漫画『ハンターハンター』はコミックス累計発行部数が7000万部を超えるだけあって面白い。軍議に関する伏線など、ストーリーやプロット構成が緻密。グリードアイランド編だと「NIGG」の伏線など、後から重要な謎が隠されていた伏線と気付くこともしばしば。
ただ『ハンターハンター』は休載が多いだけあって、未だに未回収の伏線も多い。そこで今回ドル漫ではハンターハンターで「未回収の伏線一覧」についてフルカラー画像付きで徹底的に考察してみました。
ゾルディック家に関する伏線
まずは「ゾルディック家の未回収の伏線」を考察したいと思います。ゾルディック家とはキルアの家族なんですが、未だに謎も多い一族。ゾルディック家の家族構成もいまいち判明してなかったりもします。
○シルバのキルアは戻ってくる発言
まずは「シルバの発言」に関する伏線。
シルバとはキルアの父親なんですが、キルアは自分を迎えに来たゴンに会いに行く。キルアはゾルディック家でも優秀な暗殺者。普通であれば家業を無理やりにでも継がせそうなもんですが、シルバは「いつか必ず戻ってくる。あいつはオレの子供だからな」と不敵な笑みを浮かべて送り出す。
このシルバの発言は連載当初から「伏線」と指摘するハンターハンター読者は多かったです。
ただ今振り返って考えると、「兄・イルミがキルアの頭にさした念針」を匂わせていた伏線だった可能性が高そう。母・キキョウが「せっかくイルミのおかげでキルが戻ってきたのに」という直前のセリフも合わせて考えると、どうやらイルミも関与してるっぽい。
キメラアント編に登場したシルバの発言からもイルミの念針を知ってることは確定。キルアがそれを外したと聞いて何だか寂しいような嬉しいような表情を浮かべていたシルバが印象的でした。つまり、もしシルバの発言が伏線と仮定すると既に回収されてるはず。
○シルバとクロロの過去バトル
続いては「シルバと幻影旅団・クロロとのバトル」の伏線。
ヒソカは幻影旅団に表面上一時的に加入していた訳ですが、その幻影旅団が抜けた穴を作った張本人がシルバ・ゾルディックでした。かなり壮絶な戦いだったため、シルバはキルアに対して「幻影旅団には手を出すな」と後に忠告したほど。
シルバが倒した幻影旅団のメンバーは一体誰だったのか?初期メンバー?ただ伏線と表現するにはやや大げさな印象は否めない。正確には「因縁」程度の表現に留めておくのが適切でしょう。
○カルトが幻影旅団に入った伏線
続いても幻影旅団と絡む伏線ですが、ゾルディック家の末弟・カルトが幻影旅団に加入した理由も伏線の一つとなります。カルトはグリードアイランド編前後で幻影旅団に加入してるんですが、この理由については未だに謎に包まれてる。
一応、カルト自身は「兄さんを取り戻すため」と幻影旅団に加入した目的を述懐してる。この際にゾルディック家の子供たちが集まった写真が意味深に描かれてるんですが、そこには「謎のメンバー」が写ってる。後ろ向きの姿で顔が何故か確認できない。
カルトは具体的にどの兄を指し示してるのか不明ですが、「この謎の兄」の可能性が高そう。でも年齢的にはキルアよりも割と上。ミルキの少し下程度。でも、それらしい人物は未だに『ハンターハンター』では登場しておりません。
また「取り戻す行為」が何故幻影旅団に入団することに直接的に繋がるのか、その因果関係も見えてこない。果たしてカルトは一体誰を救おうとしているのか?
○ナニカは暗黒大陸からジグが連れてきた?
だからゾルディック家のメンバーは未だに全員判明してなかったりもします。
例えば、マハとゼノの間のメンバーの詳細も判明してない。こいつはシルバの祖父にあたる人物ですが、顔は少し判明してるんですが名前は不明。ただアイザック=ネテロと共に暗黒大陸に足を運んだ「ジグ(ZZIGG)」と呼ばれる人物がそれと言われてる。
でも、やはりジグも『ハンターハンター』では未登場のまま。
他にも「アルカ(ナニカ)」と呼ばれるゾルディック家4男の正体も謎が多い。アルカの正体は五大厄災のアイとは確定してるんですが、これを裏返すと、アルカはゾルディック家の一員では元々なかったはず。何故今ゾルディック家の一員として定着しているのか?
そのためジグが暗黒大陸から連れてきた存在がアルカ(ナニカ)だった?ここらへんはカルトが取り戻したい兄の伏線とも絡んできそう。つまり、アルカはナニカの能力で謎の兄を消し去ってしまった?
