『翔んで埼玉』のネタバレ感想をレビュー。作者は魔夜峰央(まやみねお)。出版社は白泉社。掲載雑誌は『花とゆめ』。ジャンルは少女コミックのギャグ漫画。
『翔んで埼玉』は1982年と1983年に読み切り漫画として掲載された古い漫画なんですが、確か2015年か2016年にマツコ・デラックスの「月曜から夜更かし」というTV番組で取り上げられて一躍有名に。
そして、そこから更に数年後の2019年2月には『翔んで埼玉』の実写映画も公開されるに至った異色作。そういった経緯からも分かるように結論から書くと、翔んで埼玉の内容がいろいろとヒドすぎるw
そこで今回ドル漫では『翔んで埼玉』のどこが面白いのかおすすめなのか徹底的に考察してみた。
実写映画版『翔んで埼玉』のキャスト一覧もまとめてるんですが、この演者からしていろいろとツッコミどころ満載。もう想像以上にヒドい内容すぎて笑っちゃう。是非原作漫画や実写映画を観るときの参考にしてくださいw
【翔んで埼玉】あらすじ内容・登場人物まとめ【解説】
まずは『翔んで埼玉』の内容あらすじ・登場人物などを解説。
舞台は埼玉県(さいたま)。おそらくご存知がない方も多い辺鄙な場所。
何故なら、埼玉県はつい10年ほど前にようやく電気が通ったような未開の地。テレビの存在もまだ珍しくなく、何もかもが遅れているど田舎。そのため埼玉県民の悲願も「一度は山手線に乗る」こと。
また埼玉の県知事閣下は県民から年貢(お米)を取り立てるなど税制の仕組みも遅れており、なんと埼玉から東京へ越境するにも県境には「関所」が用意されていて「通行手形」が必要だった。
当然、こんな田舎の埼玉が差別されないはずがない。
例えば、埼玉県民が通行手形を運良く入手し、都内に無事入国できたとも行動の自由は許されない。どこの北朝鮮。仮に高級デパート・三越に入ろうものなら「埼玉県民は西友へ行け!」と埼玉狩りにあう始末。
そして百叩きの上に、埼玉へ強制送還されるらしい。
どうやら東京都内には埼玉県民を見つけ出す特殊訓練を受けた武装ガードマンが多数いるっぽい。それだけ埼玉県民は汚らわしいものとして認識され、埼玉県民に触れた人は消毒されるのも普通だった。
○主人公は埼玉解放戦線のリーダー・麻実麗(あさみ れい)
そして舞台は移って、都内の名門高校・白鳳堂学院。
そこにある日、麻実麗(あさみ・れい)というイケメン御曹司が転校してくる場面から『翔んで埼玉』のストーリーが始まります。麻実麗は学校に一億円を寄付するなど、証券会社を経営する父を持つお金持ち。
ただ、こんなに宝塚歌劇団ばりにスマートな男子学生の麻実麗の出身地は「埼玉県民」だった。
実は貧乏県の埼玉であっても一二を争う大地主・西園寺家の子供だった。そのため金銭的には余裕があり、なんとかして実父は麗の「埼玉臭さ」を消すためアメリカ留学させるほど。また麗の名字が西園寺家ではないのも、都内の財閥の麻実家に養子に出したから。
一方、『翔んで埼玉』のもう一人の主人公は白鳳堂百美(はくほうどう・ももみ)。白鳳堂学院の理事長の孫。常に他の生徒に横柄な態度を取るなど、典型的な嫌なボンボンキャラクター。
でも麻実麗と触れ合うことで、次第に人間として成長。そして埼玉県出身である事実を知った後も、麻実麗に対して次第に恋心を抱いていく。
ちなみに、どっちのキャラクターも性別は「男性」になります。そのため原作漫画版『翔んで埼玉』は「作者の好み(BL要素)」が漏れなく反映されてるので、読者によっては閲覧注意かも。
ただ、やはり白鳳堂学院にも「埼玉差別」が色濃く残っていた。例えば、「3年Z組」と呼ばれる埼玉県出身者だけを隔離するボロ教室も校庭の隅っこに用意されているほど。「だめよ!あんな物見ちゃ!目が汚れるわ」と散々な言われよう。
しかし、この不条理に立ち上がったのが、まさに主人公・麻実麗。不遇な扱いを受ける埼玉県民を助けるために「さいたま解放運動」を展開する。恋心を抱く白鳳堂も参加し、麻実麗は埼玉県民を果たして救えるのか?
