【作り方】野球漫画の描き方・ストーリー構成方法まとめ【野球マンガ】

現在は夏真っ盛り。暑い日々が続きますが、同時に甲子園では高校球児たちが試合を毎日行っている様子。今年2017年の3回戦で仙台育英高校の選手が、大阪桐蔭の一塁選手の足を思いっきり蹴り上げるという最低の行為を行ったため炎上しました。

しかも結果的に、この最低の仙台育英高校が勝ち上がってしまうという悲劇が発生。こういう勝ち方をしても仙台市民などは大喜びしていたことに驚きましたが、どうやら最近の日本の若者はTwitterを筆頭にアホなクズが多いらしい。

ただ野球漫画に登場する高校球児たちは、基本的に体育会系の熱さを持ってるけども性格は品行方正。一応まともなキャラしか描かれません。

(ダイアのエース42巻)

そこで今回は「面白い野球漫画」のおすすめの描き方、ストーリー構成の作り方を簡単に考察したいと思います。割りと実践的な方法になるはず。

ちなみにおすすめスポーツ漫画ランキングは既に執筆済みですが、あくまで「野球漫画のおすすめ方法論」の漫画制作記事であり、おすすめ野球漫画の紹介ではないのであしからず。

野球漫画の県大会・地区予選は「ドラマ」を描け!

まず最初は県大会・地区予選の野球漫画の描き方。つまり甲子園出場を決めるための「予選大会」のストーリー作り。甲子園出場を大きなゴールとして、野球漫画は一般的に「この予選大会」から描かれることが多いです。

じゃあ県大会・地区予選で野球漫画は一体何を重視して描くべきなのか?結論から書くと、それが「ドラマ」。

何故なら県大会はいつも似たような高校同士で頻繁に何度も戦うことが多く、当然過去の経緯から「因縁」が生まれやすいから。

実際、自らの出身県や出身母校を振り返っても、何年か前にあの高校と戦った時はこんなスコアで勝った・負けた。だからあの時の雪辱を…という思いなどが生まれやすい。高校生に限らず、小学生・中学生レベルでも存在しました。

つまり野球漫画の中では、この予選の試合でこそ過去の因縁を絡めたドラマを描きやすいわけです。キャラクターの心理描写であったり、父兄や観客の思いであったり、そういう部分。言ってしまえばスポーツ漫画的な要素よりも、青春漫画的な要素を強くする。

また限られた高校しか存在しない県内だからこそ、いつも決勝にコマを進める常連校なるものがいても不自然ではない。主人公がいる野球部が「不動の強者」に立ち向かうというストーリーの構図が作りやすく、甲子園で華々しく戦うという花道も描きやすい。

そして野球漫画だけではなく、スポーツ漫画全般はキャラクターが多く増えがち。でもドラマに重点を置くことで、最初のゴチャゴチャ感を相殺できるメリットもある。あくまで主人公など限られたメンバーの描写だけで済むから。

そのためこの方法は野球漫画以外の県予選が行われる多くの部活もののスポーツ漫画全般にも、このストーリー構成は通用するのでおすすめ。

野球漫画の甲子園・本大会は「試合」を描け!

ただ甲子園(全国大会)までストーリーを進めると、展開の色合いは全く違うものになってきます。県予選と同様に、甲子園の試合でドラマを描けるかは微妙。何故ならリアルの高校野球でもそうですが、甲子園に毎回出場できるようなガチガチの強豪野球部は少ないから。

たとえ県内ではトップクラスの高校だったとしても、他にも当然同程度の実力校は割りと多い。でも結果的に甲子園に出場できるのは、所詮は1校のみ。そうするといくら「トップクラスの実力」があったとしても、確実に甲子園に出場できる野球部は極めて少ない。もちろん全国で一校二校だけ、そこまでチート級に強い野球部を描くのはオッケー。

確かに現実世界でも何十回と甲子園出場経験がある高校・野球部は存在しますが、あくまで通算。野球漫画の時間軸は主人公が高校に入学してから卒業するまで、所詮は最大で3年間しかない。じゃあ一年生の時に甲子園で戦った別の都道府県の高校と、残りの2年の内に再び甲子園で再会できるかは確率的にさすがに微妙すぎる

しかも甲子園ではトーナメント制を採用してるため、抽選でどこの高校と当たるかは完全なる偶然。そう考えると都合良く一回戦二回戦で対戦するという展開は、誰が見てもご都合主義的で冷めるような展開。

だから甲子園においては過去の因縁を絡めて、野球漫画でストーリーを描くのはしんどい。むしろ野球マンガでは甲子園ではほぼほぼドラマは描けないと考えていいぐらい。実際、高校野球でも県予選まではチェックするけど、甲子園に出場以降は観ないという野球マニアも多いのはそういうのが理由。