幻影旅団に関する伏線
続いては「幻影旅団に関する伏線」を考察。やはり謎多き組織だけあって伏線がちらほら隠されております。
○謎のビデオテープは何の伏線?
幻影旅団の伏線と言えば、やはり「謎のビデオテープ」。
画像は「始めはただ欲しかった」というセリフからも分かるように、幻影旅団の設立目的が一貫して「盗み」を象徴してる印象的な場面。幻影旅団の初期メンバーのクロロやフランクリンと思しき少年がビデオテープを投げあって遊んでる。
ただスラム街の流星街であれば、もっと別のアイテムでもいいはず。ビデオテープは再生する機器が必要。何の変哲もないビデオテープがクローズアップされてるのは違和感しかない。これが一コマまるまるアップで表現されてる。完全に伏線としか考えられない。
考えてみると、何の教育も受けてなかった貧しい幻影旅団たちが「念」を体得してるのも不自然。もしかすると幻影旅団のメンバーはビデオテープをキッカケに念を覚えた?誰かが意図的にクロロたちにビデオテープを渡した?じゃあ目的は?…という伏線。
グリードアイランドも古き良きゲーム機を起点に構築されていましたから、このビデオテープもそれに近い能力が秘められているのかも。
○ヒソカは幻影旅団メンバーを何人消すのか?
続いての伏線は「ヒソカの暴走」。
クロロ vs ヒソカ戦では敗北してしまったヒソカですが、あくまでルールで縛られた戦いでの話でした。そこでヒソカは何でもありの戦いを勝手に展開し、次々と幻影旅団のメンバーを次々と襲撃していく。既にコルトピとシャルナークはヒソカに殺されてる。
現時点では大半のメンバーは生き残ってるものの、団長のクロロがブチ切れてる状態。ヒソカがどこまで幻影旅団を追い詰めるのか?
そこで簡単に『ハンターハンター』の近々のストーリーをおさらいしておくと、カキン王国が暗黒大陸に向かうため巨大な船を航行させてる。ここに幻影旅団も潜り込んでひと悶着を起こそうと考えてるんですが、ヒソカは「何者か」になりすました状態で幻影旅団を狙ってる。
つまり、「ヒソカは一体誰になりすましているのか?」という伏線と言い換えることができます。一応少しネタバレしておくと、ヒソカはどうやらイルミになりすましてる可能性が高いとされます。
ゴンに関する伏線
続いては『ハンターハンター』の主人公・ゴンの家族に関する伏線を考察。ゴンの家族も意外と謎が多く、いろんな伏線が隠されている様子。
○ゴンは何故オーラが出なくなったのか?
まずゴンの伏線は「ゴンがオーラを出せなくなった理由」。ネフェルピトーを倒すために全ての力を使い果たしたゴンは精根尽き果てるものの、最終的にアルカ(ナニカ)に救出される。でも、その後ゴンは一切のオーラが出なくなった(正確には見えないだけ)。
これに対して、父親のジンは「むしろ喜べ。現状お前がやれる事は何か見つけるいい機会だ」と励ますものの、ゴンは何故オーラが見えなくなったのか?オーラは出てるのに凝は使えない?このままハンタの主人公なのに念は使えないままなのか?
でも漫画的な解釈をするなら、いずれ「オーラは出る」という伏線であることは確実。ジンは【普通】に戻っただけと言うものの、完全に前フリとしか思えない。いつゴンは念能力を再び使えるのか?何をキッカケに戻るのかといった伏線。
○ゴンの母親の正体
続いての伏線は「ゴンの母親」の正体を考察。ルフィの母親なども同様に、漫画の主人公の母親は伏線の一つになりがち。
ゴンは念を初めて習得した後、育ての親であるミトが暮らす生家に戻る。そこで父親・ジンが残したテープを再生すると、ゴン宛にメッセージが吹き込まれてた。このテープの最後でジンは「ゴンの母親」について語ろうとするものの、ゴンはそれを聞かないままテープを止めた。
結果的にゴンの母親の正体は分からず仕舞いだったものの、ゴンにとって母親はミトさん一人だからストーリー上は問題はなかった。
でもゴンの母親について言及された以上、ハンタ読者としては気になるのが本音。冨樫義博の頭の中で「ゴンの母親像」の明確なアイデアがなければ、こんないかにも伏線ですみたいな表現はされないはず。つまり、ゴンの母親はいずれ登場する伏線と考えられそう。
ちなみに育ての親のミトさんですら、ゴンの母親(ジンの奥さん)の詳細を知らないそう。ジンがくじら島に戻ってきた時には、赤ちゃんのゴンだけしか連れて来なかったから。
○ハンターハンター30巻表紙の伏線
ゴンの伏線ではありませんが、ジン繋がりで面白い伏線が『ハンターハンター』30巻の表紙でありましょう。十二支んのメンバーが全員後ろ向きに登場してる、いかにも意味深な表紙。ここで注目したいのは「メンバーそれぞれの腕の組み方」の違い。
例えば、大半のキャラはポッケに手を突っ込んでたりるんですが、真ん中右のパリストンと左から二番目のサイユウの2名だけが「後ろ手」に手を組んでる。これはコミックス33巻で発覚するんですが、サイユウはハンター協専から派遣されてる潜入スパイ。
だからサイユウはパリストンと内通してる伏線だった可能性が高い。
一方、同様の理屈で考察すると「ポケットに手を突っ込んでるキャラクター」は、ジン以外だとミザイストム(丑)とカンザイ(寅)の2名。現在ジンは既にパリストンと同行してるため、今後ミザイストムとカンザイがサイユウとは対比的に重要な働きをしてくれそう。
○ジンは本当にゴンの父親か?
