狩りとは…懐かしや」と述懐してたのも地味に伏線でした。黒死牟のちょっとした間が意味深。
とにかく継国厳勝の弟縁壱はめちゃんこ強かった。『ワンピース』のビッグマム並にナチュラルボーンストロング。画像は継国厳勝が倒せなかった大人の剣客を一瞬で倒した場面。
○月の呼吸(陰)と日の呼吸(陽)
実は「日の呼吸」を生み出したのも弟・継国縁壱。継国厳勝は「日の呼吸」を弟から習うものの、人間時代には体得することはできなかった。継国厳勝は下手に痣が発現してしまったため、結果的に残された「タイムリミット(余命)」も少なくなる。
そこで継国厳勝は「黒死牟」という鬼として生きる道を選んだ。何故なら、鬼になれば「無限の時間」が用意されてるから。継国厳勝は鬼狩りという本来の目的を忘れ、弟・縁壱の嫉妬心から人としての道を外れた。なんとも皮肉な話。
しかも、黒死牟は「月の呼吸」という派生の呼吸を体得するに留まってる。400年という年月を掛けても結局は弟には追いつけない。「日(太陽)」と「月」は相対する存在。まさに陰と陽。だから月の呼吸は実は意味深な呼吸名ではあった模様。
黒死牟の弟・縁壱に骨が焼けるほど嫉妬
黒死牟の弟・継国縁壱は別記事で既に考察してますが、人類最強クラスの剣士。漫画史上においても最強レベル。
黒死牟が述懐してますが、継国縁壱は「鬼舞辻無惨を唯一殺せる実力があった侍」でもあった。鬼舞辻無惨が唯一物理的に勝てない相手でずっと逃げ回っていた。そのため黒死牟と化した継国厳勝も勝つるはずがない。事実、80歳の弟・縁壱相手に瞬殺されかかる。
かつて登場した「縁壱零式」なる戦闘用カラクリ人形も弟縁壱がベースでした。
黒死牟にして「神々の寵愛を一身に受けてる存在」と言わしめるなど、まさに完全無欠の侍。しかも弟縁壱はかなりの人格者で非の打ち所がない。ここまで来ると黒死牟(継国厳勝)に思わず同情してしまうというか、闇落ちするのも納得。
自分の兄弟や両親がめちゃくちゃ優秀であれば、やっぱりコンプレックスをどこか抱えてしまう。兄弟あるある。だから見た目こそグロテスクな敵なんですが、黒死牟は『鬼滅の刃』でも意外と人気キャラだったりするのは過去や背景に共感を持つ読者が多いからか。
【死亡】黒死牟の最期が切ない
ただし、黒死牟も最終的に死亡してしまう。アニメ派の方はネタバレ注意。
黒死牟は岩柱の悲鳴嶼行冥と風柱の不死川実弥の連携攻撃、そして更には日の呼吸の子孫でもある霜柱・時透無一郎と実弥の弟・不死川玄弥の犠牲によって最後は追い詰められて順当に倒されます。
ただ死を前にした黒死牟が頭に思い浮かぶのは、やはり弟・縁壱のこと。
何故なら黒死牟が倒された相手は「基本の呼吸を使う柱」だから。
前述のように、その基本の呼吸は弟・縁壱が作った「日の呼吸」が元祖。弟の存在は400年を超えた現在でもなお生き残ってるに等しい。一方、黒死牟の月の呼吸は誰ひとりとして知らない。当然黒死牟が死亡した今、月の呼吸を継承する人間は誰もいない。
「道を極めた者が行き着く先は同じ」という弟の思想は「黒死牟の死」をもって証明されたカタチ。黒死牟は数百年経っても弟には間接的に勝てなかったということ。黒死牟に落ちぶれても日の呼吸を体得することはできず、何も残せないまま醜い鬼として絶望のまま死亡する。
「何故、私は何も残せない。私は一体何の為に生まれて来たのだ。教えてくれ縁壱」という懇願にも似た最後の言葉が泣かせます。
○黒死牟は憎いはずの弟・縁壱が大好きだった
これだけでも十分悲しい最期ですが、黒死牟は更に哀れな人間だった。
弟・縁壱は黒死牟となった継国厳勝と戦う中、唐突に寿命が訪れて死亡する。いわゆる老衰。正直ツッコミどころしかないんですが、黒死牟からすると「勝ち逃げ」されたに等しい。
ただ怒りに震える黒死牟は縁壱の亡骸を切り捨てると、その懐からは真っ二つとなった「とある笛」が出てくる。この笛とは幼い頃の継国厳勝が弟・縁壱に渡した笛だった。縁壱は継国家では要らない子供として寺に追われる。
