おすすめバトル漫画の『HUNTERxHUNTER』の最強のボスキャラが「メルエム」。キメラアントの王。人類の支配者を自称するだけあって、まさに暴力的な強さを誇る。
一方、メルエムはかなり頭が回って理知的。それ故にメルエムは様々な名言を残してる。
そこで今回ドル漫では『ハンターハンター』のメルエムの名言集・名シーンをまとめてみました。果たしてメルエムはどういった名言を残してるのか?
余は空腹じゃ 馳走を用意せい
まず最初のメルエムの名言は「余は空腹じゃ、馳走を用意せい」。
妊娠中のキメラアントの女王のお腹の中を無理やり引き裂き、その胎内からメルエムが飛び出て最初に言った発言がこれ。これぞ鮮烈な初登場シーン。この直後、メルエムはそれまで強敵として描かれていたキメラアントの師団長たちを一瞬で倒して貪る。
まさにメルエムの凶暴さを端的に表現した名言。「余」や「馳走」というワードを使うことで、メルエムの知的水準の高さや王様っぷりを権威付けてるのも上手い。
お前らは豚や牛の命乞いに耳を貸したことがあるか?
続いてのメルエムの名言は「お前らは豚や牛の命乞いに耳を貸したことがあるか?」。
その後、メルエムは東ゴルトー共和国を乗っ取って「キメラアントの国家」を樹立する。この東ゴルトー共和国は北朝鮮(金前総書記)をモチーフとしてるんですが、某喜び組のように女性たちと乱痴気騒ぎが毎夜行われていた。まさに権力者・独裁者の酒池肉林。
しかしメルエムは国王を瞬殺した後、震えて助けを乞う女性たちに向かって言う。
「やはり阿呆だぞ。こいつら。足りない脳を最大限稼働してよーーーく考えろ。お前らは豚や牛の命乞いに耳を貸したことがあるか?」。
この名言はなかなか辛辣。まさに人間を家畜扱い。北の独裁者を上回るほどの独裁者っぷりを、いかんなく発揮した名言。ちなみに、連載時は阿呆の部分は「白痴」と表現されていたのは有名な話。
これからだったのだ強くなるのは
続いてのメルエムの名言は「これからだったのだ強くなるのは」。
その後、メルエムは東ゴルトー共和国の国技である「軍儀」という盤面スポーツにハマる。この軍儀の最強の使い手が画像のコムギ。メルエムは驚異的な思考力から囲碁といった盤面スポーツの最強プレイヤーを圧倒してきたものの、コムギだけには一度も勝てなかった。
もちろんメルエムの驚異的な思考力で、コムギの実力に追い付く。しかしながら、コムギは更にメルエムを上回るスピードで進化していく。まさに一進一退の攻防が続く中、『ハンターハンター』の念能力の説明にもありましたが、コムギも次第に念に目覚めつつあった。
この光景を見て言ったメルエムのセリフが「これからだったのだ…!強くなるのは…!」。
当然メルエムはキメラアントの王。他人の強さを認めることはない。でも、ここでメルエムは初めて「他人の強さ」を素直に認めた。相手の強さを認めることは弱者ではなく、むしろ強くなる上では必須。結果的にメルエムの精神的な成長も垣間見える名言・名シーンでした。
コムギと触れ合うことで、メルエムの心境も徐々に変わっていく。これが二人の最後のオチに繋がってる。作者・冨樫義博のプロット力の高さを見せつけられます。他にもハンターハンター24巻の同場面では、「これで許せ」といったメルエムの名言も印象深い。
余はこいつをどうしたいのだ…!?
続いてのメルエムの名言は「余はこいつをどうしたいのだ…!?」。
その後もメルエムとコムギの軍儀の戦いは続く。メルエムは世の中には「色んな強さ」があることを身をもって知る。ただし、それも全ては「暴力というチカラ」の前では無力ということを再認識。そこで改めてメルエムは「圧倒的な暴力を持つ自身の価値」に気付く。
そして、「高が軍儀。所詮盤上の遊び。十分楽しんだ。もう用無し」と再び軍儀部屋に戻って、そこで対戦を待つコムギを処分しようと考える。しかしコムギは巨大な鳥に攻撃されて、体は傷だらけ。メルエムは思わずコムギを助けてしまう。
そして、メルエムは助けを求めなかったコムギに対して詰問するものの、「早朝ですから…ご迷惑をおかげすてはいけないと…」と釈明される。ここで更にメルエムに心境の変化が起きる。コムギを諭すように「迷惑なことなど何もない…貴様は大事な客だ」とメルエムは温かい言葉をかける。
さっきまで殺意ムンムンだったにも関わらず、メルエムの口からとんでもない紳士的なセリフが出る。暴君メルエムからしても、不意に出た自らの言葉に戸惑う。そして思わずメルエムの心の中で浮かんだセリフが「何なのだ…この生き物は…余はこいつをどうしたいのだ…!?」。
絶対的な王であるはずのメルエムが、たかが一人の少女にここまで戸惑う姿勢が可愛らしい。恋愛少女漫画の男子キャラ的なそれ。
何の為に生まれて来た!?
