コミックス単行本の発行部数が1億部をゆうに超えるバトル漫画が『BLEACH(ブリーチ)』。
この『ブリーチ』は2016年に最終回を迎えたんですが、五年以上が経過した2021年8月にブリーチの読み切り漫画が少年ジャンプ36・37合併号で掲載されて話題に。実際、ブリーチは2001年36・37合併号から連載が始まったため、ちょうど20周年目の帰還。
そこで今回ドル漫では「ブリーチの20周年を記念した読み切り漫画」のネタバレ感想を画像付きでレビューしたいと思います。ブリーチの最終回は次回作を予感させる終わり方だったんですが、どうやら今回の読み切り漫画はその予感を的中させる内容だった?
千年血戦篇のアニメ化の宣伝も兼ねているようですが、BLEACHの続編があるのかどうかの考察がてら今回の読み切りの内容を解説していこうと思います。
舞台は再び平和になった尸魂界
舞台は尸魂界(ソウルソサエティ)。
席官屋敷通りのとある武術道場では「阿散井苺花(あばらい・いちか)」が斑目一角に修行を付けられていた。キャラ名からも分かるように、阿散井恋次の娘。この黒崎一勇と阿散井苺花は『BLEACH』本編の最終回に突如として登場した新キャラクターでした。
斑目一角に対して「腕を上げたな」と語るなど、小生意気な阿散井苺花は卑怯な手段を使ってまで対抗心むき出し。それに対して、斑目一角は「黒崎一護のガキ(黒崎一勇)にも会いてえだろ?」と無意識的に煽るなど仲は良い模様。
現在、斑目一角は更木剣八が率いる十一番隊の副隊長を務めている。阿散井恋次も同じく副隊長ですが、同じくかつて斑目一角を師事していただけあって親子共々同じ道を歩む。これだけ幼い頃から英才教育を受けていると阿散井苺花は父親超えも?
でも阿散井恋次と斑目一角は見た目的に年齢差はあんまりなさそうにも思えますが。
浮竹十四郎を弔う儀式に黒崎一護が呼ばれる
一方その頃、父親の阿散井恋次は黒崎一護と伝令神機で通話。浦原喜助が技術開発局に配属されたおかげで尸魂界にもテレビが設置されるなど、どんどん霊子機器が開発されてる模様。朽木ルキアは変な言葉や情報を身につけて黒崎一護もタジタジ。
これに対して、十二番隊隊長の涅マユリは対抗心むき出し。相変わらずヤバい風貌が更にヤバく進化し、目からビームも発射。しかも、これは映像に投影されたホログラム。技術革新がムダに止まらなくなっている尸魂界であった。
ただ涅マユリは意味もなく登場したわけではない。
涅マユリの口からは「浮竹十四郎を弔うための魂葬例祭」について語られる。魂葬例祭とは隊長格が死亡すると、その墓の前でホロウ(虚)を殺すという儀式のこと。既に山本元柳斎重國と卯ノ花烈は行っており、次は浮竹十四郎で行う。
魂葬は尸魂界に魂魄と霊子を導くこと。死神の肉体も「霊子」で構成されており、その霊子は尸魂界の大地に自然と還る。ただ隊長格以上のキャラクターは霊子の濃度が高すぎるため、自力で尸魂界の大地に還ることができない。それを可能とする儀式とは京楽春水。
阿散井苺花がこっそり潜り込むも…
そこで儀式で使うホロウを捉えるために各副隊長が全員呼ばれた。儀式の名前は序儀面霊縛(じょぎめんれいばく)と呼ぶそう。ここまで詳細に覚える必要はないと思いますが、ここに黒崎一護も呼ばれた。そして、六番隊副隊長の阿散井恋次と再会を果たす。
ただ護廷十三隊もメンバーがいろいろ変わっているようで、現在は矢胴丸リサ(元仮面の軍勢のセーラー服おさげ)が率いる八番隊副隊長に八々原熊如(ややはらゆゆ)というDQNネーム丸出しの新キャラクターも登場します。技は脳筋丸出しのフィジカル派。
他にも式神使いのように紙を動物に変えて攻撃する七番隊副隊長の輪堂(りんどう)なども登場してます。七番隊の隊長は射場鉄左衛門。未だに始解や卍解が判明していないなど、悪く言うとモブキャラですが、新キャラが登場したことを考えると今後…?