いわゆる厄介払いされたカタチの縁壱ですが、それでも黒死牟となった兄・継国縁壱の存在を忘れずに想い続けていた。この笛を見た当時の黒死牟は「私はお前が嫌いだ」と言いながらも涙を流す。
その後、黒死牟として400年以上も生き続けるも、両親の顔を忘れても縁壱の顔だけは鮮明に忘れなかった。でも、これは「縁壱が嫌いだから」ではなかった。黒死牟は「縁壱になりたかった」だけだった。嫉妬と尊敬は裏腹な感情。
だから黒死牟の死亡シーンを改めて見ると、その懐には「真っ二つの笛」があった。黒死牟も弟に対する想いは同じだ。呼吸も思想も家督も遺せなかった黒死牟が灰として朽ちゆく中で唯一遺せたのは「弟・縁壱に対する愛」だけだった。
黒死牟の心はピュアだった。泣かせるやん。
黒死牟も弟 縁壱も死ぬまで「孤独」だった
だから黒死牟(継国厳勝)の最期のシーンを見ると、やはり『鬼滅の刃』は本来は敵であるはずの「鬼の哀愁」を描くのも上手い。
鬼は元人間だけあって、もともと内面はもろくて弱い。むしろ人間として醜い部分や弱い部分があったからこそ、鬼に落ちぶれたはず。だから黒死牟に限らず、思わず読者が感情移入してしまうほど悲しい人生や物語が鬼には隠されてる。
逆に言うと、『鬼滅の刃』のラスボス・鬼舞辻無惨はそこに付け入る。
上弦の鬼はどれも悲しい過去が隠されていましたが、黒死牟は最も強かったがゆえに「最も惨めな人生」が鮮やかに描写されていたのではないか。鬼の見た目の醜さは人間なら誰しもが持つ悲哀、嫉妬の裏返し。
やはりエリートであっても、エリートなりのコンプレックスを抱えてるはず。偏差値70の高校や大学に入学したとしても、自分より優秀な人間は必ずいる。ましてや、そういった人間が身近にいればなおさら嫉妬が燃え上がる。
漫画家であってもそう。手塚治虫が若い人気漫画家に嫉妬してたのは有名な話ですが、もしかすると尾田栄一郎、冨樫義博、諫山創も別の漫画家に狂うほど嫉妬しているのかも知れない。得てして嫉妬とは無い物ねだり。
一方、黒死牟(継国厳勝)の弟・縁壱も孤独だったに違いない。
死ぬまで自分と同レベルの剣士が現れなかったということは、これを裏返すと自分の悩みや苦しみを共有できる者は少なかったということ。むしろ平凡な兄との距離が深まっただけ。縁壱も別に最強に生まれたくて生まれたわけじゃない。
そう考えると、黒死牟の正体や最期は「人間社会の歪」がシンプルに描かれているのかも知れない。
コメント
黒死牟のラストの死に様が泣かせました….
黒死牟戦は個人的には鬼滅の刃のベストバウトだと思います。ラストは鬼である黒死牟側に感情移入してしまう読者も多かったのではないでしょうか、第二回人気投票で黒死牟が鬼の中で人気順位一位(ねずこ除く)だったのも頷けます。
だと思います。
黒死牟の初登場時は単に強いだけの敵キャラかと思ってましたが、
まさか自分もここまで泣かされるとは思いませんでした。
アニメ化されたら黒死牟の人気はもっと伸びそうですよね。
おそらく無限列車編のように映画化される可能性も高そう。
https://d-manga.net/kimetsu-popular-ranking
ちなみに鬼滅の刃の人気キャラランキングも考察してるのでぜひご覧ください。
面白かったのは弟の継国縁壱の人気はさほどだったという(笑)
いわゆる判官贔屓(ほうがんびいき)ってヤツでしょうか。
参考になりました(._.)
動く黒死牟を見たいけどまだ声優も決まってないんだよね
最後が描かれるとしたらきっと劇場版だろうけど
まだまだ先の話になりそうですね
僕も鬼になりたい
縁壱が、まだ1000年に一人の天才とかだったら、ここまで歪まなかったんじゃないかなって思う。
縁壱は天才じゃなくてチート
体を極限まで鍛えて100mを10秒で走れるくらいの素質をもったアスリートが
全くトレーニングをしていないのに、100mを5秒で走る奴を見て、
それが双子の弟だったらそりゃ気が狂うでしょ
縁壱の幼小を知らない奴だったら、凄い天才もいたもんだって思うだろうけど
黒死牟って遺伝子的にはほぼ一緒で、小さい頃から知っているからね
神様って結構惨いことするよなって思った。