続いての伏線は「謎の巨大生物」の伏線。
画像は前述にジンが残したテープの中で、「捕まえてみろよ。お前もハンターなんだろ?」とゴンを挑発する発言が流れたシーン。この時に初めてジンのご尊顔が正式に描かれたんですが、「ジンが乗っていた謎の生物(ドラゴン?)」に乗っていた。
時間軸はゴンがテープを聞いていたタイミングと同じだと思うんですが、ジンが乗ってる生物がとにかく超絶的にデカい。ドラゴンのような生物の頭の先っちょに、実はもう一つ別の巨大な生物が乗ってる。この生物の頭にジンが座ってる。
だからドラゴンの横に写ってる山脈(岩?巨木?)は更に巨大。
ここで思い出されるのは「世界樹」の存在。ゴンとジンが登った世界一大きい世界樹は1784メートルですが、実は世界樹は成長途中の若木。真の世界樹は暗黒大陸に存在し、それは山脈に根付いて大気圏を突き抜けるほど大きいことをジンが教えてくれる。
つまりジンが初めて登場したとされるシーンに写ってる世界は、もしかすると「暗黒大陸」の可能性が考えられる。そう考えると、ジンと紹介されて写ったキャラは別人物。確かに強制的に成長したゴンさんの容貌とジンの現在の見た目が似てないのも不自然。
暗黒大陸編の伏線は多すぎる?
続いては「暗黒大陸編」に関する伏線を考察したいと思います。
○暗黒大陸そのものが壮大な伏線のデパート
結論から書くと「暗黒大陸編そのもの」が壮大な伏線。
暗黒大陸は全てが謎に満ち溢れてる。例えば「メビウス湖」や「五大厄災」などが最たる例。伏線の数があまりに膨大。ネテロ会長の発言からも分かるように、暗黒大陸はとにかくデカい。画像左下に写っている島々が、ハンターハンターの「本来の世界」。
暗黒大陸というか、そもそも地球がどんだけ広大やねん。
真ん中奥に写っているのが前述の世界樹。その左には「謎の巨大な3体の影」が確認できます。他にも巨大な活火山、轟く雷鳴、メビウス湖には無数にうごめく巨大な生物たちが確認できます。渦潮や津波が行く手を阻んでいる。
ただ風呂敷を広げすぎてる感があるため、これらの伏線が全て回収される可能性は期待薄。とはいえ、『ハンターハンター』の冨樫義博が意味もなく描くとは思えないため、実際にどこまで描かれるかはさておき、これらは全て大きな伏線と考察するべきでしょう。
○新大陸紀行を描く「ドン・フリークス」の伏線
そして暗黒大陸に関する伏線が「新大陸紀行」と呼ばれる2冊の本。
新大陸紀行とは「暗黒大陸に関する旅の記録」が詳細に書かれてる本。初めて発見されたのは数百年前。「東」と「西」の合計2巻存在するはずですが、「西」版は発見されてない。そのため西版の新大陸紀行は「現在進行系」で執筆されてると見るのはジン。
そして、この新大陸紀行を執筆してる作者が「ドン=フリークス」と呼ばれる謎の男。明らかに主人公のゴン=フリークスやジン=フリークスの先祖を彷彿とさせるキャラ名。暗黒大陸には不死や長寿のアイテムがあるため、ドン=フリークスが数百年単位で生存していても不思議じゃない。
まさに新大陸紀行とは「伏線中の伏線」とも呼べる伏線。さすがに回収されない訳がない。前述のゴンの父親として写っていた男もドン=フリークスだった可能性も否定できない。ドンが新大陸紀行を執筆してる最中と考えたら、ドラゴンに乗って放浪してたのも頷ける。
キメラアント編に関する伏線
続いては暗黒大陸から流れ着いたとされる「キメラアント」に関する未回収の伏線を考察。
○キメラアントの存在そのものが伏線
暗黒大陸と同じで、キメラアントの存在そのものが大きな伏線。事実、キメラアントも暗黒大陸のどこかから漂着してきた存在ということが判明してます。でも、何故キメラアントの女王は傷付いた状態で流れ着いたのか?果たして暗黒大陸で何か異変が起きたのか?
