『潔癖男子!青山くん』のネタバレ感想をレビュー。作者は坂本拓。掲載誌はヤングジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは青年コミックのスポーツ学園漫画。AmazonのKindleや楽天koboなどでも試し読み・立ち読みできます。
最近、この『潔癖男子青山くん』のアニメが放送されたらしい。
そこで今回ドル漫では『潔癖男子青山くん』が面白いおすすめマンガ作品なのかどうか?またアニメ2期も含めて可能性があるのか?など徹底的に考察してみました。あくまで個人的な感想なので参考程度に。
潔癖男子青山くんのあらすじ内容・登場人物
主人公は高校1年生の青山。将来を嘱望されるサッカー選手。
でも唯一の欠点は「極度の潔癖」。上級生部員の財前かおるに水分補給を促されても、他人が飲んだかも知れないスクイズボトルは断固拒否。他にも頭が汚れるヘディングをしなかったり、試合後のユニフォーム交換も当然ノーセンキュー。ハイタッチも言わずもがな。
ただ潔癖であるが故に、青山は圧倒的な能力を発揮。「他人に触られたくない」という一心からまさに絶対領域を確保。青山に近づけばドリブルで突破され、距離を取ってスペースを空けるとそこから正確無比のシュートを放たれる。
まさに「潔癖」という性質がサッカー選手として稀有な能力を発揮させた。
しかも青山は潔癖である以上に大の負けず嫌い。試合の後半に限ってはしっかり泥臭くプレイもできるので、青山が出場した試合は今まで無敗記録を達成。まさに青山のキャリアには「黒星という汚れ」が一切ない。
ただスポーツ漫画的な要素がメインではなく、あらすじ的には「青山くんの学校生活での日常」がメイン。
青山くんの潔癖はAnyplace,Anywhere,Anytime
青山の潔癖はどこでもいつでも発動。
例えば黒板が汚れてると黒板消しでキュキュッとするのは当たり前。部室だけではなく学校の洗面所やトイレもキュキュッとしちゃう始末。でも百歩譲って自分の周辺だけだったら分からなくはない。もしかしたら自分が使用するかも知れない部分。目に入る部分。
ただ他校でインターハイ予選の試合を行った時には、まさかの他校側のスクイズボトルを熱心に磨き出す。相手の女子マネージャーも思わず「アンタケンカ売ってる?」とご立腹。他人の敷地に上がり込んで、庭の手入れをするようなもん。
お節介と言えばお節介ではあるものの、ある意味、青山の性格は優しい。だから迷子になって泣き叫んでる女の子をあやそうとすることも。ただ子供は色んな体液まみれで汚かったりする。体液という表現は語弊があるか。
当然青山は女の子に物理的に近付けないので、そこで取った手段が「リフティング」であやす。確かにめちゃめちゃリフティングが上手い人はつい見入ってしまいますが、せめてもっと笑えと。場合によっちゃ不審者。
ただあまり感情は表に出ないだけで、インターネットゲームの世界での青山は意外とテンション高め。今時あいさつで「うおっす!」はない。そのあいさつが許されるのは『ドラゴンボール』の悟空だけ。
○青山と後藤もかの淡い恋物語も?