続いてのメルエムの名言は「何の為に生まれて来た!?」。
コムギとの一件で再び思い詰めるメルエム。確かにメルエムは王ですが、「自分の名前」すら持たない。これは自身の名前を聞く前に母である女王を殺してしまったからなんですが、そこでポツリと出たセリフが「余は王だ。だが余は何者だ…?余は一体何の為に生まれて来た…?」。
これは人間の根源的な悩み。人生や仕事で壁にぶつかったとき、自分は一体何がしたかったのか、これから何をすべきなのか悩むことは誰しもある。メルエムは頭が回るからこそ、この答えが出ない根源的な疑問に激しく悩み続ける。
この名言が出るぐらいから「実はメルエムは良いやつ?」ということが徐々に明らかになっていく。本当にメルエムが悪役キャラだったら、こんな名言は付いて出ないですからね。
退屈と断ずるに些かの躊躇も持たぬ!!
続いてのメルエムの名言は「退屈と断ずるに些かの躊躇も持たぬ!!」。
東ゴルトー共和国内で「選別」の日が近づいていく。メルエムはそれでも未だに「余は何者か」を迷う。名前は持たない。根城にしてる宮殿も、所詮は居抜き。選別される人間もシャウアプフが催眠で操作してるだけ。そこで出たメルエムの心の叫びが名言。
「退屈と断ずるに些かの躊躇も持たぬ!!」。
メルエムは武力でも最強。頭脳でも最強。それ故に、自動的に事が進められる「お膳立てされた空疎な支配」に大きな意味や価値を感じない。メルエムは飾りに過ぎない。実力が伯仲しているコムギとの軍儀勝負の方が、遥かに面白い。
まさに「人生とは何か?」ということを考えさせられる名言。
平等とはいえぬまでも理不尽な差の無い世界を!
続いてのメルエムの名言は「平等とはいえぬまでも理不尽な差の無い世界を!」。
その後、選別が始まる直前の宮殿にゴンたちが急襲。メルエムは先にネテロ会長と戦うこととなる。ネテロは人類存亡をかけた戦いにヤル気満々。しかしメルエムは既に自らの存在意義に疑問を抱き、コムギのような一部の人間に対して「一定の価値」を見出してる。
そこでネテロに「条件付きの不戦」を呼びかける際に出たセリフが名言。
「お前達の社会には国境という縄張りに似た仕切りがあろう。境の右では子供が飢えて死に、左では何もしないクズが全てを持っている。狂気の沙汰だ。余が壊してやる。そして与えよう。平等とはいえぬまでも理不尽の差の無い世界を!」。
ネテロは「人間全てを生かす選択」を取ろうとしないメルエムに賛同はできないんですが、意外と心に響く名言。ただ圧倒的な権力や武力を持った独裁者や政治家が実行しても同じ。「平等」にはらむ危険性や共産主義思想に対するディスも込められているのかも。
余と交わすことが叶うのは言葉だけだ
続いてのメルエムの名言は「余と交わすことが叶うのは言葉だけだ」。
「人間の価値」と「キメラアントの王」という立場の中で揺れ動くメルエム。このまま議論を続けても、今度はネテロ自身が自分の心が揺れ動いてしまう危険性を察知。そこで有無を言わさず、ネテロはメルエムに攻撃を仕掛ける。
しかしメルエムは全く意に介さない。そこでネテロに言い放ったセリフが「其の方が余と交わすことが叶うのは言葉だけだ」。
一体どっちが敵か味方か分からなくなるような紳士的な名セリフ。圧倒的な実力差があるからこそ名言。直後のネテロの「産まれたての餓鬼が!それができれば苦労はしねェ!」という名言も人間臭くて笑えます。
まぁ…すぐに詰んでやろう
続いてのメルエムの名言は「まぁ…すぐに詰んでやろう」。
その後、ネテロ会長は「メルエムの本名」を教える代わりに自分と戦うことを提案。前述のように、メルエムの母親は死に際にメルエムの名を言ってる。「ワシに負けを認めさすことができれば、教えてやらんでもないぞ?」と挑発するネテロに言い返したセリフが名言。
「まぁ…すぐに詰んでやろう」。
「倒す」でも「殺す」でもなく「詰む」という表現が面白い。メルエムの中で「人間らしさ」が徐々に芽生えつつあり、いかに軍儀の存在が大きくなっていたかが読み取れる名言。メルエムの心境の変化が如実に現れてる名言。
天晴だ!