また暗黒大陸に行くのは相当大変。これを裏返すと、「暗黒大陸からゴンたちが住む世界に来る」のも大変なはず。少なくともキメラアントがこちら側に来るメリットは少なそう。果たしてキメラアントの女王はどうやって暗黒大陸から脱出したのか?
また元十二支んのパリストンはメルエムが残した数百体のキメラアントを暗黒大陸に持ち込もうと目論んでる。暗黒大陸を攻略するために使うんだともいますが、パリストンの目的とは?キメラアントは再び登場する可能性は高く、まさに伏線だらけ。
○少女カイトやコアラのキメラアントの伏線
続いては「現在のカイト」に関する伏線。
ネフェルピトーにあっけなく倒された後、カイトはキメラアントの女王に食べられてしまう。ただ他のキメラアントと同様に、カイトの魂や意志は死後も消えることはなかった。そのカイトの影響を色濃く継承しているのが、画像のソバカス少女。
カイトの人間時代の記憶も完全に残っているため、上から目線で主人公・ゴンにアドバイスすることもありました。
一方、元ガンマンのコアラのキメラアントは人間時代に画像の少女を殺めてしまっており、キメラアントとして生き延びた現在も悔いてる。そこで少女カイトは「お前はあたちと来い。これはお前の義務だ。選択の余地なんかない」と強引に仲間に引き入れる。
この少女カイトが今後『ハンターハンター』のストーリーにどう絡んでくるのか?コアラ以外のキメラアントも含めてどう絡んでくるのか?もしかするとゴンが念能力を失った件と絡んでくるのではないか?とドル漫では考察してみる。
○ジャイロの伏線はいつ回収される?
最後のハンターハンターの伏線は「ジャイロ」。
ジャイロとはキメラアントたちが根城にしたNGLを実質的に支配していた裏のリーダー。悲惨な過去を持ち、比類なき悪意を抱く悪者として描かれてる。キメラアントと化した後は、どうやら幻影旅団が育った「流星街」に向かっていることが判明してます。
このジャイロは一話まるまる消費してまで唐突に紹介されるなど、明らかな伏線。ジャイロが再登場した際には流星街の謎も同時に明らかになるか。仮に流星街を新たな根城にしていた場合、暗黒大陸編とどう絡んでくるのか?ゴンのオーラ消失問題との関連は?
まさに伏線だらけのジャイロが『ハンターハンター』で今後重要な働きをしてくれるに違いない。
コメント
伏線という言葉をかなり広く捉えられているように感じます。
伏線というのは後の展開を読み手に想起させ、かつ回収されたとき説得力を生むために意図的に作られた物語上の仕掛けのことですが、ネットで漫画関係の記事やコメントを書いている多くの方は、単純に少し後の展開に繋がるものをすべて伏線と呼んでいるようです。この捉え方だとほとんどの台詞や描写を伏線と呼べてしまいます。例えば記事の一番目にあるシルバの台詞などは単に彼の性格やゾルディックという家族の関係性を表すもの、強いて名付けるなら心理描写であって、これを伏線と呼ぶならすべての台詞を伏線と呼んで構わないことになりかねません。
楽しみ方だと言われればそれまでですが、細かい要素を逐一回収されるべき伏線と捉えていると、何が描かれているのか見失うだけではないでしょうか。
上のコメントの方の話、激しく同意です。
シルバとクロロ戦は
ヒノメを襲った直後に旅団が盗みに来たことを暗示した伏線なのかなと
ツェリ辺りに依頼受けたゾルディック家が旅団にヒノメを盗まれた
年数的に合うのかなと 旅団が襲うってことが違和感ある
オークションにヒノメがあるのも違和感あるしね