しかし、この場には阿散井苺花の姿もあった。「あたしに黙って現世に遊びに行くとかズルいんだぁ~」と語るなど、もしかすると黒崎一勇に会えたらいいな程度の思惑もあったのかも知れない。ただ何も起きないはずがない。
ホロウが案の定襲来するも、何故か黒崎一護など護廷十三隊の副隊長格は誰も感知できていない様子。それに対して、娘の阿散井苺花だけはハッキリとホロウが見えている。思わず「父様」と叫ぶ阿散井苺花の注意も空しく、阿散井恋次は攻撃を受けてしまう。
斑目一角曰く、どうやらこの虚たちには霊圧がない様子。
ザエルアポロ・グランツとは破面・第8十刃
もちろんただの一撃で死亡するはずありませんが、負傷した阿散井恋次に娘の苺花が駆け寄って抱きしめる。状況がいろいろ飲み込めない阿散井恋次は「馬鹿野郎!何でお前がここに居んだ」と叱責するものの事態が事態。捕縛は諦めて、虚の殲滅に動く。
阿散井恋次たちがひとしきり殲滅したと安心したのも束の間、そこに現れたのはまさかの【ザエルアポロ・グランツ】だった。
黒崎一護にも「誰だてめーは?」と言われるなど、おそらくザエルアポロは覚えてるようで覚えてない絶妙なラインのキャラクター。自分はちょっとだけ忘れていたので、改めてザエルアポロについて簡単に解説しておきます。
ザエルアポロ・グランツとは破面(アランカル)の一人。その中でも特に強い10名いる【十刃(エスパーダ)】の一人でした。具体的にはザエルアポロは第8十刃(オクターバ・エスパーダ)。何となく分かると思いますが、十刃でも上から8番目ぐらいに強かった男。
だからザエルアポロは弱いっちゃ弱いキャラクターというか、少なくとも何故今更登場?という印象は強い。
ザエルアポロの最後は涅マユリに敗北
ただブリーチの小説版『BLEACH Spirits Are Forever With You』によると、ザエルアポロは元第0十刃だったことが判明しています。ザエルアポロの全盛期の実力は完全虚化した黒崎一護並とされ、少なくとも帰刃状態の第0十刃・ヤミーより強かったそう。
破面篇では十二番隊隊長の涅マユリと対戦。当サイト・ドル漫ではここらへんのクダリで放たれた涅マユリの名言を多くまとめた記憶があります。
最終的に二人の決着がどうなったかをネタバレしておくと、涅マユリが「ヤバい超人薬」をザエルアポロの体内に取り込ませる。ザエルアポロは感覚が超絶的鋭敏に覚醒するものの、体内時計は「一秒が100年」に感じるようになってしまう。
ただ結果的に、ザエルアポロは死ぬほどじわじわ殺されるという地獄を味わって、涅マユリに敗北する。最後は「百年後まで御機嫌よう」という涅マユリの言葉で締めくくられていました。
ここまで解説したらザエルアポロのことを思い出すブリーチ読者は多いはず。だから未だにザエルアポロは良くも悪くも生かされているのかと思っていたんですが、既に10年以上の年月を経てしっかり死亡していた模様。
魂葬例祭とは「隊長を地獄に突き落とす」こと
じゃあ、ザエルアポロはどこから蘇ったのかと言うと、まさに【地獄】から。ザエルアポロは虚の縛りから解き放たれて、一種自由の身となった。先程の虚が霊圧がなかった理由も地獄で生まれていたから。それ故に護廷十三隊の副隊長も気づかなかったものと思われます。
地獄は尸魂界とも人間界とも隔離されてる場所なので、本来は輪廻転生で蘇ることはできない。そのためザエルアポロは今もなお「地獄に堕ちている状態」ではある。ただ藍染惣右介やユーハバッハを倒してしまったことで、地獄の蓋を押さえつけていた障害も結果的に消えた。
そして霊圧が強い隊士を地獄に送り続けたせいで、地獄内部で蓋を開ける圧力が増強されてしまう。つまり、魂葬例祭という儀式は「死亡した隊長を地獄に突き堕とす」という苦肉の救済策だった。元隊長の揺蕩った強すぎる霊子を地獄に押しつけていただけだった。
しかし気付いたときには、時既に遅し。さっき虚を倒したことで、浮竹十四郎を地獄に突き落とすことに成功してしまう。ただ究極の自己犠牲を払う神掛状態の浮竹十四郎によって、ザエルアポロは再び地獄に連れ戻されてしまう。
その際にザエルアポロは「地獄はいつも傍にあった。考えたことはないか?死神を導く蝶の名になぜ【地獄】とついているのかを!」という意味ありげな捨てゼリフを残して消える。
ブリーチの世界では死神が尸魂界と現世を行き来する際には【地獄蝶(じごくちょう)】と呼ばれる黒いアゲハ蝶に頼らざるを得なかった。何故、ここに地獄という名前が付いていたのか?ということ。いかにも伏線丸出しのまま今回のブリーチの読み切り漫画が終わります。
BLEACHの続編は獄頤鳴鳴編で確定?
