ついにワノ国編が完結しました。時間軸にして足掛け4年ほどかかった計算になります。
そこで今回はワノ国編と空島編をあらためて比べてみたいと思います。どうやら両シリーズは意図的に対比させている描写が多かった模様です。いわゆる両シリーズを意図的に繋げている伏線を今回は9点紹介します。
かつて光月おでんは「ワノ国はかつて世界と接していた」と発言していました。もしかするとワノ国と空島はかつて同じ国だったのか?そう疑わせるほど両国には共通点が多かった。
①黄金の国と黄金都市
空島といえば、やはり黄金の都市・シャンドラ。
元々はジャヤ島に栄えていた都市だったんですが、800年前に突如として滅んだシャンドラは、のちにノックアップストリームによって1万メートル上空の空島まで吹き飛びました。そこがのちにスカイピアと呼ばれる空島になります。
一方、ワノ国もかつて黄金の国と呼ばれていたことが牛鬼丸の口から判明しています。ワノ国の将軍家である光月家は石工職人の家系でもありました。そのため黄金都市・シャンドラを築き上げたのは、かつてのワノ国の光月家だった可能性が読み取れます。
事実、カルガラの言葉を信じると、シャンドラの人間はあくまでポーネグリフを守るために戦っただけでした。シャンドラという黄金都市を作ったとは言っていなかった。じゃあ、一体誰が黄金都市シャンドラを建設したのかというと、まさにワノ国の光月家だった?
このシャンドラにはポーネグリフが隠されていたことからも、光月家とのつながりが強く垣間見えます。ここらへんはミンク族がいたズニーシャとの関係に近いのかも知れない。
○ジャワ島(シャンドラ)と日本(ワノ国)はほぼ同じ人口の島国
また800年前は空白の100年の直後のタイミングになります。光月家がシャンドラの王族にポーネグリフを託したと考えれば自然な流れと言えます。ワノ国には黄金の名残はまったくなかったですが、これはシャンドラに全てワノ国で埋蔵されていた黄金を全て持ち出したからではないか?
ジャヤ島のモデルは、インドネシア共和国のジャワ島になります。
ジャヤ島とほぼ同じ名前ということからも分かると思いますが、ここには首都のジャカルタが存在し、人口は1億2400万人と世界一人口密度が高い島とされます。一方、日本の人口は1億2600万人とほぼ同じ規模でした。ワノ国のモチーフはもちろん日本。
つまりそれぞれのモチーフを考えると、黄金都市シャンドラとワノ国も同様、「似たような国」であることが暗にほのめかされている。だから、ワノ国が黄金の国と呼ばれていた過去とも密接な関係にあるに違いない。
もちろん両者の距離はあまりに離れているため、光月おでんが話すように「かつては経済的交流があった兄弟国」などと解釈するのが自然かもしれませんが、ワノ国の職人が黄金都市シャンドラを建設した可能性も十分成り立ちそう。
②ニカとニカッ
ワノ国編の終盤で突如として登場したのがニカと呼ばれる太陽の神でした。未だに謎が多いものの、ニカの肉体はゴムのような性質を持っていたため、すでにルフィのゴムゴムの実がヒトヒトの実モデル・ニカだったことも判明しています。
このニカの能力が実は、空島編の段階で暗に描かれていたことがわかっています。
それがルフィがエネルとの対戦中、巨大なウワバミのノラに食べられてしまったシーンがありました。そこでルフィは四苦八苦しながら脱出を試みようとした際、その目玉から現れたルフィの影響でノラが「ニカッ」と結果的に笑ってしまう描写がありました。
ルフィはワノ国ではドラゴンの悪魔の実を持つカイドウと戦っている最中、ニカを覚醒させてギア5を発動させていました。ドラゴンは空を飛ぶことができる伝説上の生き物ですが、肉体は蛇そのものに近い。つまりワノ国編でも同様に「ニカッと笑うヘビ」は登場していたことになります。
事実、カイドウに食べられたルフィが、カイドウの体内から目玉に攻撃してルフィが出てこようとする類似したシーンもありました。そのためこちらもワノ国編と空島編を意図的にリンクさせた描写であったことが分かります。
③神様と太陽の神
ギア5状態のルフィの姿はさながらカミナリ様風の見た目ですが、これが太陽の神ニカの姿とされます。結果的に太陽の神ニカと化したルフィがカイドウを倒し、ワノ国の市民を救い出す。ちなみに800年前にニカの能力が覚醒した男がジョイボーイだったと言われます。
一方、空島編ではルフィがゴッド・エネルを倒して大団円を迎えます。だから空島編に登場する神とはエネルのことをもっぱら指しているわけですが、実はワノ国編が終わったあとに読み返すとルフィも神と呼ばれていたことが分かります。
それがスカイピアの住人・コニスの発言。
エネルが雷迎という絶望的な必殺技を発動させた際、コニスは「あの人たちを守って神様。この国を守って神様」と泣いて懇願するシーンがありました。この直後にルフィはエネルを倒すため今振り返って読み直すと、この神様はルフィのことを指していたことになります。
本来であればコニスはルフィたちを応援すればいい話。何故、この場面に来て急に神頼みしたのかは違和感が残ります。でも両シリーズを繋げる伏線だったと考えれば合点がいくはず。
④難攻不落の立地