でも青山は内面も良い意味で潔癖。例えば後藤もかが意図的にファールをもらうシミュレーションを連発した時には「汚いプレーは嫌いだ」とキッパリ批判。普段の青山は決して誰かを批判することはないものの、相手のことを想うからこそ言える。
ただシミュレーションばっかする女子は見てて痛々しいだけなので、青山に限らず全男子は好きになれないでしょうが(笑)
この女子マネージャー・後藤もかとあわーい初恋が描写されることも。だから無表情+クール+潔癖症というネガティブ要素満載ではあるものの、青山は学校中の人気者。そこら辺のキャラクター性が上手に表現されている気がします。
他のキャラクターとのゆるい掛け合いが面白い
だから『潔癖男子!青山くん』の面白いポイントがあるとしたら、青山を筆頭としたキャラクター。もっと言うと、潔癖である青山とのちょっとしたゆる~い絡み。先程も書きましたがサッカー漫画というよりも、日常学園漫画にありがちなゆるい面白さに重点が置かれてる印象。
例えば三馬鹿の一人・塚本だと青山を写メでパシャパシャ撮影したり、青山の使用済みタオルのニオイを嗅いでみたり、結構変態的なこともかます。それだけBL的な意味ではなく、青山のことがみんな大好き。
当然、青山はこういった好意をササッとスルーすることは日常茶飯事ではあるものの、青山の拒絶感も心底嫌がっているわけではない。この絶妙な描写もキャラ同士のホンワカした距離感に繋がってて良い。
女子マネの後藤もかは特にキャラクターが立っていて、淡々とロボットのように青山に献身する姿はさながら小型ロボット。画像はグラウンドにできた出っ張りをローラーで平らにしてる場面。それにしてもデカすぎるやろ。
青山への愛情が突っ走りすぎて、青山が愛用してる専用便器も華麗に掃除。もちろんその間、他の男子はトイレを使用してるので「ふー」じゃねーよ。後藤もかのちょうどいい按配のアブノーマル感も面白いのかなと思います。
サッカー描写が意外と上手くておすすめ
じゃあゆるい笑いがメインだからと言って、肝心のスポーツ描写が後回しになってるのかと思いきや、意外とサッカー描写は上手い。だから『潔癖男子青山くん』はスポーツ漫画的な楽しみ方もできるのがおすすめ。
例えばラボーナ。足をクロスさせてボールを蹴る描写ですが、キャラクター同士の配置や構図も含めて「効果的なパス」として印象的な演出として描かれています。青山がちゃんと味方選手(塚本)の方向にパスを出してるのも情報としてちゃんと伝わる。
他にも青山が倒れながらもシュートするシーンもカッコいい。青山はラスト5分のみ泥臭いプレイができるわけですが、潔癖症である青山が「地面」を掴むコマが何とも印象的。そこから青山の勝利への執念が効果的で分かりやすく描写されてる。
こういったサッカーの試合描写は数こそ多くはありませんが、それでも要所要所で意外と見所があると思います。
途中からつまらなくなっていく理由
ただ『潔癖男子青山くん』がずっと面白いかというと、これが微妙。ちょっと5巻6巻以降は失速するというか息切れするというか、ちょっとネタ切れ感が目立つ。普通に考えたら、タイトル通りにこのマンガのメインは青山くん。
でも回を重ねるごとに「青山」以外のキャラクターが目立つ。肝心の青山がろくに登場しなくなって、サッカー描写も露骨に減少してしまう。例えば6巻だと「青山くん」という名前が入ってるタイトルは1回のみ。フツーの学園漫画になっちゃった感。
後藤もかや財前かおるあたりのキャラは面白いものの、後半に突如として加入する小田切未緒や梅屋翼といったキャラが微妙。あまりストーリーに絡ませる必然性を感じず、意味もなく迷走してるようにしか見えない。言っちゃえば、新キャラクターを登場させてページを埋めてるだけ。
つまり作者・坂本拓が持ってる展開の引き出しが少ないとイヤな見方もできる。少なくとも、そのことが主人公・青山の登場回数の少なさを物語ってるのは言うまでもないか。「めっちゃつまらない」とまでは言わないものの、やはり息切れ感は否めない。
青山の「メインじゃないように見えてメインのキャラクター」という絶妙だったポジショニング能力を前半は発揮できていたものの、後半になるにつれ体力とコンディションの低下と共に動きに精彩を欠いていくサッカー日本代表を見ているよう。
潔癖男子!青山くんのネタバレ評価・評判・口コミレビュー
以上、ドル漫による『潔癖男子!青山くん』が考察レビューでした。
結論から感想をまとめると、『潔癖男子青山くん』の序盤は日常マンガ的な「ゆるい面白さ」がありました。時折見せる青山のカッコいいサッカー描写やライバルたちとのバチバチ感がアクセントとなって、不思議とスポーツ漫画的な面白さも内包。
ものすごく良いように評価するなら、『潔癖男子青山くん』は往年の「あだち充マンガ」的なニオイがしておすすめでした。
ただ後半になるにつれて目に見えてハッキリとではないものの、徐々に「あれ?」というつまらなさも増えていく。「無個性なありきたりな学園漫画」とでも評価したらいいのか、なんだか凡作に落ち着いてしまった感があり残念。
だからおそらくアニメ2期はなさそう。もしアニメ2期があるとしてもオリジナル回が増えていくのか。少なくとも、『潔癖男子青山くん』は5巻程度までであれば買い集めても損はしないとおすすめします。
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