そのため話の流れ的には「まだまだ続く」といった感じの終わり方。事実、BLEACHの続編を思わせる根拠として最終ページに「獄頤鳴鳴(ごくいめいめい)篇」と呼ばれる文字がデカデカと記載されている。千年血戦篇でも最初にバーンと表示されていましたが、まさにそれを彷彿。
だからBLEACHの続編が描かれるとしたら、この「獄頤鳴鳴(ごくいめいめい)篇」が次のシリーズに当たるはず。語感的にも分かると思いますが、舞台はまさに地獄に移りそう。確かにこれまで『ブリーチ』では地獄は描かれてるようで描かれていなかった。
正確には劇場版映画として『地獄篇』が2010年に一度公開されているんですが、正直覚えてるブリーチ読者は少なそう。それでもブリーチの連載当初から考案されていた設定ではあるので、作者・久保帯人の中でいずれ消化しようと思っていたら最終回を迎えた感じか。
獄頤鳴鳴編の主役は黒崎一勇(かずい)か?
そして、この獄頤鳴鳴編で主役となりそうなのが「黒崎一勇(かずい)」。黒崎一護の息子。今回の読み切り漫画ではほとんど活躍していませんでしたが、実は冒頭でモブのオッサンの魂葬を行っている。ただ地獄から現れたザエルアポロと似たような入り口を発現させるなど意味深。
最終ページでも獄頤鳴鳴篇の隣に黒崎一勇の顔が並んでいる。この2枚の画像を見比べると、今回の読み切り漫画は「黒崎一勇で始まって、黒崎一勇で終わってる」表現がなされていることが分かります。「物語は、巡る」という煽り文も、次の主人公感を匂わせている。
逆にタイトルは若干違っている。最初は「NO BREATHES FROM HELL(地獄から息を吹き返すことはない)」というタイトルで始まってるのに対して、最後は「NEW BREATHES FROM HELL(地獄からの新しい息吹)」というタイトルで終わっている。
「本来封じられていた地獄が開かれた」といった物語の流れを表現したニュアンスだと思いますが、新しく湧いて出てくる魑魅魍魎に立ち向かう主人公が黒崎一勇ということ?
新しい息吹というニュアンスで考えると、NEW BREATHEとは黒崎一勇そのもの?ブリーチの最終回ではユーハバッハの残滓を瞬殺したのも黒崎一勇でした。複数形を考えると、阿散井苺花も候補。考えてみると、阿散井苺花も今回何故霊圧のない虚を認知できたのか?
【読み切り漫画】ブリーチのネタバレ感想評価まとめ
以上、2021年8月に掲載されたBLEACH読み切り版のネタバレ感想でした。
今回の読み切り漫画は「長ーいプロローグ」といった内容。なにか本格的に始まったわけでもなく、なにか明確に解決したわけでもない。獄頤鳴鳴篇が始動するのかハッキリとしたアナウンスもなく、正直ややもするとモヤッとする終わり方ではある。
内容的には「助走」に集中している感じで、良くも悪くも「普通の読み切り漫画」って感じではない。またBLEACHをあらかじめ読んでいない(読み返さない)とピンと来ない描写も多かった。4年5年ぶりの掲載だけあってストーリーの流れがないので余計に。
そういう意味で今回のBLEACHの読み切り漫画が面白かったか?と言うと微妙ではあるか。
それでも作者・久保帯人の中では「BLEACHの続編の構想」は何となく浮かんでいるんだろうなぁとは思います。主事項の息子が活躍するパターンは『ドラゴンボール』然り、『NARUTO』然り、バトル漫画ではベタな定番の展開。
ブリーチもご多分に漏れず?だから今回の読み切りを読む限り、ブリーチの続編(獄頤鳴鳴篇)は割と早い段階で描かれると思います。早くて2021年中?ただ内容的に年単位の長編にはならなさそう?『BORUTO』のように他誌での掲載パターンもあるか。
獄頤鳴鳴篇が仮に始動するとしたら、再び山本元柳斎重國などが再登場しそう。地獄の業火と非常に相性は良さそうなので、むしろ意気揚々と暮らしていたりして。地獄から大量の敵が出てくるという触れ込みですが、山本元柳斎重國などが生きているとしたら逆に地獄を内と外から潰せそうな感じもします。
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