現在、『ワンピース』の物語は最終章に突入しています。ワンピースの最終回も数年後の2025年頃に描かれるのではないかとも言われています。特にこれまで謎が多かった赤髪のシャンクスの正体もいよいよ明らかにされそう。
最近このシャンクスが口にするようになった言葉が【新時代】。
もちろん新時代と聞くと大海賊時代が真っ先に想起されますが、2022年8月公開の『ONE PIECE FILM RED』の主題歌のタイトルも『新時代』だったことから、この言葉は読者が考える以上に大きな意味や伏線が隠されているに違いない。
そこで今回ドル漫ではワンピース終盤における「新時代の意味」を徹底的に考察していこうと思います。黒幕ボス説も指摘されるシャンクスが語る新時代は「ポジティブな時代」と素直に解釈していいのか。果たしてウタの歌詞とのリンクとは?
新時代は「黒ひげ」が支配する暗黒時代のこと?
ということでシャンクスが語る新時代とは一体どういう時代なのか?
結論から言うと、新時代とは【黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)】が支配する暗黒時代と予想してみる。
これまでワンピース作中で「時代」という表現を使ったキャラクターを見返すと、赤髪のシャンクス以外だと、黒ひげがマリンフォード頂上戦争で言い放った「おれの時代だァ!!!」という言葉が一番印象的でした。
逆に主人公のモンキー・D・ルフィの言葉を振り返ってみると、「海賊王になる」「自由」「友達(ダチ)」といった言葉が頻繁に使われていたものの、時代という言葉を使って自らを表現したシーンはほぼ皆無に近かったと思います。
そもそも黒ひげの「おれの時代」という表現は【世界を牛耳ってやる】という負のニュアンスが汲み取れます。自由を愛するルフィが嫌う【支配】と親和性が高い言葉のように思えます。実際、新時代を「ルフィの時代」という表現に置き換えて考えると、やはり違和感が残ります。
○海賊王に選ばれる可能性が高い黒ひげ
次の海賊王は最悪の世代から生まれるという伏線がすでに張られているため、実際、黒ひげが世界を支配する時代が訪れる可能性は高いです。
既に赤髪のシャンクスは黒ひげの仲間だった説も考察していますが、考えてみるとバルトロメオの蛮行ごときに怒り心頭だったシャンクスが、三本傷を付けた黒ひげに対していつまでも復讐を果たさず放置している状態が続いているのは不自然な話。
つまり、シャンクスは「黒ひげが海賊王に選ばれる時代」を求めているのではないか?
ワンピース1055話のシャンクスの「新時代が恐いのか」という海軍大将の緑牛アラマキに対する発言にしても、その直前ではルフィや光月モモの助の泣き顔、映画で死亡するウタなどが描かれていました。
新時代がもし夜明けを象徴する明るい時代であれば、何故シャンクスの脳内にネガティブなイメージが多く想起されていたのか?これはシャンクスが期待する新時代とは【子供が泣き叫ぶ暗黒時代】を指していたから。まさに海軍も恐怖する時代。
黒ひげとウタが目指す新時代は同じ?
また冒頭で触れたように、FILM REDの主題歌が同名の『新時代』でした。そして、赤髪のシャンクスはウタの育ての親でした。産まれた直後に「宝箱の中に入っていた」という点で共通するなど、2人は意図的に出生の秘密をリンクさせていました。
シャンクスが最終章にかけて【新時代】という言葉を露骨に使い出した点も含めて、ウタ…正確にはAdoが歌う『新時代』の歌詞にも深い意味が隠されているのではないか?更に言うと、【黒ひげが支配する新時代】に繋がる伏線は隠されていないのか?
そこでカギを握る歌詞が「夢」というワードになります。
劇中でAdoが歌う『新時代』の歌詞には「夢の中に居させて」「夢を見せるよ」といった表現が何度か使われています。映画の中のウタも仮想現実にルフィたちを閉じ込めて、偽りの夢の世界に閉じ込めようとしていた。つまり、新時代は【夢とリンクしている概念】と分かります。
事実、ウタは映画のヒロインでありながら劇中では傍若無人さを発揮し、自らの計画にあだなす海賊や海軍たちを徹底的に排除しようと動く。やはり『新時代』の歌詞にも「ジャマモノ やなもの なんて消して」などウタの横暴っぷりも描かれていました。
まさにウタは【悪夢】のような世界を作り上げようとした。
○悪夢が終わらない時代
一方、黒ひげも「夢」というワードが大好きでした。
初めてルフィとモックタウンで遭遇した際、黒ひげの口から出た名言が「人の夢は終わらねェ!!」でした。空島は存在しないと嘲るベラミーに対して、「アイツラの言う新時代ってのはクソだ!海賊が夢を見る時代が終わるって!?」と黒ひげはルフィたちを擁護した。
そのため黒ひげにとっても「新時代とは夢とリンクしている概念」でもあった。ウタも映画の中で自らが眠らないようにネズキノコを食べたり、「いつまでも終わりが来ないように」といった歌詞もあるなど、さしずめ2人にとって夢とは【終わらないもの】を意味する点で共通している。
またウタはシャンクスとルフィの2人を元に生み出されたキャラクターでした。ウタは【善と悪】の二面性を持つキャラクターだったことから、シャンクスは必然的に悪者サイドに位置付けられる。キャッチコピーも「その歌声がもたらすのは、永遠の幸せか、無限の牢獄か」でした。
結果的に後者のオチだったことから、まさに新時代とは【終わらない悪夢】と解釈するのが正しいでしょう。
○新しい時代に君臨するのが赤髪と黒ひげ?
だからまとめると、シャンクスが望んでいる新世界とは【黒ひげが支配する暗黒時代】ということ。『新時代』の歌詞にも「世界中全部変えてしまえば」など物騒な表現も多く、育ての親のシャンクスが望む世界が必ずしも善とは言えないはず。
シャンクスはルフィを利用してひとつなぎの大秘宝を奪取しようとしている節が読み取れることから、黒ひげとそのお宝を分かち合おうと考えるのが最も自然な展開のような気がします。まさに新時代の到来とは【終わらない悪夢】を象徴する。
だから新四皇の伏線も既に考察済みですが、ワンピースの最後でルフィに立ちはだかるのは赤髪のシャンクスと黒ひげ。イム様の正体は相変わらず読めないものの、少なくとも【悪夢のような新時代】に立ち向かうヒーローこそが、夜明けをもたらすDの一族であるモンキー・D・ルフィ。
実際、必ずしも夜明けは「戦いの終結」や「平和」を象徴するとは限らない。例えばキャプテン・クロとの戦いで夜明けは【最終決戦の始まり】を意味していました。仮に新しい時代が夜明けがもたらすとしても、それは次の新しい戦いを意味するのではないか?
果たして最後の新時代に一体誰が微笑むのか?
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