…という荒唐無稽の内容が『翔んで埼玉』のメインストーリーになります。
実写映画版『翔んで埼玉』のキャストがもう面白いw
だから、『翔んで埼玉』の内容は「埼玉県ディスリ」がテーマのギャグマンガになります。想像以上にヒドいディスリの詳細は後述しますが、まず映画版が公開されたということで実写キャスト一覧をまとめてみた。
でも、この『翔んで埼玉』の実写映画版キャストがもう面白い。
例えば、主人公・麻実麗役のキャストは「GACKT」。でも前述のように麻実麗の年齢は高校生ですから、さすがに年齢不詳のGACKTでも無理あるやろwww貫禄や雰囲気が明らかに10代のそれではない。
ちなみに映画の公式サイトの紹介では「沖縄県出身」など、登場人物キャストの出身地もご丁寧に表記してくれてます。
続いて、白鳳堂百美役のキャストは「二階堂ふみ」。映画版でも性別は男性という設定を貫き通すらしいですが、意外と原作漫画のキャラクターと雰囲気はそっくり。濃い顔なので金髪とかも似合っちゃいます。
でも、この二階堂ふみも沖縄県出身。だから、主役の演者の埼玉感がゼロ。いや、もはや翔んで埼玉ではなく「演じて沖縄」ですやん!めんそーれ!
ちなみに埼玉県の女性は「貧乳ナンバー1」らしいですが、そこに敢えてパイオツカイデーの二階堂ふみを持ってくるあたりも何とも厭味ったらしい。二階堂ふみのプレイボーイのグラビアにはお世話になりました。
そして、先程のあらすじでは触れてませんでしたが、伝説的な埼玉県民のデューク埼玉役は「京本政樹」。ちなみに京本政樹は大阪出身で、もちろん埼玉出身ではありません。
というか、さっきから演者のキャストがことごとく濃い!!何もない場所埼玉とディスっておきながら、埼玉県民のキャラクターの謎の濃度よ!
ただ何故ここまで濃いキャストばかり選出されてるのか考察しておくと、原作漫画の作者・魔夜峰央の絵柄に合わせた人選キャストだと思われます。だから、『翔んで埼玉』の他の俳優キャストももれなく濃い。
○実写映画版キャストがもれなく濃い俳優ばかりで草
例えば、千葉県解放戦線の阿久津役は「伊勢谷友介」。同じく千葉解放戦線には「小沢真珠」。他にも白鳳堂百美の両親役は「中尾彬」と「武田久美子」と、もはや日本人離れした俳優さんばかり。
いや、見てるだけで色々とお腹いっぱい!
他にも実写映画版キャストには「間宮祥太朗」や「竹中直人」、「加藤諒」「益若つばさ」などが出演してるらしいんですが、見事にほぼ非埼玉出身。敢えて埼玉出身の俳優を除外してたのかは不明。
少なくとも、映画版『翔んで埼玉』では、埼玉出身俳優の層の薄さを見事に体現してくれちゃってるか。さしずめPerfumeの「ナチュラルに恋して」ならぬ、「ナチュラルに卑下して」。
一応、埼玉出身俳優はゼロというわけではなく、「成田凌」や「島崎遥香」「ブラザートム」といった出演俳優は埼玉出身らしい。でも、ここに来て何故かブラザートムだけは「謎のハワイ州出身」というパワーワードが気になって仕方がない件www
【翔んで埼玉】容赦ないサイタマディスリが賛否両論?