続いてのメルエムの名言は「天晴だ!誉めて遣わす」。
メルエムとネテロがついにバトル。ネテロは百式観音を披露し、全身全霊をもってメルエムとの一戦に望む。しかしながら攻撃を繰り返すものの、メルエムは一向にダメージは負わず。そしてネテロに言い放ったセリフが名言。
「其の方が己を高めんが為捧げ続けた永き時、その成果、しかと受け取った。一個が修練の末、届き得る限界。それを卓越した稀有な事例といえよう。天晴だ。誉めて遣わす」。
メルエムの圧倒的な上から目線の名言に思わず笑う。ネテロをまともな勝負の相手として見てない。まさに師匠と弟子の関係性。「虫が…」というネテロの苦々しい表情が笑えます。先程は「餓鬼」とメルエムをディスってましたが、徐々に口が悪くなってるネテロの強がりが笑えます。
他にもネテロと対戦時に言った上から目線の名言には「戦局が読めぬほど凡庸な差し手には見えぬ」「死にたいか?」などがあります。
我らは肉体も精神もつながってしまった
続いてのメルエムの名言は「我らは肉体も精神もつながってしまった。3名の間でもはや隠し事はかなわぬぞ」。
その後、メルエムはネテロの自爆によって結果的に瀕死の重傷を負う。木偶人形と化した瀕死のメルエムを救ったのが王直属護衛軍のシャウアプフとモントゥトゥユピー。肉体の一部を取り込ませることで、メルエムを完治させる。
ただメルエムの能力は「食べた相手の能力」も吸収すること。そのためシャウアプフとモントゥトゥユピーの念能力も継承する。特にシャウアプフの「相手の思考を読み取る能力」を体得したメルエムは、二人の考えは全てお見通し。
そこでモントゥトゥユピーの嘘を追及するメルエムでしたが、素直に白状したモントゥトゥユピーに対して言ったセリフが名言。
「余は偽るなと命じただけ。それに対し真実で応えた者に咎のあろうはずもない。お互い不便な身体になったな。我らは肉体も精神もつながってしまった。3名の間でもはや隠し事はかなわぬぞ!」。
敵このウザったいほど爽やかな仲間感に、まさに敵ながら天晴と言いたくなります。スポーツ漫画のそれ。
でもシャウアプフの抱えた秘密、メルエムの思考力を読み取るチカラ、一時的な記憶喪失、これらが終盤のオチに繋がる見事な仕掛けになってる。それは是非『ハンターハンター』本編をお読み下さい。
逢えるといいな。その者と。
続いてのメルエムの名言は「逢えるといいな。その者と。そして可能なら人間として生きるが良い」。
しかし一時的な記憶喪失によって、メルエムは再び凶暴さを取り戻す。そこで記憶を取り戻すために宮殿に戻ると、そこには元部下のウェルフィン。少し反抗的な態度を取ったウェルフィンにとどめをさそうとした瞬間、ウェルフィンの一言ですべての記憶を取り戻す。
メルエムの中から「悪意」が消えたのを察知したウェルフィンは「オレの王はジャイロ唯一人!貴様はオレ達の敵だ!」と捨てゼリフを吐く。これ以上ない非礼。もちろん激おこかと思ったメルエムが吐いたセリフが「逢えるといいな。その者と。そして可能なら人間として生きるが良い」。
自分より遥か下の者に対して気遣うだけではなく、明るい未来まで願う言葉をかける。当初メルエムは人間を「家畜以下」に見下していた。それにも関わらず、「人間として生きろ」。かつての凶暴なキメラアントの王はどこにもなかった。
そしてメルエムの名言・名シーンが続きます。
起きろコムギ!打つぞ!!
