現在世界はコロナ禍の真っ只中ですが、こんな状況でも人々の気持ちを明るくさせてくれるのが「映画」という娯楽。その中でもアニメ映画は多くの日本人に親しまれております。
実際、これまでの邦画(日本映画)の興行収入ランキングを見ると、308億円の「千と千尋の神隠し」、250億円の「君の名は」、196億円の「ハウルの動く城」、193億円の「もののけ姫」と上位4作品はアニメ映画が全て占めてる。
一方、日本が誇る人気バトル漫画が『ONE PIECE(ワンピース)』。もちろん劇場版映画が何度も公開されるなど大人気なんですが、どうやらワンピースの映画は意外と伸び悩んでいる?という考察記事になります。
少年ジャンプ系ではトップクラスの興行収入
まずは「過去5年」のワンピース映画の興行収入を確認。
「ねじまき島の冒険」が30億円、「ストロングワールド」が48億円、「3D 麦わらチョイス」が7.9億円、「FILM Z」が68.7億円、「FILM GOLD」が51.8億円、「スタンピード」が55.5億円。
3D 麦わらチョイスは先進的な試みをしたせいもあって興行収入は10億円を割り込んでるものの、それを除くとワンピース映画の興行収入は平均50億円超。ここまで安定してヒットしてる作品はワンピースを含めてかなり少ないはず。
実際、少年ジャンプ系映画の興行収入ランキングの上位4作品は全てONE PIECEで占められていることが分かります。
例えば『ドラゴンボール』は未だに安定して人気を誇ってますが、それでも興行収入は最高でブロリー編の40億円に留まるそう。『NARUTO』に至っては続編含めて、興行収入が30億円を一度も超えたことがないんだそう。
そう考えるとワンピース映画の興行収入は群を抜いてるように思えます。
名探偵コナンの興行収入は平均90億円
ただし、少年ジャンプ系以外のアニメ映画ではワンピースを超える作品が少なくない。
例えば、少年サンデーで連載中の『名探偵コナン』。言わずと知れた長編推理漫画。連載開始時期も1994年とワンピース(1997年)とあまり変わりはなく、コミックスの巻数もワンピースとほぼ同じ100巻の大台に突入しようとしております。
画像のパッケージは安室透を主役とした「ゼロの執行人」ですが、赤井秀一と赤髪のシャンクスが同じ声優を起用するなどワンピースとコナンの類似点も少なくない。
この名探偵コナンの映画の興行収入の推移を見ると、41.1億円→44.8億円→63.3億円→68.9億円→91.8億円→93.7億円。
近年では吹っ切れたように、名探偵コナンの興行収入は90億超えを連発。小学館も100億超えを目指すのも納得。
そこでワンピースと名探偵コナンの興行収入をグラフで比較すると、こんな違いになります。青がONE PIECE、オレンジが名探偵コナン。
少し前まではワンピースも名探偵コナンも興行収入にあまり違いはなかったんですが、ここ2年の違いを見ると両者の差は歴然。ワンピースがオワコンになったわけではありませんが、名探偵コナンの興行収入が頭一つも二つも抜け出てる印象。
名探偵コナンの方がONE PIECEよりも古いのに何故?しかも名探偵コナンの全世界の発行部数は2億3000万部に対して、ワンピースは4億7000万部。コミックスの売り上げはワンピースが2倍超。
本来はワンピースの興行収入はもっと伸びてていいはず。
鬼滅の刃の興行収入は300億円超えもありうる?
続いては鬼滅の刃の興行収入の推移を見たいと思います。先程はワンピース映画の興行収入は少年ジャンプ系で群を抜いてると言ったんですが、それは少し前までの話。2020年以降は話の次元が変わってきます。
この記事の執筆時点でまだ公開から3ヶ月も経過してないんですが、煉獄杏寿郎を準主役にした鬼滅の刃の映画「無限列車編」の興行収入は半日で約7億円、3日で約50億円を突破。
つまり、鬼滅の刃はワンピースの映画「スタンピード」や「フィルムゴールド」の興行収入を3日ほどで稼いだ計算。
更に鬼滅の興行収入の推移を見ておくと、10日で約100億円、17日で約157億円、24日で200億円の興行収入を獲得してるそう。いつまで「無限列車編」が公開されるのか知りませんが、おそらく鬼滅の刃の映画は最終的に興行収入は300億円を超えるはず。
もちろん鬼滅の刃は黒死牟といったまだまだ未消化のストーリーが残ってるので、今後も何本もの続編映画が公開されていくはず。もしかすると鬼滅の刃のシリーズ合計の興行収入はおそらく1000億円を超える可能性もありえそう。
ONE PIECEはストーリー性が強すぎる
だからワンピースの映画が決して失敗してるわけではありませんが、やはり興行収入の推移を見る限りは「伸び悩み」が見られるのも事実だと思います。
既に「君の名は」や「天気の子」といった他のアニメ映画の興行収入が100億円の壁を超えてる以上、ワンピース映画もそれを超える余地は十分あるはずです。
そこで「ワンピースの映画がダメな理由」を考察していこうと思います。
一言でまとめると、ワンピースは「ゴリゴリのストーリー漫画だから」に尽きると思います。
やはりワンピースには「本筋の確固たるストーリー」が存在するわけです。ワンピースのあらすじを読んでも、ストーリーの流れが徹頭徹尾びっちり決まってる。その中でいつ「別の物語」をどうやって紡げるタイミングがあるんだ?という話。
だからワンピースのような長編漫画を映画化する場合、大前提として「映画オリジナルのストーリーにはすんなり入り込めない and 没入感に欠ける」という背景があると思います。映画の物語はパラレルワールドですらない。色んなモヤモヤしたものを抱えながら観なければいけない。
実際、続きモノが多い少年ジャンプ系漫画の中で、爆発的にヒットした映画が少ないのが証拠(鬼滅の刃は除く)。
○映画オリジナルの物語は需要があるのか?