ということで、再び原作漫画の内容を考察。『翔んで埼玉』という漫画の核である賛否両論間違いなしの「埼玉ディスり」を見ていきましょう。もはや面白いと評価していいかは躊躇してしまうほど、ほぼほぼ完全に差別的なものばかりw
まずは東京都の定食屋に行くと、メニューは「埼玉県民用」と「東京都民用」にがっつり分かれてる。しかも、都民向けメニューとの違いをチェックするとヒドすぎる。
例えば、埼玉県民向けには「下水ライス」や「雑草混ぜご飯」などさすがにひどすぎる。下水は家畜でも飲まんだろ。日本だと過去には「沖縄人朝鮮人お断り」というのが平気であったそうですが、ガチでそれ並にヒドい。
他にも埼玉県にしか存在しない病原菌の「サイタマラリア」など、まさかのダジャレ的なネタも。さも森の奥地でしか発見されてない病原菌かのようにディスっており、おそらくテレビだと放送コードぎりぎりの内容か。
他にも埼玉県には「警察がない」であったり、所沢市役所がまんまボロ小屋であったり、正直書ききれないほど存在します。実写映画版『翔んで埼玉』でも完全にやりきってるならスゴい。
ちなみに『翔んで埼玉』では、他にも茨城県なども盛大にディスられております。
画像のシーンでは「気の弱い女性はその地名を聞いただけでで卒倒してしまう」や「埼玉のどん詰まりから(中略)ローカル線にのって無人の荒野を三日三晩走ります」など、やっぱり茨城県に対するディスも色々とヒドいw
他にも「納豆しか算出しないから大変貧乏」など、下手すりゃ埼玉県よりもヒドい内容なので埼玉県周辺の方も一応覚悟しておきましょう。
【翔んで埼玉】名言ならぬ迷言のオンパレード!
他にも『翔んで埼玉』は名言…ならぬ迷言のオンパレード。それぞれのキャラクターや登場人物から発せられる悪口は、もはや一周回って芸術品。
ある日、埼玉出身者が集められた3年Z組の生徒たちが腹痛を訴えて医務室を利用しようとする。でも、「東京都民しか利用できない」と自治会長・白鳳堂百美にかたくなに拒否される。ここまでなら普通の漫画。
でも、白鳳堂百美は挙句の果てに「そこらへんの草でも食わせておけ!埼玉県民ならそれで治る!」と謎のおばあちゃんの知恵袋的な捨てゼリフを吐く。その後、Z組の生徒たちが「私たちは牛じゃない」と涙するシーンが切なすぎる名言。
でも冷静に考えると、牛でも草食って腹痛は治らんやろって話ですが。
他にも『翔んで埼玉』のあらすじ冒頭で、主人公・麗麻実がモブ女生徒に学校を案内されるシーンがあるんですが、このモブ女生徒が埼玉をあまりに嫌悪しすぎてる。3年Z組の件を読めば一目瞭然。
結果、言うに事を欠いて、モブ女生徒は「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ」という名言は思わず笑っちゃうほど面白い。いや、一体どんな口やねんwと誰もがツッコミを入れたことでしょう。
○【名言】主人公・麻実麗もナチュラルにディスってくる
ただ埼玉解放運動を行っているはずの、主人公・麻実麗も麗麻実でナチュラルに埼玉県をディスる名言を吐く。「おまえ埼玉を救いたいんちゃうんか」と思わずツッコミを入れたくなるほど辛辣。
例えば、デイリー埼玉という地方新聞を読むと、どこかの牛が逃げたといった記事ばかりだった。それに対して、麻実麗は「生活水準より教育水準をなんとかすべき」と捨てゼリフを吐く。
もう、めちゃくちゃ際どい名言。ちなみに、埼玉県の2017年度の大学進学率は全国9位、東大合格者数は全国19位となかなか優秀らしいです。当時の埼玉がどうだったかは知りませんが、今の埼玉県は優秀な部類に入ることを勝手にフォローしておきます。
他にも埼玉狩りのシーンでは、武装ガードマンの「ごまかしても無駄だ!埼玉県民特有のコヤシの匂いがプンプンしてくるわ!」という名言も、まさに草不可避。もはやダサイタマならぬ「クサイタマ」。
【最終回】翔んで埼玉のラスト結末が「未完」である理由とは?