空島の場所は1万メートル上空に位置していました。ノックアップストリームと呼ばれる上昇気流に乗らない限り、空島に到達することは基本的に不可能でした。まさに空島スカイピアは到達不能、かつ難攻不落の場所に位置していました。
一方、ワノ国の立地も高い場所に位置しており、激しい滝を登らないと到達することができませんでした。海軍ですらまともに近付くことはできず、ワノ国も空島も難攻不落という点で共通しています。
またジャヤ島の地図がドクロマークに見えることも有名な話。下半分が地上に残って、黄金都市シャンドラがある上半分が空島まで吹き飛ばされていました。ただ実際には、地図を左に反時計回りに回転させてようやくドクロマークが完成しています。
一方、ワノ国の地図も反時計回りに回転させてみると、ジャヤ島の地図と少し似ています。回転させた地図の一番の下から物語が始まっている点で共通しており、ワノ国編の最後は右端に写っているドクロドームで最終決戦が行われていました。
ドクロの地図が舞台という点で、ワノ国編も空島編も共通していたことになります。
⑤海楼石
海楼石を最初に作ったのがワノ国とされます。海楼石にふれると悪魔の実の能力者は能力を発動できなくなるため、海軍も使用する捕縛アイテムになります。海楼石の硬度はダイヤモンド並だけあって、石工職人でもあった光月家が海楼石の加工技術を確立したはずです。
一方、空島も実は海楼石と強く関係していました。島雲は画像のように乗ったり泳いだりできるんですが、その成分が海楼石と同じパイロブロインを含んでいるそう。ワノ国と空島がかつて交流があって、光月家が島雲の成分から抽出したのが海楼石だったのかもしれません。
⑥圧政を強いる独裁者
空島スカイピアを長年支配していたのがエネルでした。雷を操るゴロゴロの実を操る自然ロギア系の能力者。もともとビルカという別の空島の出身なんですが、恐怖でスカイピアの住民を支配していた独裁者でした。
またワノ国を支配していた独裁者は四皇のカイドウでした。ワノ国は黒炭オロチという為政者もいたのでややボヤけている部分もありますが、暴力でワノ国を支配してきた独裁者でした。龍に変身したカイドウは同じく雷雲を操るなど、能力的にもエネルと近かかった。
まさに暴力で支配するカイドウ、恐怖で支配するエネルの二人は暴君そのもの。また最後の倒され方を見ると、カイドウはマグマに沈み込み、エネルは雲海の中に沈んでいくなどやはり同じ。今となって考えると、カイドウがわざわざ空島から飛び降りた描写も非常に意味深に映ります。
⑦奇抜な髪型
空島スカイピアの住民は「天然アドバルーンヘア」と呼ばれる奇抜な髪型が特徴でした。
一方、ワノ国の住民たちも髪の毛の色が奇抜なカラーだったりします。少年ジャンプ本誌で連載中はまったく気付かなかったんですが、アニメ化やフルカラー版を見たときは誰もが度肝を抜かれたに違いない。
何故ワノ国の民がここまで奇抜な髪色をしているか、人種的なものが理由なのかなど結果的にストーリー上、大きな理由はなさそうでしたが、これも空島とワノ国の関連性を繋げる意味では意味があった演出なのかもしれません。
⑧空船と方舟マクシム
ルフィに倒されたあと、エネルは方舟マクシムという自ら建造した飛行船を使って月に到達しました。黄金都市シャンドラに使われていた黄金を流用し、自らの雷の能力をエネルギー源に空を飛ぶという代物でした。
一方、ワノ国では火祭りのあとには空船とよばれる恒例行事がありました。紙で作ったランタンに願いを書いて、それを熱気球のように空中に飛ばすというアジア圏でよく見られる風習。このときの掛け声も航海でよく使われる「よーそろー」という号令でした。
方舟と空船のどちらも、ボスを撃破後に空中に飛ばす船という点で共通しています。
また方舟マクシムで思い出されるのは月の古代都市でした。エネルが雷のエネルギーで復活させましたが、一体誰がなんの目的で作ったかは不明です。どうやら空島の住民の先祖が住んでいた形跡があるものの、エネルが来る前はどうやって電気を作り出していたのか?
例えば電気を生まれ持って生み出せる種族にミンク族がいました。日本だとミンクは外来種を指します。何故光月家とミンク族が代々仲が良かったのか。それこそワノ国と空島の物理的な距離の近さを証明しているのではないかなど考察は膨らみます。
⑨終わりがどちらも「影」
エネルを倒したあと、ルフィは黄金の鐘を鳴らすことで、モンブラン・クリケットたちに空島の存在を知らせようとする。
その際にルフィのバックに太陽光が差し込むことで、深い霧に映写機のように大きな影が映し出されるブロッケン現象が発生しました。
このシルエットが麦わら帽子をかぶっていたことから、モンブラン・クリケットたちはルフィの存在だと確信したシーンが有名です。
ワノ国編でも同様に光月モモの助がカイドウを直接倒したわけではないものの、龍の変身を解除した際に発生した砂煙の中から現れる時に「人の影」として描写されていました。まさに太陽があるから影が生まれる。だから、影とは夜明けをもたらすDの一族を象徴する仕掛けでもあったりもします。
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