かつて筆者が小学生の時に脳筋バトル漫画「ドラゴンボール」の劇場版映画を観たんですが、その時ですら強い違和感を子供ながらに覚えてました。クウラって誰やねんっていう。ワンピースだったら違和感の強さは言うまでもないでしょう。
確かに名探偵コナンはワンピースと同じく長編漫画ですが、話の内容は数話で完結するオムニバス形式を採用してる。先程の興行収入の面で触れてませんでしたが、アニメ映画の金字塔である『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』もオムニバス形式。
だから数話以内に完結する漫画であれば、映画オリジナルの新しいストーリーを描いたとしても「話の一つ」として没入できる。でもワンピースのような長編ストーリー漫画は本編以外の物語は存在しないため、付け焼刃的な映画の話に没入しにくい。
これは裏返すと「映画用の完全オリジナルの物語はウケるのか?」という疑問にも行き着くはず。事実、鬼滅の刃の映画の内容は「本編ストーリーをそのまま移植」しただけでした。関係者にとって鬼滅の大ヒットはいろいろ考えさせてくれるものがあるはず。
主人公・ルフィはワンピース映画に必要か?
でもワンピースの興行収入が伸び悩む理由が他にもあります。
それが「主人公のルフィの起用」にありそう。これは前述の理由とも関連するんですが、やはりワンピースの本編ストーリーは「ルフィの物語そのもの」です。そのためルフィを主役にした映画のストーリーを作ると、本編の物語との乖離が余計に際立ってしまう。
新世界編では魚人島からワノ国に到達するまでの間、どこにもルフィたちは寄り道してる暇などはなかったはず。それにも関わらず、ルフィたちはメルヴィユ、グラン・テゾーロ、デルタ島などに足を運んでる。一体いつ行ってきてんって話。
あとルフィは孫悟空のような「主人公感」がないのも大きい。ドラゴンボールは孫悟空が立ち回らないと成立しない作品だと思いますが、ワンピースは正直ルフィがいなくても成立する作品。一見すると矛盾する意見ですが、おそらく『NARUTO』に近い。
何故なら、ワンピースはドラゴンボールよりも他にも「魅力的なキャラクター」が多いから。
○シャンクスなどを映画の主役にしたらいい
例えば、ベジータを主人公とした映画は正直インパクトに欠けますが、赤髪のシャンクスやゴールド・ロジャーたちを主役とした映画であれば誰しも見たいはず。元海軍大将の青キジや革命軍のモンキー・D・ドラゴンが主役の物語でも面白そう。
彼らであればワンピース本編に登場する機会は少ないので、映画専用のオリジナルストーリーで立ち回ったとしても違和感なく観れるはず。本編ストーリーはルフィが全ての中心だからこそ、逆に他のキャラクターの物語は描きたい放題ということ。
言っちゃえば、ルフィに興味があるのは尾田さんだけ。
「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎は良いキャラクターですが、人気ランキングを見ると我妻善逸や柱、上弦の鬼といった別キャラクターにハマるファンも多かった。事実 劇場版映画では炎柱の煉獄杏寿郎が準主役として活躍し、彼が映画ヒットの立役者となりました。
ONE PIECEもおそらく鬼滅の刃に近いんじゃないか?だから敢えてルフィを主人公にするべきなのか?という疑問は個人的に持ってます。
正直、ルフィや麦わらの一味の物語は個人的にはもうお腹いっぱい。さすがに100巻近く活躍してる主人公に、今更新しいストーリーはもう必要ないでしょう。
コメント
だって面白くないもん
つまらないのに興収なんて伸びるわけないよ
ごり押し宣伝ガンガンしたって知ってる人間は騙されない
ワンピ好きな人ってきっと暗示にかかりやすい人、だまされやすい人、すぐ周りに流される人だと思う
↑にしぬほど同意
全世界での興行収入は100億を超えている作品もあります。
ワンピースの人気投票でのランキングではルフィが不動の1位です。