続いてのメルエムの名言は「起きろコムギ!打つぞ!!」。
完全に記憶を取り戻したメルエムは、その後、キルアたちに隔離されていたコムギを探し出す。そして、ふたたび再会した時に出たセリフが「くっくっ。起きろコムギ!打つぞ!」。この最初の無邪気な笑い方がホッコリして良い。
でも、この時点でメルエムはネテロの毒に冒されて余命いくばくもなかった。こんな死を前にしても、メルエムの頭の中には「コムギ」と「軍儀」しかないっていうのがストーリーが進むにつれて余計に泣かせます。
余は何が大事なものなのか…何も知らなかったようだ
続いてのメルエムの名言は「余は何が大事なものなのか…何も知らなかったようだ」。
メルエムとコムギは、再び軍儀で戦う。ネテロから自身の名前を知らされたメルエムは、そこでコムギに自らの名前を伝える。コムギは改めて「ワダすの名前はコムギです!」とへりくだって再び自己紹介。メルエムは「知っておるわ」とツッコミを入れた直後の心の中のセリフが名言。
「いや…そうだな…知らなかった…余は…何が大事なものかを…何も知らなかったようだ…」。
メルエムは多くは語っていないものの、これまでの傍若無人な振る舞いに対する静かな反省も込められてる。冒頭の悪逆っぷり全開のメルエムからは全然想像がつかない名言。色んな過去や因縁、そして後悔などがギュッと凝縮される名言。
以前の余とは一味違うぞ。幾多の敗北を覚悟しておけ
続いてのメルエムの名言は「以前の余とは一味違うぞ。幾多の敗北を覚悟しておけ」。
もはや完全に意識は「ただの人間」のメルエム。ただコムギの記憶の中では、まだ「メルエムは王」のまま。王ではなくなったメルエムは、地位の差はなくなったため呼び捨てと呼ぶことを要求。しかしコムギは「滅相もない」と否定。
そこでメルエムは「軍儀で余が勝ったらお主は余を様抜きで呼べ」と提案。コムギは「呼び捨ての後で死んだらいいですか?」と返す。それに対して言い放ったメルエムのセリフが「死ぬ必要はない。以前の余とは一味違うぞ。幾多の敗北を覚悟しておけ」。
「敗北」であり「死」ではないのがポイント。かつてのメルエムは敗北した人間を即座に殺していた。「以前の余とは一味違う」という言葉は、軍議が成長してるという意味だけではなく、「ヒトとして成長してる」というニュアンスがたぶんに含まれてる。
またメルエムは毒に冒されて死期が近いと悟りながらも、「幾多の敗北」と今後もまだ生きるかのように未来を匂わせてるのも泣かせる。二人の関係性や絆は死んでも終わらない、というニュアンスが暗に込められているのかも知れない。
どこかでほんの少し…何かがほんの少し違っただけで…
続いてのメルエムの名言は「どこかでほんの少し…何かがほんの少し違っただけで…」。
メルエムはコムギと再会する前に、実はパームと接触してる。パームがコムギを監禁してた。一方、パームは既にキメラアント化してしまってる。それ故にメルエムに対する無意識的な忠誠心も持ち合わせる。
でも土下座しようとしてでもコムギに会おうとするメルエムに対して、パームの涙腺を思わず弱める。それでも人類を救出するためには、メルエムには死んで貰う必要がある。毒が完全に回り切るように、パームは抵抗し時間稼ぎしようとする。
このパームの姿を見たメルエムから無意識的に出た本音が「ほんの少しだったと思う…どこかでほんの少し…何かがほんの少し違っただけで…」。
何気ないセリフですが、これまでの経緯を考えると非常に重い内容。このリフレインからはメルエムの強い後悔も読み取れます。メルエムの奥底で眠っていた「いい人さ」があふれ出ている名言。それ故に反省したメルエムの死に口惜しさを感じさせます。
そうか余はこの瞬間のために生まれて来たのだ…
最後のメルエムの名言は「そうか余はこの瞬間のために生まれて来たのだ…」。
いよいよメルエムとコムギによる軍儀の最後の対局。
死期を悟ったメルエムは「最期をコムギ。お主と打って過ごしたかった。余の側に長くいればお主にも毒が感染する」と素直な心情を吐露。それに呼応するようにコムギは「ワダす今とっても幸せです…不束者ですがお供させてください」と言った直後が名シーン。
「そうか…余はこの瞬間のために生まれて来たのだ…」。
一方、コムギも同じタイミングで「ワダすはきっとこの日のために生まれて来ますた…」というセリフが口からポロッと出る。このちょっとしたシンクロ感が2人の絆の強さを物語ってて泣かせる。2人の「終わり」に近づく流れが感動的に仕上がってる見事な名シーン。
ここまで数々のメルエムの名言・名シーンを読んでると、ここまで嫌いにも好きにもなれたラスボスキャラはいないかも知れない。
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