果たして、こんな前代未聞の問題作『翔んで埼玉』の結末はどういった終わり方なのか?
ただ結論から書くと、『翔んで埼玉』は未完のまま。掲載から30年以上が経過するものの完結してません。実はたった3話で終了しており、最近まで単行本コミックスすら発売されてなかった。
実写映画版でも活躍するらしい謎の「埼玉デューク」と呼ばれる伝説的な埼玉県民が登場して以降、なんとなく意味不明に完結してる。埼玉をディスるだけディスっておいて、いわゆるオチはありません。
この理由もシンプルにヒドい。
実は、作者・魔夜峰央が埼玉県(所沢市)から神奈川県(横浜市)に引っ越したから。単に「現在住んでないから埼玉県をディスりづらくなった」というだけ。横浜はハイソすぎて当然ディスれないので、『翔んで埼玉』は最終回を迎えることなくフェードアウトしたらしい。
このままでは本当に悪意があると受け取られかねない危険性があると作者は最後に語ってるものの、同時に「翔んで埼玉を描くためだけにもう一度所沢市に戻るなんてそんな恐ろしいことはできません」と最後の最後までディスることを忘れてないのが笑う。
どんだけ埼玉に嫌な思いをさせられてん。おそらく『翔んで埼玉』という作品は特に深い考えもなく描き始めただけなので、最後の結末やラストの最終回も深く考えてなかったというのが「本当のオチ」なのかも知れない。
だから作者・魔夜峰央の出身地は、まさかの新潟県。おい!埼玉出身でもないのに、よくここまでディスれたなお前!しかも主題歌を歌ってる芸人・はなわが実は埼玉生まれだったなど、『翔んで埼玉』はいろいろカオスすぎて笑います。
そのため原作漫画と実写映画では「内容」も微妙に異なるはず。おそらく実写映画版『翔んで埼玉』の方がストーリーや設定なども作り込まれているはずなので、本当の最終回は映画で…ということか。
【感想】翔んで埼玉 総合評価・評判・口コミまとめ【ネタバレ総括】
以上、ドル漫による『翔んで埼玉』のネタバレ感想でした。
結論をまとめると、『翔んで埼玉』はまさに「ぶっ飛んで埼玉」という内容でした。自分でもレビューしてて震えるほど際どい表現ばかりで、これを面白いと表現していいのか戸惑うレベルだと思います。
「1980年代前半」という時代性を考えると、当時は差別的な表現にルーズだったのかな。もはや埼玉県民に同情心も芽生えてしまうほど、かなり放送コードはギリギリの内容。読者によっては「不愉快」「ムカつく」という感想を抱く人も少なくないか。
昔、『燃えるお兄さん』というギャグ漫画が用務員のオジサンをディスってガチで燃えて炎上してたことなどを考えると、『翔んで埼玉』は出版社が炎上して跡形もなく消えてておかしくない作品。
でも、そこはテレビ(マツコ・デラックス)を間に挟むことでに救われた感があるのか。明らかに一線を越えてる内容ですが、一周回ってオッケーみたいなこと?
実は実写映画版の公式サイトでも躊躇なく埼玉県民がディスられており、特に「郷土愛ワースト1」という項目を見る限り、そこまで「ムカつく」という当の埼玉県民も少ないのかも…と好意的に解釈してみる。
ただ前述の大学進学率の高さなど、実際問題として埼玉県がガチのクソ田舎ではなく、むしろ現実の埼玉は都会寄りの住みやすい場所という事実も「笑い話」で済まされている理由かなーと勝手に考察してみる。
それ故に『翔んで埼玉』という作品がここまでラジカルに体現できてしまった原因か。だから結構ズバズバと単刀直入に悪口を言いまくる作品なので、正直人を選ぶとは思いますがハマれば面白いかも。
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