マンガは小説や映画ドラマと同じように「ストーリー」が大事と言われがち。実際、色んな人気漫画を読んでもストーリーの構成がしっかりしているマンガが多い印象。『ONE PIECE』なり『進撃の巨人』なり伏線ばりばり。逆に、つまらない漫画はストーリーの組み立て方が下手だから打ち切りになってる。
ただストーリー作りといっても漠然としすぎてる。どうしても壮大な長編モノを作らなければいけないという強迫観念にも駆られがち。当然ストーリーは無尽蔵に奥が深いので、考えれば考えるほどキリがない。ペンを握る前に原稿の前で頓挫してしまう方も世の中には多そう。
そこで今回は「漫画のストーリー作り」のたった1つのコツを考察してみたいと思います。このコツさえ掴めれば、漫画制作にも役立つはずです。
スポンサーリンク
壮大なストーリーや物語を作ろうとは思わない
まずは漫画のストーリーを作る上でダメなことを考察してみたいと思います。
結論から書くと、「ストーリーを作ろう」と身構えない方が良い。何故ならストーリーと聞くと大言壮語に聞こえてしまって、どうしても「壮大な物語を書かなければいけない」という強迫観念に支配されるから。でも最初からそんな壮大なストーリーを描こうとしても難しい。
やはり漫画で表現できるスペースは限られてる。週刊連載の漫画であれば、一話あたりのボリュームは20ページ前後しかない。当然1ページ分のスペースも知れてる中で、読者に伝えられる情報量は知れてる。
最初から様々なキャラクターや色んな舞台を作ってしまうと、それらを全て描き切らなければいけないという強迫観念にも支配されがち。結果グダグダした漫画が出来上がる。きっと作者の頭の中では壮大なストーリーが出来上がってるんでしょうが、読者の立場からすると「何が描きたかったのか意味不明」という典型的な駄作に映るのがありがちなパターン。
もちろん優秀な漫画家さんであれば別。最初から壮大なストーリーを思い描いて、緻密にプロットを組み立てて、それを着実に紙の上で表現できるのであれば、いわゆる「すごいストーリー物の漫画」を作っていただけるのであれば誰も損しません。読者は全員ウェルカム。
スポンサーリンク
キャラクターの「ドラマ」を作るべし
じゃあ漫画のストーリーを作る上でのコツは何なのか?
結論から書くと、漫画全体のストーリーではなく「キャラクター(主に主人公)のドラマ」を描くことが重要。キャラクター一人のドラマを描ければ、それが漫画全体のストーリーを作り上げる。例えば『ONE PIECE』だと主人公・ルフィの「海賊王になる」というドラマこそが、漫画全体のストーリーのゴールでもある。
言ってしまえば、特定のキャラクターの目的・動機や行動原理がドラマ。このキャラクターは一体どんな考え方を持っていて、どんな主張を持っているのか。どういった疑問や不満を持っているのか。その答えを求めようとする行為こそがドラマ。
ただ、このドラマでもやや「壮大さ」や「長編もの」を描かなければいけないという強迫観念が生まれそう。結果、マンガ全体が散漫になる危険性はゼロではない。また当然バトル漫画や歴史漫画以外にもジャンルはある。ギャグ漫画やグルメ漫画においても「ストーリー」はそれなりに無視できません。
スポンサーリンク
長いストーリーよりも短いイベント作り
そこで必要になってくる考え方が「イベント」。
RPGゲームを想像すると分かりやすいですが、キャラクターに何か難題が降りかかる。それに対して必死にクリアしようとする行為ことこそが「一つのストーリー」に仕上がる。更に置き換えるなら、「イベント≒見どころ」と考えるとより分かりやすいはず。キャラが活躍する見所こそがドラマ。
漫画のストーリーはそういった小さなイベントの積み重ねとも言えます。特に新連載漫画の序盤では重要。未読の読者を一気に引き付けるためには、この最初の一個の盛り上がるイベントを作れるかどうかが長期連載のカギを握る。だから長編ストーリーの先々を考えすぎず、まずは「目先の見どころ」をいかに作っていくかが重要。
いかにキャラクター目線に立てるかが重要。「特定のキャラクターのドラマ」を描くことを意識すれば、漫画のストーリー全体が漠然としすぎない。また作者目線で考えてもかなり漫画制作がしやすくなるはず。膨大な長編ストーリーを思い描くと作者自身が潰されてしまいますが、少し未来のイベントであれば計画を立てて進めやすい。
以上、漫画のストーリー作りのコツまとめでした。参考になれば幸いです。他にも「2人主人公の始め方・作り方」といったマンガ制作の記事も執筆済みなので興味がある方はご覧ください。
コメント