つまり野球漫画では甲子園以降の展開は、初顔合わせ同士の対戦である以上、その一試合一試合は「シンプルに試合描写」を描くことを心がけるべき。

野球漫画なら投手戦、乱打戦、シーソーゲーム、ワンサイドゲーム。他のスポーツ漫画でも得点が多く入る試合、逆に入らない試合で展開を盛り上げる。言っちゃえば「見せる画」を多く描くのがおすすめ。

野球漫画のトーナメント制は一本調子+二番煎じになりがち

そして野球漫画に限らず、スポーツ漫画全般で言えることは展開が二番煎じになりがち。

何故なら高校の部活スポーツの多くでは、県予選の時点でトーナメント制を採用してるから。野球漫画に限った話ではありませんが、トーナメント制は所詮は「勝つ以外の展開」が存在しない。だって、もし途中で負けてしまったらそこで話が終わるから。

つまりは野球漫画(他のスポーツ漫画も含めて)、どうしてもストーリーは一本調子になりがち。そのため県予選もトーナメント制、甲子園もトーナメント制と連続すると展開に変化が生まれない。もっと言えば、甲子園そのものが県予選大会の究極的な二番煎じでしかない。

野球漫画に限らず他のスポーツ漫画でも、全国大会が始まったけど意外とワクワクしないのはそういう理由が挙げられる。作者がどっちも同じようなノリで描いてしまうと、野球漫画のストーリーはどうしても予定調和感が連続しすぎる。

そのため冒頭に貼った野球マンガ『ダイヤのエース』はそこまで個人的に面白いとは思ってません。展開だけなら、意味のない繰り返しが続くだけの野球漫画。

そのため野球マンガでは作者は意識的に「ドラマ」か「試合」かどっちを描くか、その心を持ちようを変えるだけでも作品のクオリティに十分反映される気がします。

読み切りの野球漫画の作り方・描き方

最後は「読み切りの野球マンガ」の作り方・描き方。これまでの解説は全て「連載野球マンガ向け」の話。多くのプロデビューすらままならないアマチュア素人の漫画家志望の方には、それこそ夢のまた夢の範疇。

ただ読み切りの野球マンガでも基本的には同じ

読み切りマンガはページ数が50P、60Pと限られてるわけですが、序盤で主人公のドラマ(因縁)を描写し、その後の試合で「見せる画」を描く。一言で言えば、上記のおすすめ描写法をかなりギュッと短縮させるだけ。

10~20P程度で主人公はどれだけ野球が好きか、野球そのものの魅力を描く。そしてライバルとなる野球選手も登場させて因縁を披露し、この2人がどう試合で対戦させるかを後半に描くだけ。

更に言及すると、主人公の設定はピッチャーの選択肢に基本的には限られます。もし野球のポジションで言うと外野やセカンド・ファーストに設定すると、そもそも定期的な出番を作ることができないから。

特に読み切りの野球漫画では、可愛い女の子のヒロインは不要。どうしてもマネージャーあたりを一人ぐらい入れたくなるものの、展開がゴチャゴチャするだけなのでおすすめしません。使い時がなさすぎる。

もし女子マネを投入するなら、そこを中心に完全に青春ドラマ寄りに仕上げましょう。あだち充の『タッチ』が参考になりますが、野球要素はむしろオマケ程度に認識しておくと吉。連載野球漫画でも省く部分は強烈に省いた方が、描く方も読む方もいろいろと楽。

おすすめ野球マンガの作り方・描き方まとめ

以上、面白い野球マンガのおすすめの作り方でした。

ざっくりとまとめると野球マンガの県予選編は「夢に向かって走る青春性・ドラマ性」に重点、野球マンガの甲子園編は「勝ちに向かって走る執念性・試合性」に重点を置くといった感じか。野球に限らず、スポーツ漫画全般でも通じる内容だと思うので是非参考にして下さい。

もちろん最低限の画力などは伴っているのは必須。野球漫画やスポーツ漫画は画力があればある程度ごまかせる点も多く、『ダイヤのエース』は言ってもカット割りや構図などはかなり参考になるため練習がてら模倣することをおすすめします。

○少年漫画は女子キャラも使えるのでおすすめ

あと今回は冒頭の入り方もあって「高校野球(中学野球)」に限定しましたが、意外と野球漫画を制作する上でおすすめの設定が実は「少年野球」

何故なら『MAJOR2』に代表されるように「女子選手」も起用できるから。

高校野球以上の試合だと男子選手に限定されるため、キャラクターの幅が狭まりがち。スポーツ漫画に全体にありがちな制約ですが、マンガを制作する上で辛い。また少年野球だと勝ちにそこまでこだわらなくても済むため展開を広げやすいのも魅力。